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日々是好日
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2020.09.30 風邪

コロナ禍の最中に風邪を引いた。
クシャミと鼻水で、漢方薬(改源)を服用して様子を伺うが、少し熱っぽい。普段なら診療所へ行けばなんとかなるが、この御時勢ではあらぬ疑いが掛かっては始末が悪い。現に、物々しく防御服で身を固めての診断もあったらしい。

”改源”一箱ひたすら飲んで、ほぼ治まったので、診療所に行き普段どうりに定期の診断を受けた。今冬は、インフルエンザ・ワクチン接種を受けることにした。高齢者の最低限の努めであろう。

コロナ禍回避よりも経済活動停止の方が深刻に扱われだした。その根拠は新型コロナの実態が分かってきたからと言うが、その確率が50%50%であることを誰もが承知している。世間の誰もが精神的に限界に来ている。「突然変異」を生業としたウイルス禍は、いつ牙をむいてもおかしくない。開発されるワクチンがどれ程有用なのかは、まだ誰も知らない。独り独りが、後悔しない行動をとるべき段階にきている。

10月からは、様子を見ながら今年の課題「5世紀の倭国(日本国)」の探索を再開するつもりだが、・・・


2020.08.31 夏の終わり
 
残暑の尾張平野(38℃越えの夏空に雷雲)
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8月25日 中日新聞・総合面より転写
コロナ遺伝子解析結果 国内で報告された感染者数
8月30日 中日新聞・社会面より転写
愛知県の第2波感染
7月初めより感染が顕著となり、7月末より減少化した
 

新型コロナウイルス感染症(COVID19)は、武漢(中國)で発生以来、その強烈な感染力、スーパースプレッダーの存在とクラスター感染、急激な病状変化と死などにより人々に恐怖を与えた。我国でも、2月初旬より流行の兆候が見え始め、3月~5月には大流行し、保健所業務の激増、検査体制の不足と医療器具・設備の不足、治療にあたる病院、医療体制の逼迫など予期せぬ事態が続出した。4月には全国的に緊急事態宣言が発せられた。この時点で、三密回避など国民の自粛意識は高まり、5月末には最初の難局は乗り越えたかに見えた。

然しながら、新宿(東京)に燻ぶっていた残り火は、1ケ月も立たない中に、7月初めより全国的な感染流行を再燃させた。この期間で注視されるのは、沖縄諸島にも感染が拡大した事、全国的に死者数は抑えられたことであろう。後者に関しては、逼迫する医療体制の中で悪戦苦闘し続ける医療従事者の奮闘と、適切な医療技術の試行錯誤の成果にある。公衆衛生・感染症・ウイルス・免疫など諸学問分野での知見、諸企業による医療機器・設備の増強・効率化も、第1波・第2波と進むに従い”全日本”的な協調の下に広まった。

図に示す中日新聞・社会面の新規感染者数は、8月29日までのもので、お盆休み・ゴーツートラベルの影響は明らかではないが、この記事を書く時点(09/03)では大きな変わりはなく減少傾向にある。大雑把に、お盆休みの地方への人の分散は前年比50%以下との集計もあり、人々の自粛度の高さが表れたのかも知れない。

8月末、安倍首相の辞任が発表された。席上、コロナ対策への最後の政府約束として、「20万件/日の検査体制、指定感染症の分類変更、ワクチンの接種可能の見透し」が述べられた。引継ぐ内閣ではコロナ禍での経済対策が注目される。新政策の陰に隠れて、COVID19感染防止が後退する前に、確実に実行して貰いたい。世界的な流行が収まらない現状では、引き続く感染の波が、あらゆる検疫をすり抜けて、間を置かずに到来することは必至であろう。

