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【3.2】子育て心温計の健全発育部
右側の健全な発育部について順に説明をしていきます。
[(9)他の権利を守っているか]
心に感じるものを大事にできるとき,人を愛することに「歓び」を感じるようになります。奉仕の状態では誰かのために私を抑えています。まだ自分を完全には無くしきってはいません。自己満足をしたい欲望が残っています。例えばご主人の帰りが遅くなって折角の心を込めた手料理が冷めてしまったとき,角を出す気持ちがまだ残っています。この「折角作ってあげたのに」と思うことが無いのが愛です。見返りとか,報いられたいと願ったり,相手に何かを求める心があるうちは愛ではなく,奉仕の心です。私の愛が裏切られたと思うことがあったら,それは愛ではありません。愛とはそんなに安っぽいものではないはずです。愛の状態に入るには自分が完全になくならなければなりません。とても勇気がいることです。そのかわりその代償は素晴らしいものになります。求めない人にのみ与えられるものです。生きているという実感に満ち,愛こそすべてと思えるようになります。これが〈愛情状態〉です。
結婚したての頃を思い出して下さい。恋のためには命も要らないと真剣に思っていたでしょう。子育ての前に必ず体験しておかなければならない大事な心の修業です。愛を知る人だけが子どもを育てる資格があります。鳥でさえ自分の命を掛けて雛を守ります。弱い子どもの味方になりきっています。私たちはこの子を守るためには生命も惜しくないと思っています。これが愛の始りです。そして,夫,妻,わが子だけにしか注がれていない愛を,多くの人に縁によって注げるようになれたとき,本物の愛情状態になれます。
先人達は袖すり合うのも多生の縁と考えて,他人を少しでも身内に感じるように対象を広げようと努め,より大きな愛の実現を願っていました。「生命」あるものの保護に最高の価値を感じる愛の世界の中にだけ,私たちは生き甲斐を見つけられるはずです。
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