記事No | : 1730 |
タイトル | : ちんばとよばれて大悟する。 |
投稿日 | : 2012/11/09(Fri) 11:29:53 |
投稿者 | : 桃青 |
先々代の師匠にはお眼にかかったことはないが、古い信者さんから逸話をよく聞かされた。
あるお弟子さんは、足が不自由であった。
足の不自由を因とした様々なことを苦しんで、内弟子にはいられて修行されていた。
先々代は、そのかたを用があるとき「ちんば!」「おい、ちんば!」とお呼びになった。
そのかたは、たまりかねて
「先生。私には名前がございます。どうか名前をお呼びください。」
と、お願いされた。
先々代は「おお、そうだったな。すまなかった。」と、お答えになったので、そのかたは「これで、これからは名前を読んでいただけるだろう。」と、思われたのだが、先々代はやっぱり「ちんば!」「おい、ちんば!」とお呼びになる。
そのかたは、腹がたつやら、なにやら、「こんなところへ来るのではなかった。」とまで思い悩まれた。
そうこうしているうち、ある時、はっと気が付かれたそうです。
「あ!私は確かにちんばなのだ。」と。
それ以後、そのかたは「ちんば!」と呼ばれる度に
「はぁーい!」と明るく返事して、足を引きづりながらくるくると用をこなされ、信者さんたちからも信頼を集められたと。
全てのかたが「ちんば!」と呼ばれて何事かに眼を開くということでもないでしょう。
その資質を見抜いて、「ちんば!」と呼び続けられた先々代の教化の御力も素晴らしいですが、呼ばれて大悟されたそのかたも素晴らしい。