*** 子育て羅針盤 ***

〜 《Ver.12 from No.144》 〜

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「子育て羅針盤」:第152号
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[2003/09/01]
【子 育 て 羅 針 盤】
(第152号)
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 人に好かれたいなら,自分を忘れよ。

・・・・・オウディウス

 子どもに好かれたいなら,自分を忘れよ。
 あなたのためという偽善は,子どもに見透かされている。

・・・・・H.モリのクマさん

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★ママの?★
『静止衛星?』
(第09号)
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 毎朝,天気予報を参考に出かける用意をする人が多いでしょう。画面には「ひまわり」から見た雲の映像が映し出されます。最も,今はアメリカの衛星に代わっていますが。いずれにしても,いつも同じ場所から見下ろした画像です。何も考えなければどうということもありませんが,ちょっと不思議なのです。

 子どもが理科の授業で「地球は回っている」と学習します。一つの知識ですが,それを知恵にするためには,自分の身に重ねてみなければなりません。よそ事のままで据え置くと,それがただ「知ってる」という知識に過ぎません。自分が住んでいるこの場所は回転している,日本が動いていると想像できるときに知恵になります。

 さて,日本は回っているのに,上空から日本を見ている衛星はどうなんでしょう? 静止衛星という文字通りに上空の一点に止まっているとしたら,日本は回っていって見えなくなるはずです。いつも日本の上空にいるためには,衛星も一緒について回る必要があります。静止衛星は動いていますが,地上から見ると止まっているように見えるということなのです。

 駅のホームで恋人を見送る男性が列車と一緒に走るとき,顔を見合わせ続けられるという状況と同じです。では,衛星が走っているホームはどこにあるのでしょう? 赤道の上空36000キロメートルに描かれる円周軌道です。この高さにあって,24時間で一周する速さの衛星は,いつまでも回り続けることができます。速さが地球上の日本と同じですから,いつも同じ場所にいるように見えることになります。

 毎日同じ生活パターンで止まっているように見えても,実はそれぞれがペースを同じくして走っているのと同じです。立ち止まれば,あっけなく置いてきぼりになります。それが怖くて走り続ける,パパの苦労もそこにあります。もちろんママも。子どもだって。


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★ボクの育ち12章★
『楽しみは 愛しい人を 待つ夕べ』
《第12-09講》
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■つれづれ・・・

 不登校の児童生徒数が減ったという報道がありました。少子化の傾向と相関している部分もあるでしょう。多くの論調は,アフターケアの充実が効果を上げてきたと指摘しています。それは対処療法であるということを留意しておかなければなりません。子どもを不登校に追いつめている要因の除去が進んでいることではないのです。例えば,風邪を引いた子どもの治療が進んだということで安心してはいけないということです。

 大事なことは,風邪を引かないように耐性を持たせることです。予防に力を向けなければ,後手に回ります。不登校で耐性を持たせるということは,学校生活に適応できる能力を育てるということになります。人付き合いに対する我慢を中心とした能力です。ところで,この流れの上にあるのが,不登校は子どもが脆弱であるからという視点につながります。無理にでも行かせようとする強制が正解であるという判定です。これは正しくないというのが,今の動向です。

 どこが間違えているのか明らかにしておかなければなりません。原因と結果を逆にしてはいけないということです。学校生活になじめる子どもは不登校になりません。ですから,あくまでも予防としての人付き合いの訓練は大事なのです。それはいいのですが,不登校になった子どもは,無理矢理登校させても学校生活になじめるようにはならないのです。逆は真ではないということに気付いてください。

 もう一つ大きな要因を押さえておくべきです。それは風邪を引かせない環境にするということ,つまり,不登校を産み出す要因です。乱暴にいえば,旧来の学校というシステム形態が今の子どもに適合できなくなっているということです。多くの子どもを教室に座らせて一斉に教えるという形が,今の子どもたちの生体リズムに合わなくなっているということです。

 例えば,家でテレビを見るとき,おとなしく一時間座って集中しているでしょうか? テレビの前では自分勝手におしゃべりしながら横目で見ていますし,またCFで気分をズタズタに分断されることに慣れている子どもが,授業時間の緊張を維持できるはずもありません。学校環境が時代の変化に追随していないという要因に注目しなければ,不登校の抜本的な解決はできません。土曜日に子どもを学校から解放したことによって,新しいスタイルの誕生が期待されているのです。

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 【質問12-09:ママ,あのね。ママはボクの楽しみを感じてる?】

・・・・・「楽しみを感じてる」という意味を分かってあげましょう。

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 ○ボクのせい?

