【生涯学習研修会のあり方(その2)?】
生涯学習研修会について教育委員との合同会議で協議する予定になっていましたが,時間切れで協議はできませんでした。答申に向けた考察を独自に進めざるを得ません。
【前稿】では,指導者を中心とした研修会にする方向で試案を述べておきました。その他の点について考えておきます。
○行政の全課が関わる必要があるのですか?
生涯学習がまちづくりに向かうように図ることは,行政にとって不可欠な活動です。そのことについては公的な形で表明されています。しかしながら,具体的にすべての課が稼働できる仕組みづくりが放置されています。仕組みはありながら,休業状態なのです。何をどう進めればいいのか,政策が立案されていないためです。
推進計画という政策案には,行政の全課が参画できる形が望まれます。これまでの生涯学習研修会には教育委員会だけが関係し,他の部局はほとんど出席すらしていない状況です。先ずは,この点から改善することを考えなければなりません。例えば,生涯学習研修会を全課持ち回りで企画するようにし向けることなどは通知一つで実現できるかもしれません。ただし,研修会の企画という業務に不慣れであれば,教育委員会がサポートするようにすればいいでしょう。
生涯学習と行政課の管掌事項の間に直接的な関係があることを実感できないことも,参画がなされない背景にあります。すべての課が生涯学習を住民に向けて促すことによって,サービスの質が向上するのみならず,業務の効率も改善できることを例示することができたら,積極性も出てくるはずです。手の掛かる作業になりそうですが,挑戦しなくてはならない課題の一つです。
○地域での生涯学習推進はできないのですか?
住民の生涯学習はいつでもどこでもと言われていますが,その背景には学習者が自らの意志で始めるものという了解があります。行政当局からすれば,場所の提供や施設の整備といったハード面の支援をするまでが役目であり,後は勝手に自分たちでおやんなさいという消極的な理解に閉じ籠もりがちです。ソフト面については教育委員会が支援を担えば済むということです。
ソフト面で最も重要なことは,学習教材となる情報です。学習とは社会のあらゆる知恵を知ることです。暮らしに関する情報が,行政機関には集約されています。知っておけば役に立つこと,知らなかったら不都合が起こりうること,いろんなレベルの情報があるはずです。それらの価値ある情報を公開提供する責務が行政にはあるはずです。
行政が持っている情報を住民に提供する機会や場を設けることができれば,それは住民を対象とした立派な生涯学習の研修会になります。行政の全課が生涯学習のソフト面での関わりを持つ資格が備わっているのです。学習情報の質によって大きな会場,小さな会場というハードの選択もしなければなりません。住民にとって身近なものについては,なるべく住民の方に近づくことが適切となります。自治公民館での出前講座という形を想定することができます。これによって行政が住民により身近なものになるはずです。
行政が生涯学習の支援を進めるつもりであれば,各課が掌握している情報の中から学習に相応しいものを精選し,その提供を学習という形に整理することから始めなければなりません。そのような学習のカリキュラムを用意することが,行政と住民が一体となったまちづくりの基本なのです。
○具体的な施策はどうなりますか?
行政としての事業案にまとめなければ予算化して実現することができません。
【生涯学習指導者研修会】
1.目的
生涯学習の推進によってまちづくりを実現するためには,その推進を担っている人材が生涯学習の意義を理解し,必要な情報を取得し,効果的な方策を研修する機会を持たなければなりません。各団体・組織等での活動も活発に行われていますが,住民としての学習を提供することも各団体・組織には期待されています。指導者がまちづくりに向けた学習活動の共通理解と協働実践を行うに資するために研修会を開催します。
2.参加対象者
住民の学習活動に関わる公共的なあらゆる組織・団体の指導者を対象とします。社会教育関係者,福祉増進関係者,自治公民館関係者,青少年育成関係者,行政各課関連の団体・組織関係者の他,住民の希望者も参加することができます。
3.開催日及び開催場所
開催時期については新年度の活動が動き始める6月の日曜日とし,時間は午後1時より4時までとします。
場所については,さしあたってサンレイクかすやの多目的ホールとします。
4.内容
研修は二部制を採用します。第一部は共通な課題に対する研修とし,報告や紹介,講話などの形式になります。第二部は個別の具体的な課題についての研修とし,討議を主体とした形式になります。
○第一部での課題例
・諸団体による活動の報告・紹介
・組織運営上のノウハウに関する講話
・他市町の実践事例に関する講演
・学習実態調査のまとめ報告等
・学習資料・講師情報の提供
・補助金の使途と報告
○第二部での課題例
・学習テーマの設定のあり方
・学習者への啓発のあり方
・広報発行の実践:編集技術。レイアウト。構成。
・会議の開き方:議案の設定。資料の準備。
・連絡:文書の書き方。
・記録の取り方:文書整理。引き継ぎ。会計簿。
・連携協力:諸団体・機関。
5.実施主体
生涯学習推進本部が主管する事業であり,具体的な実施案は推進委員会において策定されます。委員会の開催等についての主導は組織構成からも首長部局において担うことが適当です。研修会の運営については,行政各課が分担してこれに当たるものとします。
【生涯学習講座】
きめ細かな学習機会を提供するために,自治公民館における学級の一環として新に「生涯学習講座」と銘打った補助学級を設置します。この講座は行政からの「出前講座」として実施されるもので,自治公民館に対しては場所の提供と区民への案内だけが委託されます。
出前講座は各行政課から年度当初に一覧資料として提示されるので,自治公民館ではその中から一つの講座を選んで開催時期の希望を添えて推進委員会に申請する手続をします。
地域での生涯学習を支援する方策として,公民館主事の研修機会を設けることも必要です。公民館研修会は他にも実施されていますが,自治公民館レベルのものではなく,実務的な研修は自前で開催する必要があります。しかしながら,それを企画運営する自立した組織がありません。現在の主事会を予算を持つ独自の組織として構築することが求められます。
とりあえず,中間報告として以上をまとめておきます。来年になったら,社会教育委員の会で答申をまとめるための協議に入ります。その後で,再度ご報告をします。
(2006年12月28日)