《長生きは 子ども時代も 長くする?》

 雑誌を手に持って開くとき,どうしても終わりの頁から見てしまいます。普段横書きの本に慣れているせいかもしれませんが,右手でパラパラと開こうとするとそうなります。いきおい雑誌は編集後記から読むはめになります。そこに,次のようなデータが紹介されていました。
 ある新聞社が調査したところによると,最近の若者を見ていて不愉快に思ったことは,所構わぬ携帯電話の使用,男性の茶髪やピアス,地面に座り込むことだったそうです。
 博多駅前の会社に毎日通っている連れあいが往来などで目にしたことを話してくれますが,その中でもこれらの若者の姿が話題になります。おじさん世代としてはいい年をした若者には似合わない児戯だと思います。でも一度は羽目を外したりしくじりや非礼を犯してしまうという通過儀礼も若者には必要だと思えば,やがて卒業するだろうと見守る親の目もあります。
 平成11年は国際高齢者年だそうです。長寿国の日本ではほぼ人生80年ですが,人生50年に比べると1.6 倍になっています。長寿というとなんとなく老齢30年だけがプラスになったと思っていますが,少し違った見方をしなければならないのかもしれません。つまり人生が全体に1.6 倍になったという見方です。そう考えれば昔の20歳は今の32歳です。逆に見ると今の20歳は昔の12歳程度になります。
 一昔前の中学卒業年齢が今の大学卒業年齢にシフトしていると見なせば,進学率向上という時代変化も少しはうなずけます。自分が若かった頃と今の若者を比べるときには,人生の長さという時代背景の違いも考えに入れた方がいいでしょう。
 80年を生き抜くためには,それだけ長い修業時代を経なければならないということです。

(リビング北九州掲載用原稿:99年5月-1)