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【メンバー?】
ある会議の主催者席に座っていたときのことです。関係団体のトップが参集する総会です。役職指定で執行部という役回りになっています。総会行事が淡々と進みますが,それぞれ担当する出番が回ってきます。総会後の講演で謝辞を述べる役を受け持つだけなので,割と気楽に座っておりました。ところで,新年度の活動目標と行事計画の提案になって,かすかな手違いが起こりました。
いくつかの専門分野ごとに分かれており,それぞれに発表する段取りになっていました。先ず全体目標を発表する役目と,分野毎の行事計画提案の担当は決まっていたのですが,分野毎の目標を誰が提案するかということが曖昧になっていました。実は,2週間前の打ち合わせでは,分野毎に目標と行事計画を一連のものとして提案することになっていたはずでした。書類上には明記されていたのですが,確認をすることがなかったのです。関係ないことと思っているために,他人の分までは覚えていませんでした。手違いが起こったとき傍にいながら口添えできない迂闊さを,反省していました。
全体の進行の中で,自分の出番ではないから関係ないと気を抜いたことは,職務への怠慢でした。トップの立場であったらそんな手抜きはしなかったのですが,複数のサブの一員に過ぎないという気持ちの緩みと,それぞれが組織のトップであるという信頼を向けていたこともあります。場慣れしている方々ばかりなので,皆さんに緊張感がなかったのでしょう。失態というほどのことではないのですが,確認の漏れがあり,それを補う態勢になっていなかったことを,組織運営上の反省として肝に銘じておくことにします。メンバーとしての緊張が途切れる実体験を,運営指導の場で生かすようにするつもりです。
メンバーというのは,いつでも肩代わりができるという連帯を必然とします。自分のことではないという気持ちが出るとき,メンバーとしての結束が緩みます。組織力の弱さとは,まさにその部分にあります。逆に言えば,その程度の組織でしかないということになります。それを避ける唯一の方法は,情報を共有することです。誰の役割部分というのではなくて,組織活動の全進行について,どのような役割があるかを全員が周知できるように気配りをしておかなければなりません。
会長や代表は,ともすれば自己決定をし,個々の役割をメンバーに宛うことをします。その方がことは簡単だからです。しかし,会長が楽をすることは組織運営上は手抜きになります。メンバーは自分の役割しか分からず,全体の流れがつかめません。それが組織をギクシャクさせる要因になります。メンバーがお互いの役割を弁えていなければ,連携は実現できないからです。組織活動は連携が命です。組織の命脈を維持するためには,会長はメンバーとの情報の共有と協議決定という形を確かなものにする務めがあります。会長は手間と暇を惜しんではなりません。もちろんメンバーの方にも,全体に目配りをする意味を弁える責任があることは,はじめに述べた通りです。
(2004年05月22日)
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