《考える それが明日への 夢ひらく》

 人間は考える葦であると古典に教えられました。でも生きていく中であれこれ考えると悩みが生まれます。極楽とんぼは何も考えないという意味です。どうも考えることは暗いことのようです。どうしてこうなるのか考えてみましょう!
 新しい活動を企画するときに人は考えます。そのときに何を考えるかが問題です。企画は目的を持って提案されますが,その検討作業ではあり得る困難が想定されます。あれがない,これもないからとても実現は難しいという結論に誘導されることがあります。考える行為は可能性を見つけることでなければなりません。プラス思考という言葉があるように,考えることは本来前向きのものです。廃棄物を廃貴物と認識して資源の循環を表立たせる知恵もプラス思考です。
 考えるとは悩みを解決するために知恵を集めることです。できないことを見つけるのは単なる経験上の推察であって,できることを探すのが考えることの意味です。言い換えれば困難に出会ったときに考える行為が沸き上がってくるはずです。必要は発明の母と言われるのも,暮らしで直面する不自由という困難が考えるきっかけを与えてくれるからです。
 子どもは毎日失敗の連続です。失敗するからどうすればいいのかと考えます。子どもに失敗をさせないようにしている過保護は,子どもから考えるチャンスを奪うことになります。子どもが「しまった」と思うときが考えるときです。
 暮れに一年の反省をしたのなら,新年は学習の成果を発揮して新しい道を考えることで始まります。そうすることで人生における知恵の年輪が一つずつ身についていくことでしょう。新年の初思考です。

(リビング北九州掲載用原稿:99年1月-1)