*****《ある町の社会教育委員のメモ》*****

【社会教育委員の構成?】


 わが町の条例では,社会教育委員の任期は2年となっています。ところが,団体代表選出という委員枠が慣例として設けられています。委員の任期と代表の任期が重なっていればいいのですが,任期が違ったりずれていたりで,毎年度交代するということが起こってきます。役職というものは一般に1年目は慣らしの期間と考えられており,2年目からぼちぼち,3年目から職責を果たすようになります。もちろん,それぞれの組織で代表を務める資質があるので,全くの素人ではないという前提があります。しかし,委員活動の実務の把握には一通りの経験が必要でしょう。
 委員の会で,1年間で研修をしてこれからというときに辞めることになり,研修の効果が現れないので,少なくても数年は委員を続けられるように委嘱の運用を工夫すべきであるという意見が出てきました。確かに委員としての職責に対しては指摘の通りですが,全く無駄であるかというとそうでもありません。

 一つは,委員になることによってさまざまな研修の機会が得られ,社会教育活動の資質の向上が図られます。つまり,社会教育委員である期間が指導者の養成になるという意味があります。委員を辞しても別の形で地域活動のリーダーとして活躍していただければいいのです。
 もう一つは,委員の会で協議された活動の指針や考察を委員の母体である諸団体・組織に浸透させていくパイプ役になっているということです。実働組織を持たない社会教育委員の会が,団体による社会教育活動を間接的ではあっても推進できる構造の要として団体選出委員を位置づけることができます。社会教育委員の会では,市町全体の総合的な視点から活動を見ており,そこでの議論は各団体による活動の意義を客観的に見極める得がたい機会となります。
 世の中に不必要な活動はないという観点を堅持すれば,一見不都合に見えることでも,何らかの意義を見つけることができます。費用対効果という物差しでマイナスであるように見えても,それは効果を狭く見限っている場合があります。特に社会活動は無駄の方が多いものというぐらいのゆとりの気持ちを持って,やらないよりはましであるという態度で臨むべきです。

 委員の選出について,おさらいをしておきます。社会教育法第十五条の2で「社会教育委員は,学校教育および社会教育の関係者,家庭教育の向上に資する活動を行う者並びに学識経験のある者の中から,教育委員会が委嘱する」となっています。さらに第十八条で「社会教育委員の定数,任期その他必要な事項は,当該地方公共団体の条例で定める」となっています。
 わが町の委員構成の現状は,学校教育関係者が小・中学校の各校長代表,社会教育関係者が婦人会代表,自治公民館主事会(民間)代表,PTA代表,家庭教育活動者については,上記PTA代表が重複し,さらに母親代表の形で女性委員を当てています。学識経験者は団体代表経験者が当てられています。ただ,わが町では現役議員2名が学識経験者として委員を務めているのが特徴です。以前には議員があらゆる各種委員会に参画することで了解の円滑化を図る意図があったのかもしれませんが,教育委員長の人事審査権を持つ議員が,逆に教育委員長から委員としての委嘱を受けるのは筋として疑問が残ります。

 いずれにしても,役職による委員委嘱をする限りは出身母体の任期の壁は避けられません。団体によっては,2年間務められる人を社会教育委員に別途選出するといった特別な申し合わせを作っていただいていることも起こっています。何とか折り合いを付けて,より良い構成にしようと図っています。

 また社会教育の分野の広さを考えると,現在10名という委員定数の拡大も考える必要があります。しかしながら,この点については,メンバーが多ければいいということにはならないので,これまでの所凍結しています。各種団体との連絡会議を年に2回持っていることで,クリアできると考えています。

 委員構成の検討に対する提案に,どう対処すべきかを考えてみました。子ども会育成会の代表も委員参画が必要かなと思っていますが,参入の時期を見て方策を提案するつもりにしています。
(2006年06月28日)