Topぺーじ     五十野惇の 制作あとがき
 (このページを別ウィンドウで開く)      毎月のパピーちゃん絵本 売店







11のおはなし
小さい秋


解説
西本鶏介先生
児童文学評論家・作家





































せいいっぱいの知恵を働かせる
幼児のユーモラ スな行為を通して、

移りゆ〈秋の季節感までも
感 じさせてくれるお話です。


枝の上で、風にゆれているまっ赤な柿の実、
たっ た 1つ故に、
いっそう心をかきたてます。

「どう やって取ろうかな」、
パピーちゃんはさっそく
棒き れを持ってきます。

でも、せっかくの思いつきも、
柿の実に届かない棒きれでは
どうにもなりません。

 
 そこで踏み台から大きな積み木までも
持ってきま すが、

やっぱり届きません。
こうなれば、
いよいよ 柿の実がほし〈なります。  

そんなパピーちゃんを見て、
自分ならどうする、

どうすればもっと高〈なれるか、
子ども達の頭の中に
さまぎまなアイディアが浮かびます。


そこへうさぎのう−ちゃん、
たぬきのた−ぼうがやってき て、
やっぱりパピーちゃんと
同じ気持ちになりま す。


柿の実を取るという
なんでもない行為でありながら、

次第にお話の興味を
盛り上げていくところが、

なかなかに鮮やかです。

そして、最後に
柿の実を落として〈れたのは風。

どんなものの力もおよばない
自然の強さ、ありがた さ、

その象徴が枯れ葉で
柿の実を落とすことになっ たのです。

同時に激し〈舞う枯れ葉に
寂しい冬の訪 れまでも教えてくれます。
やっと落ちた柿の実を
3 人で仲良く食べながら、

「きたかぜさん ありがと う」 の言葉に、
自然への感謝の思いが、
しみじみと伝わってきます。


児童文学評論家・作家  西本鶏介

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