最新の日記

back to top page

日記のフリindex

03.1204.02

日記のフリ 日記というよりは、気になったこと、興味のあることを忘れないようにメモしてる、ってほうが正しいので「フリ」。

日付ごとにアンカー付けています。e.g. http://www5a.biglobe.ne.jp/~nanatsu/diary0401.htm#20040106


2004年1月

その他

小林充『築地のしきたり』
なだいなだ『老人党宣言』
ディック・フランシス『大穴』
ロバート・クローズ『燃えよドラゴン』
内村鑑三『代表的日本人』
堀江敏幸『雪沼とその周辺』
フランシス・コッポラ『地獄の黙示録 特別完全版』
ポール・ハンター『バレット・モンク』
篠原哲雄『木曜組曲』
野瀬泰申『全日本「食の方言」地図』
西澤保彦『スコッチ・ゲーム』
犬童一心『ジョゼと虎と魚たち』
瀬々敬久『Dog・Star ドッグ・スター』
グレン・グールド『ブラームス:4つのバラード 2つのラプソディ 間奏曲集』
山本鈴美香『エースをねらえ!』
大崎善生『将棋の子』
マジッド・マジディ『少女の髪どめ』
ロマン・カチャーノフ『ミトン』@ユーロスペース
ビリー・ワイルダー『お熱いのがお好き』@新文芸坐
ビリー・ワイルダー『アパートの鍵貸します』@新文芸坐


1/31(土)
ロマン・カチャーノフ『ミトン』(ソ連・1967〜1972)@ユーロスペース。「レター」「ママ」「ミトン」の3つ、合わせて30分の上映。立ち見が出る混みようでした。とにかく、人形とは思えないなめらかな動きと豊かな表情が、情緒、余韻、せつなさ、あたたかさで画面をいっぱいに満たす。1コマ1コマを気の遠くなるような作業で作り上げたんだろうなあということにも思いをめぐらしてしまう。3作品にはどれもママが登場するのだけど、パパの存在は表面に出てこない。同じロマン・カチャーノフの『チェブラーシカ』よりも、こちらの作品たちのほうがより好きだと思った。

ビリー・ワイルダー『お熱いのがお好き』(米・1959)@新文芸坐。およそ完璧な映画じゃない? どこから誉めればいいのやら。

ビリー・ワイルダー『アパートの鍵貸します』(米・1960)@新文芸坐。『あなただけ今晩は』に、多少の納得のいかなさを感じていたので、これもそういう感じだったらいやだなあと思いながらずーっとみていた。幸い、このまま終わったんじゃこの映画好きになれない! というギリギリのところまでいったあと、いやあ名作だわ、と揺り返したのでした。好きだなと思ったシーンがラストシーンでリフレインしてくれたのが嬉しい。

新文芸坐も満席で、40年くらい前に10代20代だった男の人がたくさんという客層。男性用お手洗いが混雑のため休憩時間を2分遅らせます、というアナウンスが入ったのが新文芸坐らしくていい。

みた映画すべてが素晴らしかったというとても嬉しい一日。帰りの電車の風景もなんだか私好みで。


1/30(金)
マジッド・マジディ『少女の髪どめ』(イラン・2001)。なんて抑制の効いた映画!!! 感情は言葉で示されることなく、表情、行動そして情景が表現する。目に見えるものが目に見えぬものを表現する。唯一“残された”足跡さえ、たちまち雨で消えゆく刹那。

これをみてしまったら、たとえばベルナルド・ベルトルッチ『シャンドライの恋』(イタリア・1998)を無償の愛とは言いにくい……。なぜかというと、『シャンドライの恋』では、彼が彼女の(夫)のために家財一切を売り払ったというのが彼女は知るからだ。ところが『少女の髪どめ』では、彼が彼女のためにしたことは、彼女にとっては庇いと引越しのお手伝い。金銭的な援助をしたことは伝わらないままなのだ。いや、伝えない、のだ。


1/28(水)
埴谷雄高『死霊』(1)講談社現代文庫(→Amazon)があと少し。先に大崎善生『将棋の子』講談社文庫(→Amazon)を読み終わった。


1/27(火)
肉屋さんのショウケースの中に雪だるまが2つあるのを発見。びっくりした。

びっくりしたといえば、間違えてDVDと本を買ってしまいました。Amazonでのこと。グレン・グールド『Grieg・Bizet・Sibelius:Piano Works』(→Amazon)を買うと決めたので、カートに入れ、そのまま買う手続きをしたあと、Amazonからの受付確認メールがきて内容に慌てた。『女神の恋』(→Amazon)と『おうちのスープ』(→Amazon)も一緒に買ってしまってたー。気になる商品をカートに入れたあと、「今は買わない」にするのを忘れたまま、よくよく確認もせずに買う手続きをしてしまったのだった。ただ、『女神の恋』は欲しくて迷っていたものだし、実物を見たこともなかった『おうちのスープ』も届いてみればかなり素敵な本だったので、まあいいか!