 妹が熱を出したときのことです。小児病棟の待合室に座っていると,あえいでいる妹と心配顔のママの切羽詰まった空気が伝わってきました。「まだかな,はやく呼ばれないかな」,ママはボクに言うともなしにつぶやいています。そんなママのそばでボクもじっと待っていると,妹のことが気になってきました。

 元気なときの妹は,ボクに突っかかってくることもあってやんちゃです。つい邪険にすると「お兄ちゃんがいじめた」とママにご注進。やっかいです。でもママに抱かれてぐったりしている妹を見ていると,もう邪険にはしないから,はやくよくなってと思ってしまいます。

 診察と治療が終わって,落ち着いた様子で眠っている妹の側で,ママは力が抜けたようにホッとして妹を見つめています。妹が病気になったのはボクのせいかな,もういじめないからと思っているボクは,どうしてそんなことを思ったのだろう? 元気になったら一緒に遊ぼう。そんな風に思ったら,なんだか妹がよくなるような気がしてきました。

 あのね,ママ。ボクはね,妹がはやくよくなって今までどおりに仲良く遊べたらいいなって思っているんだ。ほんとだよ。なんだか分からないけど,一緒に走り回れることが楽しみになっているんだ。ボクが妹のためにしてやれることはそれしかないんだもの。

 妹がボクを困らせるとき,「妹なんて要らない,どこかにいってしまえばいいのに」と思ったことがあるけど,でも,ボクがそう思ったために妹がどこに連れて行かれると,嫌だ。ボクを追いかけてくる妹の笑顔が大好きなんだ。はやくよくなろうね。お兄ちゃんが待っているから。

・・・《心配を慰める唯一の手段は楽しさにつながる扉を見つけることです》

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 ○後の楽しみ?

 今度の日曜日にはレジャーランドに連れて行ってくれると言ったよね。絶対だよ,パパとちゃんと約束したんだからね。何をして遊ぼうかな,いろいろ考えていると楽しくなっちゃう。あといくつ寝たらいいのかな。はやく日曜日が来ないかな。

 日曜日の楽しみがあると,まだ先のことなのにどうしてこんなにワクワクするのかなあ。今日だって,楽しく過ごせちゃったよ。暑くてもへっちゃら。だって暑いなんて言ってたら,お出かけできないもん。ママがどうしちゃったのとあきれているけど,がんばっちゃう自分がいるみたい。

 「今日の夕ご飯,ハンバーグが食べたいな」。いつもならママが「何が食べたい」と尋ねるけど,時々ボクの方からリクエストすることがある。「まだ朝ご飯が済んだばかりなのに,もう夕食のこと?」って,ママは呆れてしまう。「じゃあ,明日してあげる」という返事があると,「今日じゃなくては嫌だ」。

 あのね,ママ。献立はママの都合で決まるかもしれないけど,ボクにも都合があるんだよ。今日はハンバーグでなくてはいけないんだ。今日は学校でちょっぴり嫌なことが待っていて,あまり行きたくない気分なんだ。でも,帰ったら大好きなハンバーグを食べられるという楽しみができたら,嫌なことも何となく忘れられそうな気がするんだ。

 今日の嫌な気持ちを上塗りするには,楽しみを持ち出さなくてはいけないんだ。後の楽しみがあれば,嫌なことも我慢できるから。明日じゃだめ,今日じゃなくては。自分だけでは楽しみを作れないから,ママ手伝って。我慢したらいいことがある,そう思いたいんだけど。

・・・《我慢は後の楽しみが約束されていれば可能になります》

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 ○大人になりたい?

