《第3章 子育て心温計の仕様》

 子育て心温計の全体図は別ファイルに示すとおりです。

【3.3】子育て心温計の発育不全部

 ここでは,心温計の目盛による分類ではなく,状態別に説明することにします。
 (4)[群衆状態?]
 人と同じであれば安心ですから,人並でありたいという気持を持ちます。皆でやれば悪くはないという考え方です。例えば,「隣の子どもが塾に行くからうちの子も」と考えたり,子どもは子どもで「皆が持っているからぼくにも買って」と言います。行楽の季節になると,どこかへ出かけていないと落着かなくなったり,後ろめたい思いに襲われてしまいます。多数の人が考えたり,していることが正しいという意識があります。集団の中で人と違っていることを恐れ,絶えず行動とか服装を気にする集団的依存心の強い状態です。
 この状態に落込んでいる人は自分の価値判断の基準がありませんので,うまくいかなかったことはすべて他人のせいにしてしまいます。行楽帰りの交通渋滞の中で「なぜ混むのか,来る人が多すぎる,道が狭すぎる…」。教室で先生が一人の子どもを褒めると,「えこひいき」と受取り,皆が同じ扱いでないことは間違っていると非難の声をあげます。秩序の上にこそ平等性が存在するという認識が欠落しています。
 人に追従することしか考えていませんから,自分を他人の立場に移すことなどできません。人に迷惑だと拒否されない限り勝手気ままに振舞いますので,相手の方は我慢も限度を越えてきてどうしても避けるようになります。そうなると人の思いなど分りませんから,なぜ人が自分に寄りつかなくなったのか訳が分らず,かえって他人に対して不信感を持つようになります。しかし,内心は群れていなければ不安ですから,自分と気の合う同調的な仲間だけで集団を作り,自分一人ではないという安心感を得ようとします。この様にしてできあがる群れ集団では集団への帰属心が強く,また一方で集団の衰退縮小を極度に恐れ,脱退者を出さないように極力締付けます。脱退されることは自分達の基盤が否定されることにつながるからです。このように入るは易く出るのは難いという集団は,水の流れと同じように淀んできて,やがて集団そのものは堕落し腐敗していくはずです。非行グループはその典型でしょう。
 子どもがこの〈群集状態〉に落込んだら,正しい価値基準によって行動を判定し,考え方の論理的な間違いを指摘してやらなければなりません。