中央アジアリクガメ(Central Asian Tortoise)[ホルス] Testude horsfieldii Gray,1844
Testude horsfieldii Gray,1844.Cat.Tort:7.Type locality:'India,Affghanistan[sic]'.
形態:甲羅は円く、長さと幅はほぼ同じ、椎甲部分は平ら、縁甲は老熟個体では ギザギザ;項甲板は長く狭い;椎甲板は長さより幅がある;第12縁甲板は 分離している[臀甲板は2つ];腹甲は広く、縁が広がるかまたは 前端は真っ直ぐで(truncate anteriorly)、後端はくびれている(notched posteriorly)、腹甲板と股甲板の間に動く蝶番は無い; 橋[背甲と腹甲を繋ぐ部分]は広く、小さな腋下甲板と小さな鼠蹊甲板がある。 頭部は適度に広く、額板[頭の鱗板の一つ]は分かれておらず、 前額板[額板の前の鱗板]は分かれている、上顎の先は3重に分かれ(tricuspid)、 下顎は分かれていない(single-cusped)。前足にはよく発達した4本の爪がある。
縁甲板式: 1> 5< 7< 9< 11<. 腹甲式: abd > gul >< hum >< an > fem > pect. 腹甲板 > 喉甲板 >< 肩甲板 >< 肛甲板 > 股甲板 > 胸甲板
色:甲羅は暗い黄色味がかった茶色かオリーブ色、各甲板は典型的には 黒いしみがあり、腹甲ではそれが甲板全体を覆う。頭と四肢は黄色っぽい 茶色、一般的に顎はより暗い。
大きさ:22cm以上
性徴(Sexual dimorphism):成体オスはメスや幼体に比べ、尾がとても長い。 オスは腹甲の窪みや尾の先端に爪を持つ。両性の中でメスが大きく、 甲長SCLは22cmある。
亜種:3亜種知られている。Testude horsfieldii horsfieldii Gray 1844は イラン、アフガニスタン、パキスタン、中国の西Xinjiangに分布。2亜種は 最近分類されたもので、Testude horsfieldii kazachstanica Chikhikvadze, 1988はカザフスタンとトルクメンにいると知られ、T.horsfieldii rustomovi Chikhikvadze et la.,1990は南西トルクメンのKoper-Dag山脈に分布している。
俗称:Urdu Bari kachua(= 丸石リクガメ Boulder tortoise)
その他の英語名:アフガニスタンリクガメ(Afgan tortoise)、 ホルスフィールドリクガメ(Horsfield's tortoise)、 4つ爪/脚リクガメ(four-clawed/toed tortoise)、 草原リクガメ(steppe tortoise)
分布:インド亜大陸で、この種が報告されたのはパキスタンのBaluchistanと North West Frontier Province(北西前州)。パキスタンの繁殖地帯としては Hazargangi,Chilton国立公園、Quetta近郊、Kuchlak、Saryab、Mastung、 Nushki、Pishin、Chaman、Khanai、Las Belas、Pap Hills、Kalat、 KowasとDukki。 この種の全分布は西南ヨーロッパのカスピ海沿岸から南下し、東イラン、 アフガニスタン、北西パキスタンと南西中国に至る。インド、ネパールに ついては確実に証明された報告はない。
習性と行動:粘土と砂の砂漠、草原、山(foothills)の一時的な コミュニティー、オアシスや山(foothills)に近い半草原、小川や泉の 近くの草むらにこのカメはみられる、しばしば大変な高度の事もある。 この種はとても急勾配な坂を登るに長け、齧歯目[ウサギなど]の古い巣穴や 覆い被さった石に身を隠す。トンネルは奥が広がり2m以上かも知れない。 カスピ海地域周辺ではこの種は年に3ヶ月(3-5月)しか、食べる事や 繁殖に関して活動的でない。その他は隠れ場所(穴の中)で過ごす。 5月の最後、6月、7月にはハッキリと活発さが減少する。 しかしながら、彼らが不活発なこの3ヶ月であっても、晴れた日には 地表にいる。このリクガメは午前9時から午後7時まで活動的で、 南トルクメニスタンの活動のピーク月は4月と5月である。 この範囲の北部では中央アジアリクガメ[ホルス]は冬の間は閉じた穴の 中で冬眠する、一方、南では夏月の間aestivate(夏眠)する。パキスタンの 飼育されたカメは10月中旬にから3月初めまで埋まり、6,7月と 8月の初めの間は夏眠する。体液の不凍性はより小さいサイズの他の 爬虫類なら致命的であろう温度でも生き残れると考えられる。ドイツの 飼育個体は10月中旬から3月終わりまで冬眠し、室温は3-10度C。ある ケースでは温度の上昇に伴い2月中旬で冬眠が終わった。パキスタンでは いくつかの飼育個体は3月2日に冬眠から現れた、これは長耳ハリネズミ (long-eared hedgehog,Hemichinus auritus)と同じ日だった。 このリクガメは昼前(mid-morning)から午後遅くまでもっとも活動的で、 夜や昼間もっとも暑い時間は大きな離れ石(large boulders)または 岩が露出した下の浅い穴に逃げ込む。中央アジアリクガメ[ホルス]は 良く登る。
