*****《ある町の社会教育委員のメモ》*****

【委員であるとは?】

 毎月定例の社会教育委員の会議で,議事に入る前,2人の委員による5分スピーチを聞くことにしています。総数10人ですから,5か月に一回の割で順番が回ってきます。テーマは何でもよいということで,フリートークです。初めての委員さんにはちょっぴり不安があるようです。何でもいいという無制限は,テーマ選定の苦労をもたらします。5分という制限は,短時間でまとめるという構成上の苦労を伴います。「何でもいいから5分間お話ししてください」。それくらいのことは簡単と思われるようですが,実はちゃんと話そうとすれば,準備は大変なのです。
 スピーチを取り入れている目的は,一つはもちろん短時間で話をする訓練ということです。その他に,聞き手が社会教育委員であるということを意識すれば,その会議の場にふさわしいテーマを選ぶことが暗黙の了解になります。何でもいいからといっても,聞き手に対する気配りのある話題を選ぶことは最低限のマナーです。そうであるなら,適当な話材を日頃から気をつけて探さなければなりません。社会教育という分野に目を向ける意識が生まれてくるはずです。自分で見て考えて話にまとめるという作業をすること,それが委員として必要な資質なのです。会議の時だけ委員になるというのでは,参加する姿勢として不適切です。
 正直言って委員会活動に慣れていない方が参画されることもあるでしょう。定例会議の案内文書に議事の内容を示して1週間前に届けているのも,会議までに必要な事項を考えた上で出席してもらうためです。もちろん,会議の終わりには,次回の会議の主な協議内容についてはご案内をしています。「宿題です」とあからさまにお伝えすることもあります。
 会議の運営スタイルに素直に乗ってくだされば,委員としての姿勢ができていくはずです。そうなるようにし向けていても,なかなかすんなりとはいきません。それでも,会議それ自体が委員としての研修の機会でもあり,それと気付かないうちに委員らしくなってくださることを願っています。
(2007年06月04日)