《気を取られ 大事なことに 気がつかず》

 放置していた庭がすっかり草でおおわれてしまったので,休みの日に連れ合いと草取りをしたときです。プランタに茂っていた草をきれいに抜き終わると,それを見た連れ合いがいきなり怒りだしました。「せっかく増やしてきたのに,全部抜いてしまって。花が咲いたとき,あなたに見せたでしょう。覚えてないの」。連れ合いが丹誠込めて育てていた草花を抜いてしまい,他の草といっしょにゴミ袋の中に片付けた後ですので,どうしようもありません。べそをかく連れ合いに返す言葉がなく,いたたまれない思いで,「ごめんなさい」と謝るのが精一杯でした。何も考えずひたすらに草取りをしたことが悔やまれます。まさに不注意でした。
 何かに夢中になるとポカをするものです。子どもが一心不乱に遊んでいるとき,周辺は散らかっていきます。幼い手伝いがありがた迷惑になるのも,周りの後かたづけが大変だからです。子育ての場面では,そのことを許してやって下さい。勉強して考えているとき,「字をきれいに書きなさい」と注意していませんか。考えているときはそれに集中させるように,余計な注文はつけないことです。字をきれいに書くことに気が向くと,考えることがおろそかになります。
 あらたまった場でなれないマナーに気を取られながら食事をすると,おいしくありません。電話をかけながら運転すると,注意力が散漫になり危険です。時間を気にすると仕事に集中できません。人はあれもこれもできることはないようです。
 草取りの際にしでかした失敗の原因は,抜く草と大事な草花をあらかじめ選別しておく手続きを怠ったことにあります。作業計画なしで始めたことが反省点です。まだまだ学びの途上です。

(リビング北九州掲載用原稿:98年6月-2)