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【地域団体等役員交代?】
地域での活動をしている組織や団体は,年度末の今の時期,役員等の人事,後任者選考に悩まされます。いろんな活動をしてもらうのはいいけれど,してやる側には立ちたくないというガードを崩す気苦労があるからです。何らかの形で順番を決めている場合は,仕方がないというあきらめを促すことが出来ます。しかし,誰かがやらなくてはいけない役割なので,誰かに依頼しなければならないという場合は,「誰かがどうして自分になるのか」という推薦理由を必要とします。余計なことはしたくないという逃げの気持ちがあるので,「もっと適任の人が居るはず」という断りを持ち出されますが,そのやりとりが苦労です。
逃げたくなる気持ちもあながち否定できない面もあります。いろんな形での地域での活動に協力が少ないという現実があります。人を集めるという苦労が常について回ります。任期を終えた旧役員がその苦労を一番知っているのに,辞任したらほとんど活動に参加しません。経験者が参加し協力するようになれば,年々増えていくはずですが,その流れはなかなか生まれてきません。終わったら後は知らないという不甲斐なさが気になります。
前任者が心ない発言をすることもあります。自分がどれほど大変なことをこなしてきたかということを自慢したいのでしょうが,必要な日数を水増しして吹聴するのです。そんなに大変ならとても出来ないと思わせてしまいます。誰も後任が決まらず,組織の解散という決着も起こっています。地域での組織活動の意義を全く理解していない不勉強な役員経験者であり,役員心得といった形での研修が必要です。
更に不可解なこともあります。誰もが誰かに役職を押しつけようとしているように見える中で,例えば役員推薦を受けたとき,一番最初の候補でなかったことを漏れ聞いて不快感を露わにする方もいます。また,なんとなく下馬評に挙がっている人について怪文書なるものが出回ることもあります。四苦八苦してやっと決まった後任役員に対し,人選の不手際をあげつらう陰口も聞こえます。人の思いというのは局面に応じて千変万化するようです。
機関に関わる委員職についても,人選は困難を極めます。口説き文句が共通して「年に数回の活動」という言葉です。推薦を受ける方はそれぞれに活躍している方なので,「忙しい」という断りがあることに対しての依頼の方便なのでしょう。でも実際には,それなりの責任を負わされるので,引き受けた以上一応の活動をしようとすると,年に数回では済みません。「だまされた」という声が聞かれます。もちろん,半分は冗談です。委員職を受ける方は,それなりの見識を持っておられるので,「こんなものだろう。しかたがないな」と納得されるからです。
社会教育の分野では,指導者の養成という課題が常に語られています。しかし,役職という肩書きが降りかかることによって人間関係が揺らぐという背景を考慮する必要もあります。出る杭は打たれるという,やっかみや嫉みという厄介な感情を封じ込める仕組みを構築しなければなりません。「あれだけ努力している人だから指導者になるのは当たり前」と思わせられる養成手続きが望まれます。
組織活動は役職の階層を必然としています。誰もが納得する人事でなければ,職務の遂行が円滑には運びません。人材の発掘と言うのは簡単ですが,年度末のいろんな組織の人事は悩ましいのが現実です。地域活動の分野は誰もが主役になれる,なるべきものという了解があることも,状況を厳しくしています。役職教育の機会を設けるなどして,居心地の悪い思いをしている役職者を下支えする活動を考えるべきです。
(2008年01月16日)
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