《人と人 三人寄れば 和やかに》

 子はかすがいと言われますが,子育ての場面では子どもが夫婦ケンカの種になることも少なくありません。子どもがいなかったらどんなに安らかであろうと思うことがあっても,やはり子どもがいると夫婦は新たな結びつきを得ています。
 人間集団の活動を行うには統計情報が不可欠です。子どもの様子や親の行動についての情報は少なくありませんが,それはよその情報であり自前のものではありません。地域に子どもの異年齢集団がなくなったという通念ができあがっていますが,私の地域では実際にどうなのかということを知らなければ,せっかく計画した活動も上滑りになります。
 組織を動員してアンケート調査を行ってみますと,私の地域には異年齢集団が少なくないということが分かりました。通念は個別には当てはまらないようです。異年齢が結びつく要因は,近隣であるということは当然として,きょうだい関係が縦糸に織り込まれていました。弟が兄の友だちと対等に渡り合っているのを見ると,なるほどと思ったものです。きょうだい遊びの延長に異年齢集団があるということです。きょうだい遊びをしないとか,できない場合には異年齢集団も自然には生まれないようです。弟は兄を通じて友だちの輪が広がります。少子化の下では,擬似的なきょうだいという仕掛けを作り上げることが求められています。

(リビング北九州掲載用原稿:96年10月)