コロナ禍に当たっての特別番組は興味深いものが多い。NHK BS1スペシャルではマリアナ・マッカ―ト女史の対談番組「コロナ危機 未来の選択」が放映された。
インターネット・GPS・携帯電話網・人工頭脳など、イノベーション(技術革新)は一部の企業の成果でなく、国家戦略としての投資の結果である。ワクチン開発は、一部の企業の利益でなく、国家と世界的な枠組みの中で開発・提供されるべきで、特許制度の乱用があってはならないと言う。新しい資本主義では、GDP(国内総生産)など数値で表せる指標に替わって、「数値で表せない価値」を指標とすべきだとも言う。コロナ禍による経済回復においては、政府の主導・責任の下に行い、将来の国家的利益のために行なう。したがって、将来国家に重要となる企業に対する資金は、国家と国民との契約の下に早急に実行し、国家の役割を果たすべきだと言う。「国家・イノベーションの関係」は、先述したユヴァル・ノア・ハラリ著「ホモサピエンス史」のキー概念である「国家・資本主義・科学革命の関係」と共通する(等価である)と、私は解釈した。

コロナ禍が始まって半年余りが過ぎた。ワクチンの効用、抗体の持続性など「コロナ危機回避への科学的側面」について、国内の諸大学・研究機関から新事実が次々と公開され始めている。「全日本」的研究が基本的な検査データ上で議論され、日本の底力が発揮され始めている。今後の成果が期待される。



2020.07.29  四連休は観光旅行?
お花の生産者もお花屋さんも困っている (春日井都市緑化植物園) 

先月記事では、「三密回避・不要不急の外出の自粛の倫理・定着」は危険だとの説を引用した。パンデミックが去れば積極的に忘れて、三密を回復する方が良いと。然しながら、全国民の80%の辛抱を経て獲得した”コロナ禍の暫しの休み”は、1ケ月ももたなかった。
ロックアウトに疲れた国民は、首都圏で燻ぶる火種を無視しての”終息宣言・経済回復の掛声”を、半ば不安と期待をちながら信じて日常に戻ったが、燻ぶりはパンデミックを終息させることなく容赦なく拡大しつつある。

大相撲は名古屋場所を国技館開催に切り替え、桟敷席は空、升席は升に一人で掛声なしとして、粛々と催されている。前頭5枚目・阿炎が感染防止の規則違反をしたと、錣山親方(寺尾)は場所中7日目から休場させた。コロナ禍中でのエンターテイメントの責任の在り方を明らかにした。
プロ野球・Jリーグは無観客試合から始まり、声なき声援を送る観客を入れての試合へと移行し、フアンはテレビ画面で日常を取戻した。甲子園の風船飛ばしが見られる日は、コロナ禍の完全終息日である。海を越えて、始まったばかりの大リーグでは、ベンチ内のひまわり・唾の飛ぶ風景はない。それでも、マーリンズの選手・コーチ十数人がコロナ感染し、シーズン続行が危ぶまれている。

国会は閉会し、感染拡大防止を台無しにする政策だけが施行される。PCR検査の必要性を首相に説いた山中信弥(京大)教授、東京・新宿の現実の感染状態は最悪事態を招くと予言し検査・隔離対策を進言した児玉龍彦(東大先端研)名誉教授、PCR検査の拡充による感染防止と経済回復を主張する小林慶一郎主幹(東京財団政策研)の科学的根拠は確かであったが、これらをスルーして、経済回復と称しての”ゴーツートラベル”の前倒しはいただけない。感染拡大防止の一つの柱”移動の制限”ルールを自ら積極的に破ろうとするのであるから。事後の感染拡大は火を見るより明らかである。今や、児玉教授の言う「目を覆うばかりの状態」になりつつある。

不思議なのは、コロナ禍の対策に大忙しの中で”なぜ今?”の案件(9月新学期、ゴーツートラベル、ワ―ケーション)が続出したことである。日本は「神風の吹く国」から「科学に背を向けた不思議な国」になリ、ボルソナル(ブラジル)、トランプ(U.S.A)支配下と同じ世界に向かっているように見える。ニューヨーク州(U.S.A)ではクオモ州知事の行政手腕により改善方向に向かっている。”いつでも、どこでも、何回でものPCR”を行政の中心に据えている。不幸なことだが、日本国民は”日本のクオモ出現”を期待する気になっている。過去の日本の歴史において、動脈硬化に陥った政治権力下で、よく見られた歴史の風景と同じである。

