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【研修会への期待(その1)?】
教育事務所管内にある市町ブロック内で,社会教育委員研修会を4地区グループの持ち回りによって開催しています。その研修会実行委員会の反省のための会議が持たれました。従来は会議費用の当てがないので反省会議を開くことは想定していなかったのですが,今年度は幹事地区の発案で手弁当での開催をしました。
反省の協議ということで,型どおりの報告の他に,研修会の今後のあり方について意見の交換が行われました。スタイルについては,午前の講演会と午後の分科会という形からの変更意見はありませんでした。出席者のアンケートでも従来通りでよいという回答が大勢を占めていたからです。
議論は分科会の発表の内容に多くの時間がさかれました。有り体に言えば、分科会での事例発表が社会教育委員の活動発表になっていないという共通の認識が暗黙のうちに確認されました。さらに,ここ3年ほど分科会での協議では出席者を小グループに分けてテーマに沿ったグループ協議をする形式にしています。ところが,グループ協議ではテーマから逸れて委員として何をしているかという話ばかりが出ていたという反省も表明されました。このことは分科会での討議テーマの設定にも課題があることをうかがわせました。
このような実情把握に基づき,どうすればいいのかということについて話が動いていきました。当然のこととして,先ずは事例発表を社会教育委員の活動発表に限るべきだという結論になります。社会教育の活動について具体的に報告されるのは発表の題材として許容されるが,その活動の実施について社会教育委員がどのような役回りを演じたかということこそが大事な主題となるべきです。ともすれば,発表内容が社会教育委員として選出された母体の活動報告に終始する傾向があるために,たまたま委員であったに過ぎないという印象がぬぐえません。
昨18年度の研修会開催当番を引き受けていたときも,事例発表については,「社会教育委員としての発表を」ということをお願いしていたのですが,聞き届けていただけませんでした。実情を勘案すれば,かなり高いハードルであることは承知しています。せめて発表の端々に社会教育委員の姿が見えるようにしてもらうだけでもいいと願っていたのですが,委員の影は薄かったようです。事例=社会教育的実践活動という呪縛が強いようです。その中では委員が活動の主軸になることはありません。社会教育委員の会は実践活動組織ではないからです。単なる支援参加者になる程度です。ですから,事例発表は借り物の発表にならざるを得なくなります。
毎年の研修会開催なので,発表が市町の順番制になっており,当番市町には有無をいわさず何かを発表する役目が訪れます。委員活動が年に数回の会議といった市町もあり,当然発表できる活動はなく,委員の母体団体の活動に急遽参画して,にわか作りの発表となる可能性もあります。もしも,委員活動の事例提供に強い縛りを設けると,発表を辞退する市町も出てくるはずです。現実を無視することもできないところが,苦しい所です。
研修会に期待されている役割も考慮する必要があります。初めて研修会に参加する委員がかなりいるという状況があるからです。全国や地方ブロックの社会教育研究大会に参加する予算措置がないために、参加しようとすると自費出席を迫られているという背景もあって,身近な研修の機会としての期待が寄せられています。さらには,社会教育の研究大会ではなく、社会教育委員の研修会であるということが大事なのです。
このような現状があるとすれば,委員としてのあり方を指導する側の教育事務所の責務もなしとは言えませんが,それについては運営委員会の枠外の課題としておきました。また,委嘱時に委員の役割についてきちんと伝達するシステムが整備されていない市町教育委員会業務の貧困さも問われました。
当面する対処としては,3つの分科会のうち1つで,発表と協議というスタイルをやめて,委員の活動のあり方について意見交換するという場の設定を提案しておきました。来年度の研修会がどのような形になるか,大きな改変は無理でしょうが,修正を加えることはできそうです。今年度と次年度の開催担当の事務局で協議をすることに落ち着きました。期待(→●「(その2)」)をしておきましょう。
以上が社会教育委員研修会実行委員会の報告になりますが,一つだけ補足をしておきます。委員の役割について考える前に,委員の立場を明確にしておくことが大事なのです。委員は市町の社会教育全体を推進する立場にあるということです。個別の事業に関わることではなく,市町を視野に入れる場に立つという覚悟を求められています。その上で,あらゆる活動の総体が進むべき方向を見定める役割が意識できるようになります。その帰結として,教育委員会への諮問や提言が社会教育法の最初に規定されている意味が納得できるはずです。研修会における事例発表という言葉が無意識のうちに委員をミスリードしている事実に気付くべきです。
(2008年02月21日)
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