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読後メモ
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2014.5/2014.7
日記の
フリ
日記というよりは、気になったこと、興味のあることを忘れないようにメモしてる、ってほうが正しいので「フリ」。
日付ごとにアンカー付けています。
e.g.
http://www5a.biglobe.ne.jp/~nanatsu/diary1406.html#yyyymmdd
2014年6月
読・観・聴・その他
6/29(日)
直島に行ってきました。
家プロジェクトで
はまず南寺へ。ジェームズ・タレルの「Backside of the
Moon」は15分刻みの予約制。鑑賞するための手続きは、まるで善光寺のお戒壇巡りのようでした。自分を信じて暗闇の中で目を開けて静かに待つ……。
暗闇は、本当の暗闇は、なかなか慣れるものではありません。その中に見えるぼんやりとした光は確かなようでいてやっぱり心もとなく、足元のおぼつか
なさや、人影が見えても頼れない不安感や孤独を感じる印象的な作品鑑賞でした。長く心に残るでしょう。必見。
その後、別の家プロジェクトをみたあとに地中美術館へ。
地中美術館の5つのモネの睡蓮は白くて広ーい場所に置かれ、自然光で観られます。近くで観るとわからないのに離れると光を感じる絵。素敵でした。ジェーム
ズ・タレルの『オープン・フィールド』は靴を脱いで鑑賞する作品。意表をつかれて面白かった。ほかにも靴を脱いで人数に制限をかけて観る作品があり、ゆっ
たり鑑賞できるのも魅力の一つ。体験型(体験的?)な美術作品は、視覚だけではなく自分が動くことで五感を刺激されるところが楽しい。
豊島にも行ってないし、直島にもまだ見ていない箇所が残っています。作品は逃げないので年単位で楽しめればいいかなと思っています。ベネッセハウスに宿泊
するといろいろ優待があるようなのでいいなーと憧れます。
ベネッセアートサイト直島
6/27(金)
昆正和『山で正しく道に迷う本』。“リスクマネジメントの
専門家が書いた登山の本”。これを読む前に、本当に迷った人たちの生還の話を何冊か読み恐怖で固まったのですが、こちらはドキュメントではなく、登山にお
けるリスクの分析と陥りやすい罠に関する注意喚起です。しかし、些細なことが運命を分けるのだということに変わりはありません。実際の危機に陥らないよう
にするのが一番、でも、本当に陥りそうになったときはまずは水を一杯そして深呼吸、これは正しいことなのだと思います。
吉田修一『横道世之介』。途中で世之介の現在を知りびっく
りしてしまったのだけど、そこでひどく感情が揺さぶられるというよりなんとなく「さもありなん」という気持ちになる。世之介と関わった人たちの現在は様々
ではあるし、彼らの運命を変えた何かを世之介がしたわけではない。ただ、ポイントとなる“事件”の場に世之介がまるで寄り添うようにいたりして、そのこと
を思い出すたびに現在の彼らはふと彼のことも思い出す。私が知りたかった事柄が謎のまま残されているのがもどかしくもあり、想像力をかき立てることでもあ
るな、と思った。
吉田修一『路(ルウ)』。台湾高速鉄道を軸にそれらに関
わった人たちが物語として登場するのだけど、7年の長きにわたる人間関係を読みながら「まだ始まっていないふたり」の物語でもあると思った。
6/20(金)
村上宣寛『ハイキング・ハンドブック』。心理学の研究者が
書いたアウトドアの本。自身の趣味であるハイキング(トレッキング)の装備や食事等についてあれこれ述べたもの。データの表示などに研究者らしさを感じ
る。ときおり出てくる「わが奥様」という表現がなんとなく面白い。いろいろなトレッキング関連本の一冊と併せて読むと「やっぱりこの道具はいいものなんだ
な」と確認できたりして、そういう意味では役立つか?
