《マジメさを 子どもは持てず 迷い道》

 隣から赤ちゃんの声が伝わってきます。連れ合いは子育ての大変さを思い出し,もう育てる気力はないと笑っています。子どものエネルギーに対抗するには,大人でもかなりの体力の消耗を迫られます。早く学校に行くようにならないかなと,手抜きを期待したくなります。期待し過ぎると子どもは邪魔者になります。
 ところで,学校のイメージは長い時間スパンで見るとかなり変わっています。私が子どもの頃は,「スズメの学校の先生はムチを振り振り」の通りに,先生はこわい存在でした。私の子どもが通っていたときは,「メダカの学校のメダカたち誰が生徒か先生か」と仲良し過ぎであったようです。
 今はどうなのでしょうか。スズメからメダカとしりとりを進めれば,次はカラスと答えましょう。「カラスの学校の生徒たち 群を作って騒いでる 先生困ってにがい顔」と,授業を放り出している姿が見えてきます。「人の話をまじめに聞き取る姿勢がしつけられていない」と,先生をはじめ子どもに関わる大人たちが口をそろえて語ります。一方で,子どもたちは先生の話がつまらないとか,おもしろくないとか,大人に対して極めて失礼なことを平気で口にします。
 マジメな話をきちんと聞くケジメをハジメからつけておかないと,物事のスジメが分かるおもしろさを感じないミジメな状況に落ち込んで,大人からイジメられているような思いをするようになります。ハジメにわがままであったら,後でする我慢というケジメは耐えられないことです。我慢が育ちのハジメにあるほうが楽でしょう。
 根気,辛抱強さや我慢といったマジメさは,学びの場だけでなく家庭生活や社会生活の中でこれからも必要不可欠な資質でしょう。

(リビング北九州掲載用原稿:98年10月-2)