グレン・グールド『ブラームス:4つのバラード 2つのラプソディ 間奏曲集』は、間奏曲集ばかり聴くようになってしまっている。特に、眠る前、作品118-2を横になって聴いているとせつなさに胸がきゅーっと苦しくなって涙まで出そうになる。静かに降る雨のような穏やかさなのに、あまりの素晴らしさで私の心臓は心拍数が上がります。この曲に恋してしまった。今はもういないブラームスと、やはりもういないグールド。


1/25(日)
厚手のセーターに上着は軽くでちょうどいいくらいだった。

ポストをのぞくと、やはり届いていた。グレン・グールド『ブラームス:4つのバラード 2つのラプソディ 間奏曲集』(→Amazon)。ひととおり聴いてみてどれが特に好きかいえないくらい素敵。弾くならどれかなあなどと夢想してしまう。グールドが弾いているということを感じずに、曲そのものの素敵さを味わっている。とはいえ、ほかの人の演奏を聴いたことがないので、やはりこの曲集が素敵なのはグールドのせいももちろんあるか。間奏曲集はグールドが録音した10曲からの抜粋になので、『間奏曲集』のみも持っていたくなる。

木曜日に上戸彩主演の『エースをねらえ!』が放映しているのを見て漫画を読み返したくなり、買った。むかーし、なぜかマーガレットコミックス版の4巻から7巻までを譲り受け(ほんとになぜなのか覚えがない)、その続きも人に借りて一度は読んだはずだったけれど詳しくはもう忘れてしまっていた。最初の物語も覚えていないけれど、とりあえず自分が持っているところの先ということで文庫版の5巻から10巻まで。宗方コーチ亡きあとの物語は昔は面白くないなーと思っていたのに、今読み返すともう嗚咽が出るほど泣いてしまってまいった。こういう展開だったのか。大人な物語でした。

夕方、マーティン・スコセッシ『レイジング・ブル』をみはじめたけれどあまり面白く感じられず、眠くなってしまったのでコタツに入ったまま横になる。ああどうしてコタツに入ったまま横になるのはこんなに眠りやすいんだろう……。寒くなって目が覚めるのも、眠りすぎなくてちょうどいい。いいや、この映画はあきらめた。


1/24(土)
今日は一日引きこもりと決めた。ポストに何か届いていたとしても取りに行くのは明日にしよう。

瀬々敬久『Dog・Star ドッグ・スター』(日・2002)。シリウスの別名はドッグスターと知る。ラストでの犬と井川遥のシーンでホロリときたのは、それまでの過程を知っているのに加えて、犬そのものの存在感でかな。以前、瀬々監督の『RUSH!』をみて構成がうまいなあと思ったけど、こちらもうまい。なにか問題のある設定をしかけて、途中で小さく気にさせ、のちにうまくつなげる。それにしても、井川遥に癒されるというより、井川遥を癒したくなる内容だ。あと、トヨエツにはもう少し痩せていただきたい。

NHKドラマの『ちょっと待って、神様』を2週分撮りためていたのをまとめてみた。宮崎あおいはもちろんいいが、泉ピン子の制服姿にガンバレとエールをおくる。ひっさしぶりに観た裕木奈江はどうにも憎まれ役ばかりさせられるようです。

NHKドラマといえばかなり評判が良くてDVD・ビデオ化希望が殺到した『女神の恋』、11月に商品化されていたんですね! (→Amazon)熱意は伝わるものなんだなあ。欲しくて考え中。と思っていたら、どうやら再放送するらしい!!! 山口祐一郎が好きな人が多かったようですが、私は松本明子のかわいさにやられた。

昨晩から小沢健二『Eclectic』(→Amazon)な気分が続いています。


1/23(金)
犬童一心『ジョゼと虎と魚たち』をみた。今、彼女の表情を見たい! という瞬間で表情が見えない。その豊かさよ。たとえば、「ジョゼっていい名前だね」と言われたときは後ろ姿。肩の線さえ物語ってる。それから、初めて手をつかまれた瞬間の表情も、約束のあとの表情も。見えないことで彼女が素晴らしい表情をしていることを想像する。ジョゼとの別れで、彼は「逃げた」という表現をしたけれど、ただひとつの恋が終わっただけだと思う。だって、恋の終わりなんて。