小林百合子・野川かさね『山と山小屋』。ガイドブックをあ
れこれ読みあさっていると、人気の山、有名な山がわかってくるし、個性的な山小屋の存在も気になってくる。この本の目次には行ってみたい山・山小屋がたく
さん載っていて、著者と山小屋の人たちとの距離の近さが羨ましいような気にもなる(しがらみもあるかもしれないけれど)。そして写真が美しいです。山の楽
しさの一つが凝縮された本。
吉田修一『東京湾景』。たぶん、吉田修一の本を読むのは初
めてです。図書館で借りたハードカバー。帯もないから、あらすじもなにもわからないまま、パラパラめくってなんとなく選んだ。
亮介の気持ちは涼子(美緒)に向いているのはわかるからこそ、美緒の気持ちの冷静さが気になっていた。そして二人の環境は近いとはいいがたい。第三者から
見たら「うまくいきそうにない恋」だ。
美緒が亮介の火傷の真相を知ってからの展開が、予想を裏切られて素敵だった。アントニオーニの『日蝕』のラストに言及しているところがミスリード的でうま
いと思う。佳乃が怒って発したセリフ「美緒も亮介くんも何も始めてないじゃない」が印象に残る。もちろん、ぐっときたという意味ではラスト直前の「東京湾
を泳ぐ宣言」にはかなわないが。
正直、亮介の「いつか終わる」という感覚はわからなくないんだよなあ。けど、思ってはいても、それを好きな人に対して発言しては
いけないのだろうねえ。機微を感じて読みがいがありました。気に入ったので他の作品も読んでみます。
6/15(日)
御岳山(929m)から日の出山(902m)そして最後は「つるつる温泉」というコースを歩いてきました。
自宅最寄り駅6:19発で、青梅線御嶽駅着が8:04。ここから先、バス10分にケーブルカー6分でやっと御岳山駅に着くのですが、バス10分を歩くこと
にしました。
ケーブルカーの御岳山駅からビジターセンターまでの道には、自然に関するクイズや知識のお知らせがあり楽しい。去年来たときにはなかった気がするのです
が。後ろにある花を香りをかいでみてください、スイカのような香りですよ、とか、1分間耳をすませてみてください、鳥の鳴き声がきこえると思いますとあっ
て、その日の朝に職員さんが聞いた鳥の種類がリスト一覧になっていたり、ついつい立ち止まってクイズに答えたり体験したりしてしまいました。のんびり歩く
ことができて良いです。
御嶽神社にお参りしたあとは関東ふれあいの道に入り、日の出山をめざします。難しいところはなにもなく、木陰の涼しい道を歩いてゆく感じ。頂上からの眺め
は素晴らしい。晴れていれば富士山も見えるようですが、それがなくても充分に嬉しい景色でした。ベンチがたくさんあるのでお昼を広げるにも良いです。おに
ぎりを一つ食べて栄養補給。
ここからは「つるつる温泉」を目指します。この道もまた急な下りもなくゆるやかな下りを繰り返してゆくだけでストレスがないです。つるつる温泉には、登山
客が来るのをわかっていて広い荷物置きがありました。浴場のロッカーの大きさのサイズもわかるので、入らなければ貴重品だけ持ってここに置いておけるとい
うわけです。
料金は3時間で840円。最初にお金を払うとロッカーの鍵を渡され、それが浴場のロッカーの鍵番号でもあります。お風呂に入ると本当につるつるのお湯!
無料の休憩所があって、お昼寝している人がいました。お風呂のあとにご飯を食べて14:00のバスに乗り武蔵五日市駅まで20分、400円。14:32武
蔵五日市ー15:00昭島と乗り継いで帰宅。
去年、御岳山から七代の滝、ロックガーデンなどを巡った行程よりも今回のほうが好みでした。良い眺めと歩きやすくてさわやかな道が気に入ったのです。温泉
で終了という行程は初めてでしたが、想像以上にいいですねー。汗も流せて疲れが取れます。さっぱりとしたいでたちで帰宅できるのが嬉しい。
御嶽駅8:04/8:16 滝本駅9:00 御岳山駅9:06/9:20 ビジターセンター9:30/9:35 御嶽神社9:52/9:57 日の出山
10:45/11:03 つるつる温泉12:13
6/13(金)
桐野夏生『緑の毒』を読み終わる。犯人の卑怯さ犯罪の重
さ、そして桐野夏生にしては軽い読み口の作品。犯人には一切情状酌量の余地がないので、おかしみのある結末にざまあみろ的感想を抱く。
羽根田治『ドキュメント 生還』。登山中の事故によって危
機的状況に陥った人たちが生還するまでをドキュメントにおこしたもの。もう充分、遭難の怖さについてはわかっているのに読んでしまいます。ウジ虫怖い。ウ
ジ虫の危険さが怖い。
6/1(日)
『映画をめぐる美術ーマルセル・ブ
ロータースから始める』@東京国立
西洋美術館を観てきました。
はっきり言うと、あんまり楽しめなかった。
アナ・トーフ『偽った嘘について』は、カール・ドライヤーの『裁かるるジャンヌ』をモチーフにしているようだけど、うーん…?
という感じだったし、やなぎみわ『グロリア&レオン』はその名のとおり『グロリア』と『レオン』の引用。ただし、かなり“トウの立った女子高生”によるも
ので、なぜかエロティックで猥雑な感じを受けた。気に入ったのは、田中功起『コーヒーと旅』。コーヒーを淹れようと決めて、道具を一つ一つ日本中を旅して
調達する面倒で“くだらない”ところが素敵。エリック・ボードレール『重信房子、メイ、足立正生のアナバシス、そして映像のない27年間』は66分。脱落
する人も多く、もうちょっと短くできるのでは? などと思ってしまいました。
などとグチグチ書いてしまいましたが、実際にはもっと過激なことを同行者に吐いてしまった。
ちなみに本日は「MOMAT
コレクション」が無料で、疲れていたけどせっかくなのでざっと流すつもりで観てきました。結果、こちらのほうが楽しかった。川端龍子や草間彌生には圧倒さ
れたし、ブリンキー・パレルモ『四つの原型』を観ていると、私はやっぱり現代の抽象的なものが好きだなあと思う。最後、ジュリアン・オピーの「日本八景」
よりのいくつかの作品は、テラスに出てそこからも眺めてみてくださいとあったのでそうしてみたら、さらに美しく見えた。不思議だ。
『映画をめぐる美術』の間は私にはやっぱり美術を楽しむ素養がないのかなあと思ったり、いやいや、すべてを好きになろうとしなくてもいいのだ、なんていろ
いろ思ってしまったのだけど、「MOMAT コレクション」のほうは楽しかったので、あんまり悲観しないようにします。
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2014.5/2014.7