 どこかに連れてって。パパにねだっていたら,「よーし」と言って,バスに乗って山に連れて行かれました。木陰をぬって登っていくと,やがて清流の音が聞こえてきました。流れの側にある大きな岩の上に座っていると,冷たい水しぶきがかかります。パパと一緒にしばらく流れを見ていたけど,飽きてきました。

 「どこに行くの?」。「ここだよ」。「何もないよ。遊ぶところがないからつまんない」。「何もないな」。「どうするの?」。「どうしようか?」。パパは何もせずに流れを見ているだけです。ボクは退屈して,流れが緩やかになっている瀬に降りてみました。パパもついてきました。

 流れに手を浸けるとヒヤリとしました。突然パパが「そこの石を裏返してみろ」と指を差しました。片手で動かそうとしたけど動かないので,両手でごろんとひっくりかえてみました。水が濁りましたがすぐに澄んできました。石があったところに何かが動いています。「カニ!」。「爪が赤いよ」。カニはススーと近くの岩陰に入っていきました。

 あのね,ママ。パパと川に行ったら面白かったよ。何もないように見えた所に,パパはいっぱいいろんなものを見つけて,ボクに見せてくれた。川って水が流れているところと思っていたけど,違うことを知ってビックリしちゃった。カニやお魚がいて。それから水の中にもいろんな虫がいたんだよ。

 パパに教えてもらったけど,忘れちゃった。パパは何でもよく知ってるからすごいよ。ボクもパパみたいになりたいな。なれるかな。大人ってみんなパパみたいに,何でも知ってるんだろうか。ボクもはやく大人になりたいな。

・・・《子どもにとって最大の楽しみは,親みたいになることです》

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 《楽しみを感じてるとは,明日を待ちわびることです。》

※明日がないと人は生きられません。明日があれば人は幸せな気持ちになれます。楽しみとは過去にはなくて,必ず明日にあります。子どもたちは明日の楽しみを見つけられなくなっています。楽しいのはゲームをしているときというのは,今日の享楽に溺れているだけで,本当の楽しさではありません。

 何か面白いことないかな,そういいながら自分で探そうとしていません。お金で買える楽しさとは,所詮借り物の一時的なものです。自分の感性とつながった手作りの楽しさでなければ,生きる力に転換することはありません。明日への期待,そういう楽しみをたくさん与えてやってください。

 【質問12-09:ママ,あのね。ママはボクの楽しみを感じてる?】

   ●答は?・・・もちろん,「イエス」ですよね!

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★編集後記★
 お届けした「子育て羅針盤」第152号は,いかがでしたか?

 暑さ寒さも彼岸まで。その言葉どおりに,暑い日はもう少し居残りそうです。夏バテされないように,充分に休養をお取り下さい。のんびりしている暇はないとお叱りを受けそうですが,でもやはり,どこか少し手抜きをしてくださいね。母という時は,添い寝をしている乳房を型取った字ですから。

 ネットの世界もウィルスが蔓延って,おそるおそる接続しなければなりません。まき散らして面白がっている輩にお灸を据えてやりたいですね。ワクチンを頻繁にダウンロードしなければならず面倒ですが,皆さんも充分お気を付け下さい。

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※ご案内※
 ●モリのクマさんのホームページは ・・・「徒然窓」=
     http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear
  です。「子育て羅針盤」の「バックナンバー」,〜「掲示板」,
    週刊「今週のコラム」,「子育ち12章(Ver.1〜10)」,
    「子育て心温計」などの受賞論文,養育アンケート調査結果,
    社会教育・ボランティア組織活動の指導者用テキスト〜 
  などを掲載しています。 ・・・是非訪ねてみて下さい。・・・

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  なお,クマさんの本拠地は福岡市近郊です。

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☆予告☆
 次号では,

 【質問12-10:ママ,あのね。ママはワタシに夢をくれてる?】

について考えます。どうぞお楽しみに!

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○タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban]
○発行期日:2000年09月25日より,毎週月曜日正午
〇発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)
○著者連絡: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp 
●記事の一部、もしくは全部の無断転載・無断配布を禁じます。
 掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行うこと
 はできません。事前に,モリのクマさんまでメールのご一報を下さい。

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