*****《ある町の社会教育委員のメモ》*****

【会議の作法?】

 月刊誌「社会教育」の平成15年8月号の中に,会議について書かれた記事が目に留まりました。その中の「会議は中華料理」というフレーズが気に入りました。少し説明が必要です。会議の席で延々と意見を述べる方がいるものですが,会議の席に連なるときの作法を弁えていないのです。
 中華料理は大皿から自分の分量を取り皿に受けて,次の方に回すのが必要な作法です。大皿を回すこと,それが会議のテーマに沿って意見を述べることに喩えられています。均等に時間を頂くというわけです。少しずつ小分けにして楽しみを分配することが,大勢で席を囲む基本なのです。
 実は,この作法にもう一つ付け加えておきたいことがあります。それは持ち込みは遠慮してほしいということです。出された大皿とは違うものを食される方がおられると興ざめしますが,会議の席でもテーマとはほとんど関係ない事柄を持ち込まれる方がいて,司会をしていると往生します。仕方なくお聞きしますが,それっきりです。何せ話がつながらないので,どうしようもありません。
 会議は転がすものです。方向転換もありますが,基本的には皆が前向きに動かそうとしてくれなければ,会議の意味が消えてしまいます。よそ見をして別のことをしている人は,参加しているだけで参画していません。御神輿を担いでいるふりだけで,実はぶら下がっているのです。
 ここまでの非難めいた話なら,誰にでもできます。さらに展開をしておかなければ,前向きではありません。形だけ参加をしている方を参画に引き込めないようでは,司会としての責任が果たせていないからです。それとなく注意をしてあげることで修正することは簡単です。
 もう一つ会議の導入に充分時間を掛けて,共通理解を図っておくべきなのです。こういう意見が必要だという道案内をいい加減にすると,脱線する人が出てきます。皆は改めて説明しなくても分かってくれているだろうという先入観を捨ててかかることです。くどいかもしれないと思うぐらいでちょうどいいのです。何を考え何を求められているかを十分に理解させることができたら,会議は八分通り成功だといってよいでしょう。もちろん長話にも始めに釘を差しておくことです。
 会議に参加する側に立てば,自分だけ腹一杯頂いたという終わり方はかなり要注意です。他の人の分を残せていないかもしれないからです。もうちょっと食べたかったな,腹八分にするのが一番です。

(2003年08月12日)