心配していたPG-12はやはり残酷シーンではなく……。でも、なにをもって基準とするんだろう? 胸がばっちり見えていたら、なのかな。

ところで、途中、音声が飛んでしまった場面があって、続くのかなあと思っていたら復活。劇場を出たら、音声が止まってしまったようで申し訳ありません、と次回用にポップコーン券とジュース券をくれました。ワーナーマイカルにて。


1/22(木)
旧正月。今年の陰暦カレンダーの始まりです。

西澤保彦『スコッチ・ゲーム』角川文庫(→Amazon)を読み終わる。『依存』も感想が書けなかったけどこちらも書けないなあ。読む順序を失敗しました。

混んだ電車の淀んだ空気に時々耐えられなくなる。山手線に乗るのがどうしてもいやで地下鉄を使って帰った。歩くし、かなり大回りになったけど、座れてよかった。同じ電車で移動でも、JRより地下鉄のほうが落ち着く。

風邪が流行っているようだけど今はまったく引く気がしない。


1/20(火)
野瀬泰申『全日本「食の方言」地図』日本経済新聞社,2003(→Amazon)を読み終わる。身近の友達をひっつかまえて「これ本当?」と問うてみたくなる、食の方言の数々。天ぷらにソースなんて! 冷やし中華にマヨネーズ? 旅行に行ったときの楽しみはその土地の料理を食べることだと思ってますが、これを読むと、いわゆる「郷土料理」ではなくて、日ごろ食べている「普通の料理」を食べてみるのも新たな発見があって楽しそうだと思った。

犬童一心『ジョゼと虎と魚たち』をみようと思っているのですが、PG-12というのが気になる。残酷シーンかエロシーンがあるってことなんだろうけど、残酷ではないよねえ……。

自分が薄い水色だと思っているセーターを、「それはグレーだよ」と言われたことがある。でも私にはどうしてもグレーには見えなくて、絶対に青が入っているのだ。ところが、先日、青だと思って買ったパンツをやはりグレーと表現された。私にとって世界は青みがかっているのかしら?


1/18(日)
少し大回りするような道を歩いて隣の駅まで。雪の残った地面を一箇所だけ発見した。

篠原哲雄『木曜組曲』(日・2002)。恩田陸の原作を面白く読んだはずなのに、ほとんど思い出せないまま映画をみつづけた。こんな軽い記憶喪失もたまには楽しい。「今夜はタイスキよ」の後の、セリフが入る前の食事シーンでは、役どころを離れて微妙に「素」な感じを受けてしまった。セリフなしの食事のみで役どころを感じさせるのはとても難しいことなんだろう。それにしても、浅丘ルリ子の役どころである作家は、彼女でなければここまで圧倒的な存在感をあらわせなかったと思う。その作家魂に、浅丘ルリ子の女優魂が透けて見えるような凄み。


1/17(土)
フランシス・コッポラ『地獄の黙示録 特別完全版』@シネ・リーブル池袋。(前回みたときの感想)。朝11時から3時間23分の映画をみる人はあまりいなかった。でも、この映画が好きでみにきた、という静かさと緊張感に満ちている客席は、映画に集中できてとてもいい。さて、映画は、前回みた時には何も疑問に思わなかったのに今回はすーっとのみこめないことも出てきて、みおわったあとにいろいろ考えた。整理がついてみれば、前回は映画にのみこまれていただけでむしろ理解できていなかったのかもしれないと思った。

ポール・ハンター『バレット・モンク』(米・2003)@ワーナーマイカルシネマズ。みた順序が悪かった。銃弾と死体以外すべて本物という『地獄の黙示録』のあとでは『バレット・モンク』の出だしのCGとワイヤーアクションからしてちゃちくて仕方がなく、まるで“はめ込み画面”。みればみるほどガックリ、みおわってションボリ。アクションは、どちらがどちらをどう攻撃したのか、その瞬間が飛んでしまってて動きがわかりにくい。あるいは動きのはやいところだけが目立って目で負えない。だから、私ですら目を閉じずにみられるシーンばかりで、むしろ迫力がなくなってしまっている。それはカメラのせいなのかしら。B級に徹しているのならばそれはそれで愛すべき映画になれるのに、そのいさぎよさがない。B級のかわいらしさが欲しかった。チョウ・ユンファ好きとしては辛いよ。


1/14(水)
堀江敏幸『雪沼とその周辺』新潮社,2003(→Amazon)。連作短篇集。「雪沼とその周辺」という、シンプルかつ的確なタイトルが堀江敏幸らしい。私ももっと年老いたとき、日々の積み重ねがあることを今よりもはっきりと知るのかしら、輝かしかったり派手ではなくても自分だけが残した足跡みたいなものを。


