*****《ある町の社会教育委員のメモ》*****

【学校施設の利用?】

 わが町では,16年度に一つの社会教育施設が誕生します。従来の中央公民館が老朽化して建て替えになったのですが,生涯学習センターという名称を冠されることになりました。世情を反映して行政の懐具合も厳しく,その運用に関して変更が生じようとしています。具体的には,貸し室として有料化されるということです。中央公民館では社会教育活動には免除が適用されて,冷暖房費程度で済んでいました。受益者負担という考え方が持ち込まれてきました。それはそれで理のあることではあるのですが,町民が自由に使える,つまり無料で使える施設がないということは,活動する上でかなり窮屈になります。そこで一計を案じようとしてみました。
 少子化が進んでいる状況では,学校の教室が空き始めています。教育上の判断から学校の開放という風も吹いています。地域活動という社会教育活動を学校に持ち込むことが求められています。具体的にいえば,空き教室の利用が考えられます。そこで,その論拠を確かめておく必要があります。法律を検索してみました。
 学校教育法第85条には,「学校教育上支障のない限り,学校には,社会教育に関する施設を附置し,または学校の施設を社会教育その他公共のために,利用させることができる」とあります。関連した条文が社会教育法にもあります。第44条に「学校の管理機関は,学校教育上支障がないと認める限り,その管理する学校の施設を社会教育のために利用に供するように努めなければならない」と,利用に向けて踏み込んだ規定になっています。
 以上のように,学校教育上支障のない限りという前提がありますが,社会教育のために学校施設の利用は認められています。さらに少子化で空いた教室には教育上の支障はあり得ません。管理上の届け出制などは必要でしょうが,かなり自由に使用できるはずです。もちろん,家具等の備品を大人用に替えるとか,冷暖房施設を完備するということは最小限必要になります。立て前上はゴーサインが出たことになります。問題は,学校の管理機関が社会教育法に従って努めてくれるかということです。これまで積極的に役割を果たすことをしてこなかったのですから,その気がなかったわけです。どのように仕掛けていけばよいのか,現在思案中です。結果については,後で報告したいと思っています。

(2004年02月22日)