食べ物:葉、果物そして花を食べ、若いものは赤い花や果物に惹かれる。 まれに昆虫食を摂る。小麦、綿、野菜のような栽培植物また好んで食べる。 飼育個体はタンポポ、樺の木、クローバ、更にレタス、ニンジン、キュウリ、 苺、バナナ、オレンジ、トマト、リンゴ、豆類、麺類、ゆで卵の黄味、 ゆでた牛肉を食べる。飼育下である個体がherbcidesで処理された すみれの花のおそらく毒で死んだ。飲食時にはこのカメは低いカエルの 鳴くような声を放つ。 [なお、この「飼育個体は」の部分はこういうものも食べるという事実の 記述であって、「これらを食べさせるべき」という事ではないので 注意して頂きたい。訳者は少なくとも麺類、ゆで卵の黄味、ゆでた牛肉は 避けるべきであると考える] ある飼育下で死んだカメから腸の大部分、胃に至るほど、大量の 砂利(gravel)が硬く詰め込まれているのが見つかった、全部で体重の 7%の重さがあった。砂利の摂取はストレス解消機構(a pressure compensatory device)と考えられる、このカメは見当違いの 空腹のため(out of)の砂利の摂取も考えられるけれども。
繁殖:オス:メス比は1:8.5。性成熟は西部個体群の自由(free-ranging)な 個体では10年であろうと考えられており、一方、東部個体群の飼育個体では 7年である。 棲息域の西部では3月から6月末までに絡み合いが始まる。繁殖行動は 冬眠明けの数日間可能で、この時、オスはメスを追いかけ、頭を振り、 脚を噛み、甲羅で突く。この期間、オスは侵略的で、他の同種(conspecific)の オスに攻撃し、性別かまわず他の個体をひっくり返そうとする。交尾は オスは後ろ脚でほぼ垂直に立ち、頭と首を直角に曲げ、弱々しいがしかし 明確に聞き取れる半秒おきのチューチュー(squeaking)または ミャー(mewing)という雑音を出す。 巣はおよそ7cmの深さ、産卵個数は2(小さいメス)から3-5(大きいメス)、 同じ個体が7-9卵を産むかも知れない。卵はもろく、硬い殻で、 大きさは41-50×26-35mm、重さ21-27g。1頭のメスが年4回産卵し、 つごう20卵になる。 Testude horsfieldiiのオスとTestude hermaniが両種の特徴を持った 子孫を作る事から、何人かの研究者が本種に与えているAgrionemys属が 無効であるという見解が得られる。
孵化期間は長いか、幼体は巣穴で越冬し、6月中に出る、活動的な期間は 年に数ヶ月しか残っていない。パキスタンでは雛は6月最終週に見られる。 孵化期間は60-128日、孵化温度とおそらくその個体の原産地にも依存する。 雛の大きさは甲長で30-50mm、重さ18-23g。
状況と保護:この種の[分布]密度データで有効なものは南トルキスタンの Maryijiのものだけだ。ここの総個体数は、86,800平方kmの範囲に 26.8百万頭以上いると見積もられている、平方km当たり平均308頭 またはヘクタール当たり3頭になる。 中央アジアリクガメ[ホルス]は堤防に穴を空ける事により、農業や 潅漑システムにダメージを与えると考えられており、多くの場所で 農夫に殺されている。パキスタンにおいて、アフガニスタンから 避難のための移住や農夫の破壊、家畜との競争、犬による卵の略奪が 原因で本種は脅かされてると考えられている。しかしながら、本種は パキスタンでは食べられていない、イスラムの基本的教えで、カメや リクガメを食べることは禁止されているからだ。パキスタンの 青銅器時代の遺跡から本種が見つかり、以前は食べられていた事を 示している。 パキスタンのTestudo Horsfieldiiの捕食者には縞ハイエナ(the striped hyaena,Hyaena hyaena)が含まれ、その顎はこのカメの甲羅を噛み砕くのに 十分な強さだ。 ペット取り引きの激しい捕獲は、砂漠や半砂漠の本種の住処の変更も あいまって、その範囲の中央アジアリクガメ[ホルス]を大変に減らす 原因となっていると考えられている。1967年から1971年の間、 イギリスに本種は38,778頭輸出された。イギリスへのリクガメの輸出は 結局禁止された、理由は飼育下での野生リクガメの生存がお粗末な レベルだったからである、しかし未だに西ヨーロッパや他の地域向けの 輸出用に莫大な数が捕獲されている。 中央アジアリクガメ(ホルス)はCITES IIで保護され、原産国の 許可の元に取り引きしなければならない事を示す。また、これは IUCN/SSCTリクガメ及び淡水棲ガメ専門家グループのランク3の 行動計画にもリストアップされる。1974年のBalchistan野生動物 決議(Act)も本種をリストアップしている。
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