*****《ある町の社会教育委員のメモ》*****

【確かな情報伝達?】

 近隣の8市町による地区社会教育委員研修会を11月28日に開催しました。旧郡部名を冠した地区規模のもので,住民数は20数万人になりますから,中堅都市程度でしょう。「社会教育」研究大会ではなくて「社会教育委員」研修会です。近隣ですから,いろんなレベルで顔見知りの間柄です。

 今年の研修会で地区会長として致命的なミスを犯しました。開会式のセレモニーで教育委員長及び教育長の出席が皆無であったことです。8市町全ての長が出席しなくても,少なくとも開催市町か代表する長の出席を頂いていました。ところが,開催日に教育委員長及び教育長の一泊視察研修が重ねて実行されたのです。
 地区の研修会は会場及び講師の予約などのため,5月には期日の決定をしています。地区活動の運営は各市町の社会教育委員代表(会長とか委員長)と担当社会教育主事(社会教育課係長級)から構成されている代表者会で協議決定されています。したがって,行政組織を通して必要な情報,この場合は研修会の日時ですが,教育委員会に伝達されていると思っていたのが甘かったのです。正式の招待状は研修会要項の決定を待たなければならないために,期日の1ヶ月前に送付することになります。ところが,そのときには,教育委員長・教育長の研修日程が組み込まれていたのです。
 11月には地区研修会が開催されているのが恒例ですので,教育委員会側では予定して頂いているものと思いこんでいたのですが,そうではありませんでした。16名の教育委員長・教育長が一人も気に掛けてくれなかったことがショックでした。各市町の社会教育課の予定には組み込んであるはずなので,ちょっとでも気に掛けていてもらえたら簡単に確認できたと思われます。
 地区の社会教育委員研修会に重ねて別行事を組んだ教育委員会に対して,厳重に申し入れをすべきだという声もあがりました。大きな活動を無視されたことで,社会教育が教育委員会の中で粗雑に扱われているのではという不満が爆発しているのでしょう。それも分からないではありませんが,その線は封じ込むことにします。
 事情はお互い様です。こちらから早めに期日だけでも確実にお知らせする気配りをしておかなければならなかったのです。気に掛けてくれないという嘆きは組織を預かる者が口にすることではありません。メンバーを盲目的に信頼するのではなく,情報の伝達を確実に進める仕掛けを設けておかなければなりません。なんとなく伝わるだろうというのは,伝わらない場合もあるということです。行政組織の有り様を信用しすぎました。社会教育課と学校教育課の間にある見えない溝,教育委員長・教育長が社会教育に日常的な関心を持っていないという現実を見くびりすぎました。
 来年度からは,「地区活動の年間予定表」を作成し,会長名で各市町教育長宛に送付する手続を設定しようと考えています。目を向けてもらえないなら,向けてもらえる手だてを施すしかありません。同時に,教育委員会の席で社会教育課からの連絡事項として地区活動の情報を進言してもらえるように図っていかなければならないでしょう。

 会長としての甘さが招いた事態ですから,後に残らないように手当をしておかなければなりません。組織運営の失敗はそれを教訓として生かし,組織運営を改めればいいのです。組織自体を高めていくように考えることが,会長の役割だと考えているからです。行政組織との連携は細部まで神経を使わなければならないと学んだ失敗の報告でした。
(2003年12月07日)