ー美濃・大和を周回 1.0ー | ||||
美濃の古墳巡り | (岐阜県、愛知県) |
2010年4月末より5月初めにかけて、美濃・近江・大和・伊勢を周回した。ここでは、「美濃の古墳巡り」について記す | ||||
ヤマト王権が国家として確立していく時期に、時の天皇が常に尾張・美濃・伊勢を意識した行動をとったことは、興味深い。 古代には三関(鈴鹿関、不破関、愛発関)が定められ、三関を境にした西と東の世界が存在した。 東山道は、大化改新(645年)頃より整備され、不破関より大野駅・方県(かたがた:岐阜北部)駅・各務駅・可児駅・土岐駅・坂本駅(中津川)から神坂峠を越えて、信濃阿智駅に至るとされている。美濃国では中山道にほぼ沿っている。古代の駅周辺には、古墳時代初期より古墳が築かれており、その地を支配した豪族(首長)の台頭が想像される。美濃の古墳を巡り、現在の古墳の姿を知る。 |
||||
下記の古墳・旧跡・資料館を訪ねることにした。「現地に立ち、その風を感じる」を目的としている。ある古墳は荒れるがままに放逐され、ある古墳は開拓の名の下に姿を消し、ある古墳は近代的な技術により再築されている。消失した多くの古墳については、考古学的な調査結果を、資料館で偲ぶことにする。 美濃の初期首長墓は山頂に築かれたものが多い。東之宮古墳、鎧塚古墳、象鼻山古墳、円満寺山古墳などは濃尾平野を見下ろしている。それが、権力誇示か山上他界への思いからかは分らない。美濃地域に限らず、土地の人々は祠を立て祭りを催し古墳を守ってきた。そこに、遥かな祖先を敬う地方特有の美しさ・祈りがある。 |
Ⅰ.一宮市・犬山市・各務原市・可児市 | ||||
1 | 猫島遺跡 | 尾張一宮 | 弥生遺跡、名神下り一宮PA内 | |
2 | 青塚古墳 | 犬山 | 4c中葉、前方後円墳、120m、矢道長塚と同時代 | |
3 | 東之宮古墳 | 々 | 3c末ー4c前、矢道長塚(大垣)と同時期、前方後方墳、72m、三角縁神獣鏡5、方格規矩鏡6など | |
4 | 坊の塚 | 岐阜 | 5c前半、前方後円墳、120m | |
5 | 衣装塚 | 各務原 | 4c末~5c前半、円墳、52Φ、前方部削平か? | |
6 | 可児郷土歴史館 | 可児 | 突線鈕袈裟襷文銅鐸(弥生後期)出土品 | |
7 | 東寺山1・2号墳 | 々 | 3c後半ー4世紀前半初、前方後方墳 | |
8 | 高倉山古墳 | 々 | 3世紀後半、前方後方墳 | |
9 | 長塚古墳 | 々 | 4c後半、前方後円墳 前波古墳群(他に野中、西寺山古墳)、舶載と倭製三角縁神獣鏡 | |
10 | 川合考古資料館 | 々 | 次郎兵衛1号墳 | |
Ⅱ.関市・岐阜市 | ||||
11 | 弥勒寺官衙遺跡群 | 関 | ムゲツの里、円空館・弥勒寺 | |
12 | 琴塚古墳 | 岐阜 | 5c、前方後円墳、115m、景行天皇の后・五十琴姫命墓の伝承あり | |
13 | 柄山古墳 | 々 | 4c後半~5c初、前方後方墳、82m | |
14 | 岐阜市歴史博物館 | 々 | 東町田遺跡の情報(方形周溝墓→前方後方墳) | |
15 | 鎧塚古墳 | 々 | 4c後半~5c初、(眉山)、前方後円墳、82m、椿井大塚山と同範の三角縁獣文帯四神四獣鏡 | |
Ⅲ.揖斐郡 | ||||
16 | 野古墳群 | 大野町 | 5c中ー6c前、前方後円墳、乾屋敷・不動塚・モタレ・登越・城塚古墳 | |
17 | 上磯古墳群 | 大野町 | 4c後ー5c前、前方後方墳:北山古墳(83m、舶載内行花文鏡)と南山古墳、亀山古墳は前方後円墳、 | |
Ⅳ.大垣市・養老町・海津市 | ||||
18 | 赤坂総合センター | 大垣 | 発掘調査(赤坂古墳群、弥生遺跡)成果の情報 | |
19 | 昼飯大塚古墳 | 々 | 4c後半、前方後円墳、150m、 | |
20 | 粉糠山古墳 | 々 | 5c前半、前方後方墳、100m | |
21 | 八幡山古墳 | 々 | 5c前半、前方後円墳、80m | |
22 | 遊塚古墳跡 | 々 | 5c前半、 (花岡山古墳;4c前半、舶載三角縁神獣鏡) | |
23 | 大垣市歴史民俗資料館 | 々 | 美濃国分寺跡 | |
24 | 矢道長塚古墳 | 々 | 3c末~4c初、前方後円墳、90m、昼飯大塚山より一世代前、舶載三角縁神獣鏡(東博)、(矢道高塚) | |
25 | 象鼻山古墳群 | 養老町 | 1号墳:3c後半ー4c初、前方後方墳、40m、山上の古墳群 | |
26 | 円満寺山古墳 | 海津 | 4c前半、東之宮古墳(犬山)、矢道長塚古墳(大垣)と同時期、前方後円墳、60m、舶載三角縁神獣鏡2面 (一面は東之宮、昼飯大塚山と同範)、画文帯神獣鏡、直刀、鉄製品など、 |
|
参考文献; 1.中井正幸:日本の遺跡21「昼飯大塚古墳」 同成社 2007.5、 2.美濃古墳文化研究会編:「美濃の前期古墳」 教育出版文化協会 1990.3、 3.赤塚次郎:「幻の王国・狗奴国を旅するー卑弥呼に抗った謎の国へ」 風媒社 2009.12、 4.白石太一郎:「東国の古墳と古代史」 学生社 2007.9 |
次に |