*****《ある町の人権擁護委員のメモ》*****

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【啓発活動とアンケート?】


 福岡人権擁護委員協議会と福岡法務局人権擁護部は,平成21年10月18日(日)にイオンモールルクルで人権啓発活動を行い,同時にアンケート調査を実施しました。その活動概要と調査結果の一部について,報告をしておきます。

 啓発会場では,人権の花ひまわり学校別パネル展示の他,人権擁護委員制度周知パネル,アビスパ福岡選手人権メッセージ色紙パネル,子どもの人権110番周知パネル,女性の人権ホットライン強化週間パネルの展示や,アンケートの実施、子ども人権110番周知用キーホルダーつくりを行いました。

人権の花パネル展示です
《人権の花の学校別パネルの展示風景です》

人KENまもる君,あゆみちゃんの啓発です
《人KENまもる君,あゆみちゃんの啓発風景です》

プラ板キーホルダー作りです
《プラ板キーホルダー作りの様子です》

委員の活動の様子です
《人権擁護委員の啓発活動の様子です》

 会場に訪れた方にアンケートをお願いしました。アンケートは合計225枚回収することができました。回答者の世代別では,30代121枚(54%),40代57枚(25%),それ以外が47枚でした。男女別では,男性64枚,女性152枚,未回答9枚でした。

●人権擁護制度や様々な啓発活動がどの程度認知されているかを尋ねた設問について,結果は下図の通りです。

認知度の調査結果です

 人権擁護機関があることは30%の方が知っていますが,人権擁護委員の存在は20%弱の人にしか知られていません。そのいずれも女性の認知度が低くなっています。今日知った(啓発パネルの展示を見ていただいて)という人が20〜30%いるということは,今回の啓発活動はかなり効果があったと認めてよいようです。
 人権に関する様々な啓発活動については,「人権週間」の認知度は高くなっています。「子どもの人権110番」や「女性の人権ホットライン」は女性の方が知っている人が多くなっています。母親から父親に向けた啓発が期待されます。「SOSミニレター」の認知度については,男性女性共に20%以下となっています。小中学生全員に対する展開は2年目と新しい事業なので未だ浸透していないのでしょうが,ミニレターは子どもたちに直接渡されているので,親は知らないと考えることもできます。

●「様々な人権問題のうち。今後取組を強化した方がよいと思うもの」について尋ねました。複数回答ですので,合計は100%を越えています。

今後強化すべき取組の調査結果です

 「子ども」への取組が60%と過半数になっています。若い親が多かったせいかもしれませんが,子どもすべてが社会的な弱者であると思われていることが伺えます。子どもの人権とはどのようなものであるのか,擁護機関として明らかにして世間の常識にすることが期待されています。
 「障がい者」への取組が40%,「犯罪被害者」への取組と「高齢者」への取組が30%と続いています。犯罪被害者への取組を強化すべきであるという割合が多いことは,注目しなければなりません。どのような人権の擁護が想定されているのかを見極めて必要な行動を起こすことが期待されています。
 福岡協議会では,子どもの問題部会,男女共同参画社会推進部会,高齢者問題部会(障がい者を含む),同和問題部会がありますが,犯罪被害者を含めてその他の対象者について研修し活動できる機構がありません。直ちにすべてをカバーすることは無理ですが,ひとつずつでも課題研修の機会を地区別研修会の折などに追加していきたいものです。
 「インターネット」問題も20%と浮上しています。特に若い世代に対して人権侵害の危惧があると感じられているようです。
 性別で見ると,男性が犯罪被害者,インターネット、ホームレス,外国人に対する割合が高くなっています。女性は子ども,障がい者,女性,北朝鮮問題に対する関心が高いようです。社会を見る目線の違いが反映していると考えられます。

●人権擁護機関を知っている人が認知している取組を尋ねた結果を示します。

認知している活動の調査結果です

 「法務局や市町村役場での人権相談」の認知が最多であることはうれしい結果と言えますが,50%に満たないというのは少し残念です。「中学生人権作文コンテスト」,「各種啓発イベントの開催」については,人権擁護機関主催のものの他に,各市町村で独自に実施されているものもあり,その区別がついているのか気に掛かります。「人権の花」以降の取組については,一般の人すべてに向けた取組ではないので,認知度が低くなっているのでしょう。

 このアンケートの結果を今後の取組に反映させていくことが大事になりますが,その前提として,これまでの取組に対する認知度を自覚できたことは大変有効でした。

(2010年01月11日)