*****《ある町の社会教育委員のメモ》*****

【青年団・婦人会の今後?】

 社会教育団体として,青年団,婦人会があります。共に歴史的な組織ですが,近年,周辺の町では消えていっています。青年団は毎年の文化祭を仕切り,同時に舞台劇を脚本および公演とこなしており,また町民運動会の運営参加や,成人式後の懇親会を開催してくれています。なくてはならない団体として存在感を持っていますが,会員数の減少が緩やかに続いています。婦人会も若い層の加入が滞り,一方で老齢化による老人クラブへの転入によって,減少傾向です。また,小地域での活動参加だけに限定する傾向が現れ,町全体の組織である婦人会から分離するという動きも出ています。
 一方で,具体的な活動に特化したボランティア組織が生まれてきています。青年団や婦人会といった総合的な団体は,いろんなことができるというメリットはありますが,それがかえって何の団体かというイメージの曖昧さを醸し出しています。実のところ,団体の指導者が今の風を読んで,会員が求める新しい活動を導入してこなければなりませんでした。ただ,何らかの改革めいたことをしようとすると,先輩役員からの反発があるという隠れた思惑もあるようです。
 婦人会の運営については,かねてより危うさを感じていました。役員と呼ばれる小地域の代表者からなる本部が,主体になって婦人会活動を担っているように見えていました。さらに,最近はやっていませんが,物品販売によるマージン稼ぎを長い間実施してきたことが,物を買わなければならないという気持ちを抱かせて,入会を阻んでいたことも事実です。講演会などの学習活動や福祉ボランティア活動,あいさつ運動による子ども育成活動などに取り組んでいますが,会員全体へ行き渡っているという感じがありません。数百人規模の組織では,多様な活動ができる運営でなければなりませんが,それが見えないという悩みを抱えているようです。
 若者だけではなく大人世代も,皆で集まってする活動は好まれないようです。こぢんまりとした集まりによる活動をメインにして,その連合としての組織形態にもっていくことが賢明のようです。自由度を増やして,統一した活動は最小限にします。人と人の縁の取り方が,地縁から知縁に替わっているようなので,気の合う仲間を見つけられる組織にするということも考えられます。
 社会教育委員としては,これから伸びていくと目される活動を見極めて,それを担う団体として青年団や婦人会の可能性に期待するという指導をすべきなのかもしれません。ただし,団体名称をどうするかという大きな問題があります。青年団や婦人会という名称は歴史を背負っているのですが,それがかえって重いイメージを感じさせているからです。改称するという英断が可能かどうか,それとも実質を取るのに留めるか,論議を深める必要がありそうです。
(2005年03月01日)