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日々是好日
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2022.09.16 新型コロナ第6波から第7波
   
 
 中日新聞(22.09.16)  

今年正月を起点とした新型コロナウイルス・第6波、オミクロン株は、BA.1、BA.2、・・BA.5と、その遺伝子の一部を変異して置き換わってきた。7月初旬より主流となったBA.5では、感染力が一段と強くなり「BA.5が第7波となり感染拡大し始めた」と、政府感染症対策分科会は宣言した。同時に、感染力は高いが重症化率は低いオミクロン株では「特別な行動制限は必要とせず、感染拡大への一層の注意を必要とする」との行動指針が示された。以降、我国の新規感染者数は、統計上では世界のトップクラスの多さになった。大相撲名古屋場所では、感染力士が多出した為に当日の取組が成立しなかったり、プロ野球ではチームを組めない球団も現れた。
市中感染・家庭内感染も広がり、従来のような肺炎を伴う重症患者は多くはないが、中等症患者が医療機会がないままに重症化するケースが目立ち、慢性化した我国のコロナ対策への欠陥が再び社会問題となった。感染者は保健所の管理下で検査を受け短期間の自宅隔離に入るのが一般的となる。このパターン化した作業が、感染者急増のために渋滞してしまう。

私個人のコロナ対応としては、8月3日、4回目のワクチン接種を受けた。初回と2回目がファイザー社製、3回目がモデルナ社製、今回はファイザー社製である。腕が少々痛くなった程度で、解熱・痛止剤(カロナール)の服用は殊更に必要としなかった。副反応が低いノババックス社製、更に、オミクロン株対応の2価ワクチン(従来株とBA1対応)も秋以降には出回るという。このワクチンはBA.5にも効果があるという。
ワクチン接種に関しては、継続して接種の機会を得るように、市行政に直結する掛りつけの診療所で受けている。地域行政が普通にコロナ診療に関与する時機も近い。実際に、医療用抗原検査キットによるコロナ診療は、検査キットは不足しがちだが既に始まっている。

感染力は強いが重症化率が低い”オミクロン株”の流行では、新型コロナウイルスへの対応が世界的に変化した。武漢から漏れ出したとされる当初の新型コロナ(武漢株)の蔓延に対して、中国では「ロックアウト」を、WHO(世界保健機関)は「検査・検査・検査」を推奨した。我国では感染拡大の核となるクラスター対策と感染拡大を誘発する行動「密・人流」の制限・回避を軸とした政策が進められた。
当初は、それらに優劣は付けられ得なかったが、感染拡大が長引くことになれば、医療としてのみならず社会的な問題としても、それらの差異は顕著となってくる。更に重要なのは、感染症としての制約以上に、社会・経済的な視点からの最適解が要求される。新型コロナへの知識が増し、検査機会が増し、治療薬・抗ウイルス薬・ワクチンの開発が進み、新型コロナウイルスの弱毒化が見られれば、事情が一変する。コロナ禍への対策の最適解は、その国の科学・医学的な行政手腕と国民の理解度の上で成り立つ。

武漢株以来2年半を経て、新型コロナと社会生活との共存に進むべき条件が次第に整いだした。すなわち、世界に広がる新型コロナウイルスに対するゲノム解析・感染拡大状況の把握と検査キット・抗ウイルス薬・治療薬の開発などが一元化し、世界的に同じ方向に歩む時期に来ている。「密を避ければ経済が回らない」とか、「ロックアウトすれば社会生活が成り立たない」とかの二律排反を避けて、「科学(医学・薬学・医療)技術に基づいた社会」がパンデミックを乗り越えることになる。
WHOでは、「新型コロナウイルスのパンデミックは終わりが視野に入って来た」という。変異株に対応するワクチン開発、抗ウイルス薬・治療薬の認証などへの見通しと、コロナウイルスの弱毒化を期待しての発言である。変異株対応ワクチンの継続的接種と「検査・検査・検査」が通常化すれば、その日も近い。



2022.04.05 ウクライナ侵攻
梅は咲いた。桜も咲いた。 愛知県のコロナ感染者遷移
(中日新聞)

3月2日、3回目のコロナワクチンを接種した。前2回がファイザー社製で今回はモデルナ社製であった。副反応としては、1回目は殆どなく、2回目は腕の痛み・倦怠感を少々感じた。今回(3回目)は腕の痛み・悪寒・倦怠感が2~3日続き、痛止・解熱用のカロナール(アセトアミノフェン)錠を2日間(5回)服用し、一週間で完全に復調した。
3月22日、1月8日以来施行されていた”まん延防止が全国一斉に全面解除された。愛知・岐阜では2ケ月ぶりとなる。第6波での新規感染者の日毎の変化は、左図に見るように、ピークに達してからの落ち方は鈍く、むしろ3月後半から徐々に増加しだした。第6波では感染者数は桁違いに多いが、重症化率は低かった。東京都はいち早く、オミクロンBa2への移行が急であると発表したが、全国的にも同様となる。更に、第7波の候補として、新型の変異ウイルスXEが発見され、変異は繰り返されている。

