4月のおはなし 創刊:1987(昭和62)年 解説 西本鶏介先生 現在、 350冊を超える 絵本・児童書を 発表・活躍されている 児童文学作家。 |
美しい桜の花びらごはんに 葉っぱのお皿とお金。 桜の木の下の花の家。 幼児の大好きなままごと遊びの楽しさが、 ぐんぐんふ〈らんでいきます。 やっと五つまで数えられるようになった パピー ちゃんが、 自分で花びらを集め、 五円の花びらごはんをつくったのです。 もし、だれも買いにきて〈れ なかったら どうしよう。 「あそぼう、あそぼう、五えんであそぼう、 さくら のはなびらごはん、 一さら五えん」 パピーちゃんの呼びかけは、 友だちを求める幼児の心そのもの。 五円のくり返しには、 五つまで数え ることのできた うれしさが こめられているのです。 それにこたえてうさぎのう−ちゃん、 ねずみの ね−くん、くまのく−こちゃんが、 思い思いの菓っ ぱのお金を 持ってかけつけてくれました。 いっしょ うけんめいサービスする パピーちゃんと 花びらごはんをたべるお友だち。 ただの花びらも、 ここでは、ど んなものよりも おいしい心の通いあったごちそうで す。 すっかりうれしくなった パピーちゃんは、 おみやげに、花びらでつくった 首かぎりまでプレゼントし ます。 「またあそぼう、さようなら」。 送るものも、送 られるものも、 それぞれの思いを胸に、 明日もまた 遊べることを 信じて別れます。 ままごと遊びや買い物ごっこの楽しさから 友情のすばらしさまでも つなげてくれる花びらの首かぎ り。 美しいイメージと暖かな春風の中で、 幼児の姿をいきいきととらえます。 |
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