*****《ある町の社会教育委員のメモ》*****

【研修会への期待(その2)?】

 ブロック社会教育委員研修会の実行委員会で研修のあり方について論議があったことを前に(→●「(その1)」)書いておきました。その続きの会議がありましたので,コメントしておきます。

 問題になっていることについて,振り返っておきます。研修会では3つの分科会を開き,事例発表と質疑を行ない,後半には出席者を10人以下の小グループに分けて事例と関連したテーマについてグループ討議をしています。
 先の会議で問題として提起されたことは,「事例発表が委員としての活動発表になっていない」ということでした。市町で行われている社会教育活動の報告ではあるのですが,委員としての関わりが見えずに,むしろ選出母体組織の活動発表になっている状況がありました。社会教育委員の研修会ではなくなっていることに対する反省が確認されました。そこで,委員としての研修に向けて軌道修正を進めようという機運が共通理解されました。今回の実行委員会では,今年度の担当地区事務局からその提案がなされることになっていました。

 提起された案は,3つの分科会のうち1分科会を「委員活動」の討議に特化したものとして,ワークショップの手法を取り入れるなど,担当する市町村の独自性に委ねた運営にするというものでした。ただ,この変革を行う理由として述べられていたことが少し気になりました。グループ討議を行った際に,経験の浅い委員もいるため,発表テーマに沿った討議から離れて,「社会教育委員とは何をするのか?」といった根本的な討議に終始したという反省から,新人委員の研修という目標が掲げられました。
 実のところ,先の会議で指摘されたことは,新人であるかどうかではなく,社会教育委員全員が自らの役割を理解し,責任を果たしているかどうかという自己反省をする機会を設けることでした。そのために,事例発表の内容の修正が期待されていたのですが,新人対策のためにという筋のずれが感じられました。年度替わりで会議のメンバーも交代したため,論点のずれは不問にしておきました。何らかのアクションがあればよいことと判断しました。
 会議の流れの中で,提案に対しては,例示されたワークショップという手法についてやや危惧する意見が出されました。委員が必ずしも慣れているとは思われなくて効果が期待薄であること,敬遠されて参加が少なくなりそうなこと,さらには運営するノウハウが担当市町に重荷になるのではという心配もありました。特に手法にこだわる提案ではないので,委員活動のあり方に関する研修の機会を設けることに対しては特に異論はなかったようです。ただ,担当市町に運営を丸投げするというのも乱暴なので,何らかの形式を想定しておくことは必要です。次回の会議への継続審議になりました。

 研修会の定番として,参加に対するアンケート調査をしています。主として感想を尋ねるものなので,研修会の運営には大して役には立っていません。廃止するという選択は冗談でしかありませんが,折角の機会なので,委員の意識を調査する質問を追加しては如何かという提案をしておきました。例えば,「会議の回数として年間何回程度を望んでいるか」という調査を進言しました。委員研修を進める上では,委員の意識を把握する情報も必要であると思慮したからです。
 これに関して,会議の回数は予算を伴うことなので行政が決めているといったニュアンスの発言がありました。この件に関しては,大方の市町での規則・条例等で会議の招集は会長がすることになっているはずであり,必要な場合は招集できるはずです。回数を決めるのは行政サイドではないという理解を広めることが必要であると感じました。

 今回の会議で出た別の意見についてコメントしておきます。分科会が終了すると,そこで研修会が終了という形式を取ってきました。意見は,分科会の後で再度全体会を持ち,分科会報告をしないと他分科会の様子が分からない,というものでした。この点については,時間延長が必至であり,会場移動という動きをしなければならないといったこと,従来は行っていないといった意見が出されて,取り上げる展開にはなりませんでした。
 一つだけ,補足をしておきました。それは各市町の委員が分科会に分散して参加し,後日市町ごとの委員の会議の折に,報告をし合えばいいのではということです。委員の復習にもなるし,さらには帰って発表するという責務を負うことで,真剣な参加が期待されるというメリットを伝えておきました。このことは当方ですでに実証済みのことであり,その上に参加報告書にまとめることも行っています。自ら学び取る研修にすることが大切です。

 会議全体についての感想を添えておきます。同じ教育事務所管内の4つの地区がブロックを構成しています。隣接する地区ですが,委員の活動状況の程度にはかなりの差があります。同じ基盤ではないことから,足並みを揃えようとすると,どうしても無理と思われる局面が足を引っ張ってしまいます。無難なところで落ち着かせるしかありません。委員の交代もあるので,積み上げていくことも期待できません。
 委員の資質向上という道を進むことも必要ですが,同時にシステムをより効果的なものに改変するという視点も大事になります。体制が整備されれば,自ずから委員の役割も具体的なものになるはずです。その意味で,委員のための研修会ですが,行政の担当者にとっても真剣に参加をしてほしい研修会であるということができます。

(2008年08月01日)