《早くきた 人を待たせて 後急ぐ》

 連れ合いが地域の会合に出かけます。その日は私もいつもより少し早めに帰宅します。連れ合いは勤めから帰るとバタバタと食事の用意をして,私たちはバタバタと食事を済ませます。ときには私が後かたづけの洗い物を引き受けることもあります。会合は半時間ほどいつも遅れるというのに。
 どこの土地にも「○○時間」というものがあって,集まりは遅れるようです。私がPTA会長のときにも,委員会を時間通りに始めようとすると出席者が揃わず,仕方なく開始が○○時間になりました。
 ある時から方針を変えました。揃わなくても時間通りに始めたのです。最初の半時間は会長の活動報告をして,皆が揃う頃から協議に入りました。早く来た人は待たされることなく,遅れる人は協議には参加できるという進行です。早く来て損をすることなく,遅く来ても支障がないことで,特に異存は出ませんでした。
 このやり方には,思わぬ効用がありました。終わりの時間が以前に比べて早くなったことです。委員さん方は忙しい中,時間をやりくりして出席していますので,会の終了時刻が過ぎると「どうでもいいから早く終わって」という雰囲気が漂います。時間通りに始めることで,その気遣いをしなくて済みます。
 講演に招かれることがあります。当日,始まりが少なくとも10分は遅れ,さらに主催者や来賓の挨拶が入る場合には,予定時間はアッという間に過ぎていきます。いざ講演と壇上に上がったときは,30分ほど持ち時間に食い込んでいます。終了時間は決まっているので,講演を早めに切り上げなくてはなりません。
 始めがずれると,どのような会合も尻切れトンボになるということです。始まり時間は皆が待って迎えるものです。子どもたちの授業で,はじめの5分が失われたら,8時間で40分のロスです。勿体ないことです。

(リビング北九州掲載用原稿:97年4月-1)