7月23日一面記事 7月29日一面記事
左上: 国内感染者数の推移ー22日
国内795人、東京238人、大阪121人、愛知64人(名古屋44人)
  左上:愛知県・岐阜県の推移ー28日
国内981人、東京266人、大阪156人、愛知110人(名古屋65人) 

7月の毎日、大雨前線が日本列島に停滞し、球磨川(熊本県)、最上川(山形県)などが大氾濫した。コロナ禍の日本ではボランティア活動もままならない。ゴーツートラベルで観光地旅行への政府応援はあっても、被災地へのボランティア派遣は出来ない。この不合理さを引き起こす原因も、PCR検査で保障された社会がない現状にある。災害列島・日本には、東海トラフ大地震、火山大噴火、大台風襲来などいつ起きても不思議でない事案が山積している。




2020.06.26  県境移動自粛の全面解除

再開された春日井都市緑化植物園と築水池周辺お散歩コース

4月7日に発令された緊急事態宣言は、6月23日の県境移動解禁を以って全面解除された。武漢(中國)で発生しパンデミック(世界的大流行)を引き起こしたコロナ禍(COVID19)の日本列島襲来第一波の終息とされている。一方、世界的な感染拡大は留まることはない。我国は、来るべき第二波への暫しの休息・準備期間に入った。
第一波では、ユーラシア大陸南西部からオセアニア諸島に向って広く神風が吹いたように見える。COVID19は、感染の拡がり・重症化への速度が速く、その拡大規模に人集団・地域差があることによる予期できない不安を与えた。若干の例外はあっても、多くの日本人は恐怖を感じ、自制・自粛の生活を自ら選び神風を呼んだ。現時点までの抗体検査結果によると、日本の新型コロナ感染率は低い。日本に吹いた神風の正体は、山中信弥教授(京大)の言う「ファクターX」として、科学的に解明されることが期待されている。

コロナ禍への対策として採択された「三密回避・不要不急の外出の自粛」は、緊急時の対策としては理に合っていたとしても、人々の当面の生活・幸せを犠牲にした。精神科医・斎藤環(筑波大)は、6月半ばの中日新聞(社会面)のインタビュー記事で、「自粛の倫理 定着は危険」と述べている。人を”不潔なもの”として避ける感覚は社会的機能を低下させるという。この行動変容は一過性のものであり、パンデミックが去れば積極的に忘れて、三密を回復すべきで、もし第二波が来て、それまでに対策が打てないままでいれば、改めて三密を回復する柔軟性が必要だと説いている。

Jリーグ・プロ野球が始まった。選手はサッカー・野球ができることに喜びを感じ、テレビ前の観客は日常を取戻した。しかしながら、スポーツの醍醐味を味わうには、まだ距離がある。無観客で開催し続けた競馬・大相撲と併せて、競技者(馬)と観客やスポンサーの関係が見直された。ギリシャ・ローマで競技者・闘士が争い群集・貴族が生々しく熱狂した姿は、今は否定されている。元の生活を望むのか、新しい生活を築くのか、両者が飛び交い途惑う。リモート授業・リモートテレビ中継・リモート飲み会などなどは、可能性は広く大きくても、不思議なモダンタイムスを呼ぶ。不用意なリモート化は、人類の将来を見越しての正しい選択なのか否かはよく判らない。

三密回避・移動制限は恒久的でない方が保守的な人間には有り難い。物わかりの早い日本国民は、緊急事態全面解除により素早く元の生活に戻ろうとする。現状の全国的な感染拡大は一様ではなく、地域によっては”終息”の掛声に反して、未だ多分の危険を孕んでいる。危険を孕んでいない岩手県では用心を増し、危険を孕む首都圏などでは用心を解きたがる。国の方針が首都圏中心になることは否めない。経済回復には三密・移動が必須だと飲食・旅行に出かけたがる。V字回復だと煽る向きもある。特に外国人旅行者の誘致には慎重でありたい。今までもそうであったように、個人個人は自身の体調・各地の状況を見極めて、自己責任(他人に迷惑をかけない)で行動するしかない。