現在、日本を含めて世界的に、検査体制の強化・コロナウイルスの弱毒化・ワクチンと治療薬の普及を基底として、感染防止の為の規制は緩められる傾向にある。長期化した逼塞した社会からの脱却を意図している。この緩和策の中心にはワクチンのブースター接種があり、感染状況のへの的確な現状把握を共有する必要がある。適切な間隔でのブースター接種と情報の共有、そしてコロナウイルスの自然消滅を期待する。スポーツイベントなども7割強の観客制限で催され、コロナ脱出への希望的ムードが漂う。

疫病大流行と政変・戦争は、過去にも対となって屡々現れた。疫病大流行を阻止するには、人々の接触機会を少なくする。その結果、社会の分断と独断的な行動が前面に出る。争いごとは対話で解決するよりも独断的な直接的行動を生む。北京オリンピックが終わりパラリンピックに移る期間、2月24日、ロシアはウクライナ侵攻を始めた。
コロナ禍の延長沿いに、鬱積した分断化社会の到達点がある。ウクライナ国民は、地下シェルターで密集した生活を余儀なくされ、街は破壊され、国外逃避に彷徨う群れとなることを強いられた。連日壮絶な戦況・都市破壊が報道され、ロシア軍の戦争犯罪行為が明らかとなる。戦場ではコロナ禍の増幅に構う余裕はなく、それ以上に、生物・化学兵器や核爆弾の使用の脅威が増す。
第二次世界大戦の戦勝国は、「航空機・Uボート・ロケット・レーダー技術から終には原子爆弾」に至る科学技術開発に支えられた。戦後、貯えられた軍事技術の民生化、更に軍需と民需の敷居が低くなり、社会の発展が促進された。現在の科学革命の時代は、電子機器・通信・情報器機、IT・人工知能の急速・異常な進歩とともに、戦術核・戦略核、ミサイル・ロケット、生物・化学兵器、レーダー・位置情報取得技術、インテリジェンス・サイバー技術、ステルス・無人機、ドローン・ナビゲーション、カウンターメジャー・ジャミング、偽旗作戦・欺瞞工作など多くの兵器・兵術を生んだ。これらの中には、”神”だけが使用を許されるものが幾つかある。人類が獲得した道具が、全地球を焦土化し人類を大量虐殺・破滅に導くことを怖れる。ところが、独裁者は”神”になったと勘違いし、周囲も「大君は神にしませば・・・」と持上げ服従する。ホモサピエンス全史の現段階・科学革命の時代では、人類の理性的な振舞いが試されている。



2022.01.31 コロナ 第6波
 
濃尾平野の西空
養老山地、鈴鹿山脈に沈む冬の夕日
愛知県のコロナ感染者遷移
(中日新聞)
 

令和4年、控え目ながら初詣に賑わう正月を迎えた。「元の生活に戻った」との声も聞かれたが、世界に広まったコロナ感染の波は容赦ない。現在の日本人の多くが最も友好な国と思っている米国の沖縄基地からオミクロン株は浸み出した。鎖国でもしていない限り、パンデミックは経路を選ばず、侵入し易い道を選ぶ。

コロナ禍に明け暮れた2年間としては、昨年10月以来、日本は世界にも稀な安穏な3ケ月ほどの日々を過ごした。”ゼロコロナ”は中國的な厳しい監視下の代名詞のようにされるが、”ゼロコロナ”が日本の3ケ月の延長線上にある事も期待したい。中国的なゼロコロナも元を断つ政策的な一つであるが、ゼロを達成するには、公衆衛生・医療技術・ウイルス学・ヒトの行動様式などよりの幾つかの方策がある。「ウイズコロナからゼロコロナへ」が実現する日を期待したい。
「感染が落ち着いている間にしておくべき事があったはずだ」との批判もある。しかしながら、落ち着いた隙間に、短期間でも精神的な健康を取戻せたことも喜びたい。オミクロン株Ba1は感染力は強いが重症化は低い。それでもあまりの感染力の強さに、医療現場は逼迫している。ウイルス感染の特徴に合わせた臨機応変な対処が求められている。

ブースター接種が急がれている。かかりつけの診療所任せの私の場合、3月初めに接種する。2回目接種の7ケ月後である。現在流行の亜種Ba1のピークには間に合わないが、より感染度が高い(重症化は不明)と言われる亜種Ba2の流行には間に合いそうである。日本人はワクチンもマスクも少々の不便も厭わない。コロナ禍の脱出の条件は揃っている。何年か何十年か何百年かの感染症との付き合い方を考えておく必要がある。
オミクロン禍で感染者数が増えれば増えるほど、公共的な医療頼みだけでは不安になる。それが、パンデミックな感染症の必然ででもある。医療知識に乏しい私は、喉に優しい風邪薬(パブロンゴールド a)を薬局で求めて、オミクロン株対策のお守りとしている。

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