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【説明責任?】
社会教育委員は,社会教育活動を推進する使命を帯びています。しかしながら,委員自らが活動に関わることはできません。実働的なシステムにはなっていないからです。それは社会教育関係団体が担っています。したがって,団体への指導助言をすることが主な任務です。
社会教育という言葉は,生涯学習とは立場を異にします。学習は個人的な活動であり,教育とは社会的な活動だからです。教育は集団システムを対象としています。そこで,「まちづくり」という課題を背負うことになります。
社会教育委員は,社会教育計画を立案することで,団体の力をまちづくりに結集するという目標を実現しなければなりません。各団体がどのような方向に活動を導いていけばいいのか,指針を与えることが大切です。団体の指導者は戦術家であり,社会教育委員が戦略家であり,お互いに密接な連携を確立しなければ,どのような実践活動も効率的ではなくなります。
団体活動はマンネリ化というアカがたまります。それは同じ所をぐるぐる回っているからです。転がらなければなりません。具体的には,個々の活動や全体運営に少しずつ新しいものを組み込んでいくことです。実のところ,役職者が任期制で交代することは,新しい活動方針を掲げるという期待が込められていたはずです。それをいつの頃からか,役職負担の平等化のためという風にすり替えられてしまいました。初心に帰ることです。
いま,社会教育委員がターゲットにすべきは,各団体の役職者です。トップになればそれなりの意気込みが出てくるはずです。それを助けて伸ばすことが急務です。なぜなら,トップにはさまざまな壁が襲いかかります。懸命に活動を進めようとしても,その思い入れに応えるような成果が見えてこないからです。何をやってもどうにもならない,そのエアポケットに一度は必ず嵌り込みます。そこをクリアできるお助け人が社会教育委員なのです。
委員には何ができるのでしょう? それは一歩一歩実績を積み上げていけば,確実に段階を登っていけるという見通しを明らかにすることです。二の足を踏んでいる役職者の背中をこっちに行けば大丈夫だからとポンと軽く押してやることです。そのためには,委員は現在を中心とした前後数年の歩みを読み切っておかなければなりません。これができたら次はこうするという,作戦計画表の策定です。
現在進めている活動に,こんなことを追加しては,という形でアドバイスをします。ところが,それが余計な押しつけと受け取られることがあります。一歩進まなければ先に行けないのに,その一歩が拒否されます。おそらく,一歩ではなくて何歩も歩かされるのではないかという恐れがあるのでしょう。根気よく分かってもらえるように全体像を説明する必要があります。それは社会教育委員が抱えている説明責任です。
(2003年07月19日)
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