1/13(火)
内村鑑三 鈴木範久訳『代表的日本人』岩波文庫(→Amazon)を読み終わる。「新渡戸稲造『武士道』、岡倉天心『茶の本』と並ぶ日本人が英語で日本の文化・思想を西欧社会に紹介した代表的な著作」とのこと。たまたま『武士道』『茶の本』を読んでいたので、じゃあこれも、と読んでみました。紹介している人物は、西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮上人。西郷隆盛の章では、「もっとも偉大な人物が世を去りましたが、最後のサムライであったのではないと思われます」(p.35)と書かれており、映画の『ラスト・サムライ』のモデルが西郷隆盛であるとも言われていることから、なんとなくつながりを感じました。


1/12(月)
ロバート・クローズ『燃えよドラゴン』(米=香港・1973)。ブルース・リーの映画を初めてみた。リーは明晰な思想の持ち主なんだね…。だから、しびれる。物語の流れからしても、戦うのが好きで戦っているんじゃないのがわかった(墓の前で少林寺の掟を破ることをお許しくださいとも言うし)。戦っているときといないときの表情の落差が大きい。戦っているときの表情を見ていると、怖くて、同時に悲しい気持ちになった。さみしい気持ちになるアクション映画……。特に、オハラを倒したあとのリーの表情は必見。胸がしめつけられる。こんな表情をする挌闘家は今まで見たことがなかった。


1/11(日)
『冬の日』@ラピュタ阿佐ヶ谷か、李纓『味』@シアター・イメージフォーラムをみに行こうかと思っていたけれど、あんまり気乗りがしなくなって素直にやめることにした。

隣駅まで散歩していたら、パンダが! 住宅展示場への案内板を持って少々上向き加減に立っている。また少し歩いて歩道橋を上るところで、今度はコアラが! こちらも同じ展示場案内らしく、椅子に座って頬杖つき加減だった。あと一匹ぐらいどこかにいそうとわくわくしつつ、結局見つけられず。冬は着ぐるみを着ていると寒くなくていいから着てるのかな。

もういちど『クローサー』(香港・2002)をみたくなってTSUTAYAで借りて帰る。こんなにサービスショット満載だったっけ。スー・チーからヴィッキー・チャオへの“世代交代”でもあるのかしら……と改めて思ったりする。あと、『燃えよドラゴン』も借りてきたので明日みようと思う。


1/10(土)
姪から、誕生日のプレゼントのお礼の電話。どっちが面白かった? とたずねると「両方」と言われたので嬉しい。私自身は話を知らない『きつねのおきゃくさま』(→Amazon)と、個人的な好みの『よあけ』(→Amazon)を送って、きっと『きつね〜』のほうが気に入るだろうなあと思ったので。それにしても、姪との会話は、たくさん話したいし退屈させちゃ悪いし、と考えて気持ちがあせる。なので質問責めにしていると、突然自分の言いたいことを言われてびっくりし、同時に助かった〜とほっとする。好きな科目の話とか、ファインディング・ニモの話を聞いた。


1/9(金)
会社からの帰り、違う道を歩いてみたら楽しかった。私が写真を撮るのがうまかったならば撮りたいと思うお店があって、そのたたずまいに、胸がきゅーんとした。どうしてなのかわからない。ただ、その静かな店構えや商品の並べ方や空間の余裕に、まるで時間が止まったようなせつなさを感じたのです。


1/8(木)
毎日毎日時間の過ぎるのが遅いと思っていたのに、1日書かなかったと気付いて、ああそんなに時間が経ったのかと思った。

ディック・フランシス 菊池光訳『大穴』ハヤカワ・ミステリ文庫(→Amazon)を読み終わる。初めてこのシリーズを読みました。シッドが出てくるものを読みたかったので、シリーズ最初のものではなくこれを。イギリスは階級社会なんだな……と身にしみるような描写があって唸る。肉体的にも身体的にも「痛み」をたくさん感じた内容だったけれど、何気ないやりとりの中の「何気なくなさ」がとても良くて惹かれた。原文とともに、訳も素晴らしいのだと思う。

TVで感動的なものを見て泣きそうになるのをこらえていたとき、ふと、なぜ泣くのを我慢してるんだろうと思った。一人でいるときくらい「わーん」と泣いてしまったほうが楽なのに。悲しくて泣いているのじゃないんだし。


1/6(火)
小林充『築地のしきたり』NHK出版(生活人新書),2003(→Amazon)。ゴム長靴に競馬新聞やマグロを扱う時の鉤なんかも入れちゃったりする、築地の“ファッション”。築地の場内を歩き回っている気分になる。

なだいなだ『老人党宣言』筑摩書房,2003(→Amazon)も読み終わる。


back to top page

日記のフリ index

03.1204.02