第一波で出遅れた検査(PCR、抗原、抗体検査)体制は整備されてきている。既存薬剤の応用、新薬・ワクチン開発なども着実に進行している。厚生労働省は「接触確認アプリ」を無料配布した。早速、ダウンロードしてみたが、どれ程実際に役立つのかは不明のままである。何らの社会実験も必要だろう。「財政・経済面の回復は、感染症対策・検査体制強化から始まる」とする積極的な意見が諮問委員会の経済専門委員より提出された。「コロナ感染で崩された経済はコロナ対策で取戻す」という尊重すべき意見と思われる。最近、政府のコロナ対策体制・人的構成に変化が見られた。従来の専門委員会・諮問委員会は、誤解を受けながらも適切な科学的指針を与えてきた。従来の委員達の熱意を引継ぐ体制を望む。新型コロナ対策は”サピエンス全史”の著者、ユヴァル・ノア・ハラりの言う「科学革命の時代」の一つの命題である。日本には、それを解くに相応しい心強い人材が溢れている。

新型コロナウイルスは短期間に根絶されるようなものではなく、コロナ渦は始まったばかりである。その震源地である中國では既に第二波の兆しが見える。日本列島では全国的な感染拡大が止まったに過ぎない。来るべき第二波、第三波では「神風」が吹くとは限らない。この一瞬の休息を如何に過ごすかが重要となっている。
五輪開催は日本人なら誰でも望んでいる。しかしながら、国内事情の不安定さと同時に、感染拡大を続ける世界情勢に、開催国の立場での慎重な決断が必要となる。五輪誘致の際に「東日本大震災の原発事故は制御下にある」としたのと同様に、「日本の新型コロナ禍は独自の方策で終息した」と言うのは危険すぎる。世界の競技者と人々の生命がかかっている。


2020.05.23  「緊急事態宣言」の日々

緊急事態期間での「80%減少の外出自主規制」を見事成し遂げた国民は凄い。4月になって、当所より変わらず事に当たってきた感染防止対策班グループを応援する形で、複数のノーベル賞学者を含む海外・国内の日本人研究者・医師・医療従事者、他部門(科学・経済)の学者および製薬会社など日本の総力を挙げての知見・体制作りが次々と提出され、日本の綜合力が日本の将来を見据えていることに安心感を与えた。緊急事態宣言期間での国民の全てを犠牲にした生活は一応の実りがあったようだ。
小休止を得た新型コロナウイルス感染であるが、次に来る二次三次の流行に備える体制が急がれる。新型コロナウイルス(COVID-19)のゲノム(全遺伝情報)解析が進み、原初型・武漢型・欧米型から派生した多くの変異型が見つけられ、夫々に毒性が異なっているという。今後も変異型・派生形は増え続き、これらに対応するワクチンの開発は容易ではない。国内の研究者・医師は、急ぐあまりの安全性を犠牲にしたワクチン開発を戒める。「ワクチンさえ手に入れば、オリンピック開催ができる」という短絡的な妄想は持たない方が良いようだ。

朝霧の瀬戸の山々
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空気の綺麗な名古屋中心部

令和2年4月7日、新型コロナウイルスの急速な蔓延に対応して、13の特定警戒地域を含む47都道府県に対して、改正特別措置法に基づく「緊急事態宣言」が発令された。外出、商業施設の使用停止など私権制限を伴っている。期間は当初5月6日までの1ケ月としたが、さらに引続き5月一杯まで延長した。5月14日、宣言継続についての見直しが行われ、特定警戒地域の中、茨木・石川・岐阜・愛知・福岡の5県と特定警戒以外の34県は宣言解除され、東京・神奈川・埼玉・千葉・北海道・京都・大阪・兵庫の8都道府県は継続とした。解除された地域では、知事により制限された私権(外出制限、店舗・学校の休業など)は、知事の権限で規制の解除・継続が決定される。この国・地方自治体の二重構造は分り難い面もあったが、担当大臣と大阪府知事との一悶着もあって、行動制限の要請元は知事権限であると明示された。私のウォーキングコース”都市緑化植物園”は5月31日まで閉鎖である。
5月21日、首都圏(東京、神奈川、千葉、群馬)と北海道を除き、緊急事態宣言は解除された。各府県独自の自粛項目は5月一杯続けるものもある。(5/25 国による緊急事態宣言は全ての都道府県について解除された)

