*****《ある町の社会教育委員のメモ》*****

【開店休業?】

 社会教育委員の会としての悩みがあります。委員構成として,従来,議員さんが2名入っておられました。社会教育委員が行政の企画に関わる機関であることを考えると,行政事業の承認の権限を持つ議員職が立案に参画することは,組織上不自然になり,疑問がありました。他の審議会等においても同じ状況があり,議員の自主的決断により行政関連組織への参画が必要最小限に絞られることになりました。社会教育委員からも任期切れを節目として今年度から撤退されました。委員の会としては,町全体を視野においた論議を進めることのできる人材を失うことになりました。今年はそのことを思い知らされました。
 議員枠の2名は新しく団体枠とし,従来からの団体からの委員の交代も含めて,10人中4名の各種団体所属の新任委員を迎えました。誰もが経験する「社会教育委員は何をするのか?」という迷いに直面された新委員さん方,それぞれに優れた実践活動をなさっている方々ですが,なにぶんにもこれといって決まった実践を伴わない委員の活動にとまどわれたようです。研修の機会があるごとに出席をしていただくことを優先しました。結果として,社会教育委員があれもこれも考えなければならない一方で,焦点の定まらない役割を持っているという印象に到達されたようです。
 実は,現在教育委員会から「生涯学習推進の方策について」諮問を受けており,その答申に向けて協議を進める仕事が課せられています。しかしながら,その協議をする上での基盤が,必ずしも委員全員一致しているとは言えません。協議の中で交わされるであろう言葉が全員に熟知されていなければ,文殊の知恵にはなりません。もっとも必要なことは,町全体を視野に入れた考察です。そのためには,町全体の状況を把握しておく必要があります。この点で議員さんという立場は適切な資質であったのです。個々の実践活動とは違った大きな視野に立つ,それが簡単には育たない委員としての責務なのです。
 この一年は委員の会の組織上の整備期間でした。一年の行事をこなす経験によって,委員の在り方をつかんでいただくことを期してきました。幸い,各委員が研修に参加して提出された報告書を拝見すると,それなりの成長をされていることがうかがえました。いよいよ来年から,本来の委員の会の仕事を進めていくつもりにしています。

(2007年12月13日)