《余暇の字を 辞書で引いてる 暇つぶし》

 毎日おじさんたちは仕事の場で疲れます。会社を離れても仕事のつきあいが後を引くこともあります。憂さ晴らしにスナックやバーに立ち寄り愚痴を聞いてもらって灰汁出しをします。休日にはゴルフ,パチンコ,カラオケとカタカナ世界にのめり込みストレスを発散しています。でもパソコン,インターネットはしゃくの種です。
 何とか理由を付けてボーナスを回してもらいパソコンを購入しても,いつの間にか奥さんや子どもに取り上げられています。新しい機器に慣れるには,何か目標を持つことです。どうしてもこれをしたいという思いが学びの素です。子どもは遊びにつられて覚え,若い人はメールがしたくてキーボードを叩きます。ただ漫然と仕事に役立つからといった動機では,遠い道です。
 人には機能快というものが備わっているそうです。歩く機能が使われると心地よい,話せると楽しい,登ったら爽快に,分かればうれしいなど,能力が発揮されることは快感になるというのです。
 余暇は普段使われていない機能を具体的な目標に向けて試してみる絶好のチャンスです。そのためには専門分野から離れて異領域に関わってみるのも一つのやり方です。思わぬ体験が機能快を呼び覚ましてくれます。生涯学習がキーワードになっていますが,それも機能快への積極的なアプローチと理解することができます。
 学校週五日制が登場したとき,子どもの余暇をどのように受け止めるかという議論が沸きました。しかし余暇を使いこなしたことがない世代は,暗中模索するばかりでした。一方で子どもたちが勉強漬けにされて,多様な体験の不足が指摘されています。片寄った機能しか使っていないということです。始めてのことに挑戦してみるチャンス,体験を豊かにする機会が余暇の効用でしょう。

(リビング北九州掲載用原稿:00年3月-2)