緊急事態宣言が発令されると、全ての経済行動が制限され、商工業従事者と一般国民が困窮する。宣言と補償は対をなすべきで、ここても政府方針は解りづらかった。商工業従事者の休業補償については書類を作るのも容易でなさそうだ。一般国民に対しての自粛協力(負担)金としては、一人当たり10万円の「特別定額給付金」が定まった。この窓口は市町村役場となる。総務省はマイナンバーカードを使うと簡単とアナウンスしたが、マイナンバーカードが普及していない(16%)現状にはそぐわない。
この件に関しては、一つのニュースが目に留まった。「青森県西目屋村では政府・補正予算成立日の4月30日に即応して、村の補正予算を専決処分し、村議員6人が現金給付を希望する世帯を回り直接手渡した」とのことである。災害時の実際的な対応は、市町村>都道府県>国の順番できめ細やかになる。西目屋村はブナ林で有名な白神山地の山麓・弘前市に近く、弘西赤石林道が山中を日本海側と結ぶ地にある。平成5年に白神山地が世界遺産になった。今でも素朴さの残る日本の原風景を残す地である。国(担当大臣)の”上から目線”発言が問題視される”コロナ禍の日々のニュース”の中にあって、何か清々しい。

聖武朝・天平年間(729年~748年)前半に、疫病・天然痘ウイルスが大流行した。「続日本紀」には”裳瘡(もがさ)”と記されている。天平7年8月に九州で始まり、天武天皇の皇子である新田部親王、舎人親王が相次いで亡くなっている。前年末に来日した新羅使、前々年(天平6年)末に帰国した遣唐使が伝染源と見られている。天平9年には、多数の貴族と藤原四兄弟が、4月に房前(次子・57才)、7月に麻呂(四子・43才)と武智麻呂(長子・58才)、そして8月に宇合(三子・44才)が他界する。律令国家・日本を作り上げた天武・持統朝にあって事実上の立役者は大政治家・藤原不比等とされ、不比等の子・藤原四兄弟は文武両道に優れ、全員が政権の中枢を占め将来を託されていた。当時の感染対策としては、感染路(山陽・山陰道)の諸国で、疫神の侵入防止の神事”道あえの祭”を行った。また、光明子(聖武天皇の皇后、不比等の娘)は一切経の書写を発願し、”施薬院”で病人に薬を与え入浴させた。
天平時代の仏像は力強く正倉院御物は豪華に今に伝わる。平城遷都・大仏(廬舎那仏)建立・大和の諸寺と全国に建立された国分寺・国分尼寺は、天平時代を始めとする奈良時代の華々しさを披露するが、一方では、長屋王の変・天然痘大流行・聖武天皇の度重なる遷都などで民衆の不安を招いた。律令国家の誕生まもなく到来した疫病は、律令国家の確立・完成への途上で大きな混乱と崩壊を呼び、平安遷都・貴族社会・武家社会への道を歩むことになる。

自粛生活の楽しみは読書である。「サピエンス全史 上、下」(ユヴァル・ノア・ハラリ著:柴田浩之訳)2016.8初版)を出来るだけ丁寧に読み返している。7万年前にホモ・サピエンスは、認知革命により、共存していたネアンデルタールとの交替劇を成し遂げた。その後のサピエンスは、農業革命、産業革命、科学革命を通して、「サピエンスは現在、神になる寸前となり、創造と破壊の神聖な能力さえも手に入れかけている」。(ネアンデルタールとホモサピエンスの交替劇については、赤沢威(人類学)+西秋良宏(考古学):「現代思想 第44巻第10号、特集:人類の起源と進化、平成28年5月、青土社」の討議がある)

