《第4章 子育て心温計による診断》

【4.1】診 断 例

(その4)核家族化

 いじめの背景として対人関係の未熟さがあげられています。その原因の一つとして核家族化した生活があります。現在の家族が抱えている問題点は
  ○親が絶対の時代ではなくなった
  ○父親に対して家族が対等な立場で発言するようになった
  ○家族数が減り,人間関係が濃厚になりすぎている
  ○家族が自己中心的でわがままになっている
  ○豊かな経済の中で,大人も子どもも我慢することを忘れている
などがあると言われます。ではどうあったら良いのでしょうか。
  ○親は子どものモデルであるという親の自覚
  ○子どもは,子どもであるという自覚を持ち,甘えではなく家族のパートナーになる
○家族は奉仕状態に成熟する
  ○親子とも何か努力する目標を持つ
その他,子育て心温計の説明の中で触れたように,親と子どもの正しい関係を作り上げていくことです。

 男性と女性の二人のためだけに始められた結婚生活は,やがて家族の生活になっていきます。このとき二つの大事な役割が課せられます。まず一つは,必ず子どもが生れます。その子どもを育てることが家庭の役割です。学校があろうとなかろうと家庭は人間教育の拠点になります。もう一つは生活の基本的経済単位としての家庭があり,家族に必要な栄養,教養,教育,娯楽などの拠点を長期展望を持って切盛りするという役割があります。
 今,家族の成因である男女関係において,この家庭の切盛りと出産育児から隔絶した文化が育っているような気がします。家庭の中でお互いが権利を主張し闘争的に人間と人間が反目し利己主義に毒され,心の中は寒々とした暮しを送っています。愛情のなんたるかを知らず,愛の幻想にうつつを抜かしている男女が,安易な気持ちで家庭という蜃気楼を築いているようです。砂漠にひょっこり芽を出した子どもがかわいそうです。
 家族や夫婦は一身同体と言われます。男と女の結びつきはやがて互いに解け合って,新しい一つの夫婦に結晶していくものです。もともとは別個の人間であったにしても,互いの心は自他の区別を越えて,夫の喜びはそのまま妻の喜びであるようになれるはずです。家族の基本的な要素は,一つの夫婦という核です。共同体的な認識しか持てない間は,成熟した結婚生活ではないと思います。
 核家族であることの最大の欠陥は,若い夫婦の未熟さを補填し指導する大きな夫婦を引き離したことです。未熟な若い夫婦をしつける親の親がいないことです。人としての最期の仕上げができていないのですから,育てられる子どもにとっては受難の時代です。子どもの問題行動は,このような不完全な家庭を放置してきた地域社会の怠慢を反映しています。経験を伝達するタテのネットワークを構築しない限り,事態は決して好転しないでしょう。