ハラリは、サピエンス(現生人類)の進化(成長)は、当面した時々で、”サピエンス自身の選択”により、歴史・ヒトの形成を築いて来たとする。創造主がヒトを造り、ヒトが”神の世界”の下で成長したとする歴史観(日本の場合、記紀神話を原点とする)ではなく、進化論の範疇にあるヒトの成長を語る。神話・宗教の位置付けは、文化の一つとして、資本主義、民主主義、共産主義、国家主義などと同列に扱われる。人類の歴史は、人類の成長の段階で幾つかの選択肢の中の一つを選び、進化してきたのであり、選択肢を今更変えることは出来ない。将来像として「幸福の追求」を取り上げ、それは個人の「生物的な幸せ」追及でなく「瞑想による幸せ」の追求、さらには「幸福の追求さえ求めない瞑想の中にある」とする。

ハラリ氏はコロナ禍について、3月15日-4月28日に3回、TIME誌、フィナンシャル・タイムズ紙、ガーディアン紙に緊急寄稿した。サピエンスは自身の造り上げた歴史に責任があり、従って、コロナ禍に対しては”協調性”の精神”が最重要であることを強調している。サピエンスがグローバルな世界を選んだのであるから、「××ファースト」ではなく、「協調を基盤とした世界」が将来を育む世界であると主張する。 (ハラリ氏のコロナ禍への意見は、Web河出に全文掲載されている)

     日本列島・日本史    
参考;日本列島人の歴史 
斉藤成也:岩波ジュニア新書、2015.8
  参考; サピエンス全史
ユヴァル・ノア・ハラリ:河出書房新社、2016.9
考古学年表 日本書紀・古事記 日本史
          20万年前 ホモサピエンスが進化
  石器時代        7万年前 認知革命(突然変異?)
 言語能力→噂話・(伝説・神話・宗教)→虚構・協力
3万7千年前 山下人 沖縄

2万7千年前 白保竿根田原遺跡(全身骨)





   旧石器・縄文  ヤポネシア時代



 

 
4万年前 後期旧石器・前半
    台形様石器、局部磨製石斧
 
2万9千年前 姶良Tn火山灰   3万年前 ネアンデルタール絶滅
後期旧石器・後半 
石刃技法/広郷、杉久保、瀬戸内技法
     
1万2千年前 神子柴・大平山元遺跡
     細石刃、尖頭器、土器
  1万2千年前 農業革命
16,000~11,500calBP 縄文草創期
11,500~7,000calBP 縄文早期
7,000~5,470calBP 縄文前期
     神話による社会の拡大
 想像上のヒエラルキーと差別
5千年前 最初の王国、書記体系、貨幣、多神教
縄文時代  5,470~4,400calBP 縄文中期
        火焔土器、王冠土器  
  BC5,000~BC4,000 古代メソポタミア 想像上の秩序 
BC3100 最初の王国(エジプト王国)
BC2250 最初の帝国(アッカド帝国)
4,400~3,400calBP 縄文後期      BC1776 ハンムラビ法典(バビロニア帝国)
3,400~3,000calBP 縄文晩期  神話の時代
BC1000 ハカタ時代(水田耕作)~  
弥生時代  BC900 山ノ寺式、夜臼式    2千5百年前~ インド仏教、キリスト教、イスラム教
BC400 菜畑・板付・吉武遺跡 BC660 神武天皇即位(紀元節)    BC221~AD206 秦朝 始皇帝 

AD200  
ヤマト時代(古墳→飛鳥)
          
         (奈良時代) 
 
古墳時代  AD200 邪馬台国       
AD421~AD502 倭の五王
AD694 藤原京 
AD672-686 天武期/古事記・日本書紀
天壌無窮の神勅
(紀/一書)
   
    AD710 平城京     
AD 800  平安京時代 
  平安・鎌倉・室町・戦国・安土桃山
      500年前 科学革命    資本主義
    AD1639 南蛮船入港禁止令(鎖国)     1687 ニュートン(プリンキピア) 古典力学
AD1603 江戸幕府開設



       
江戸東京時代
 
 
  
  200年前(1760-1830) 産業革命
 1858 ダーウィン/種の起源
    AD1868 明治維新(王政復古)      
         1930年代/現代物理学(原子、核、素粒子)・現代化学 
    AD1945 第2次大戦・終戦     
         1953 現代生物学/生化学 DNAの二重らせん構造
   「家族とコミュニティ」→「国家と市場」 
           動植物の大規模な絶滅
参考年表 (製作中:未完)

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