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★             グリム童話                   ★
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NHK海外取材[童話の国々]から

グリム弟の恋話    
…グリム童話


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NHK TV「童話の国々」から
「グリム童話」の故郷を取材する
五十野ディレクター
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女性は、恋をすると美しくなる、と聞きます。
それでは、男性は? この記事を書いているのは、男性ですが…
わたくしの場合は別として、
職業柄(テレピのディレクター)、男性も恋をすると、
美しい仕事(絵をつくる)をすると しばしば聞きます。

わたくしは、グりム童話を読みながら、こんなにも、民族の魂を美しく昇華したのは、
グリム兄弟の弟、ヴィルヘルムにドロテーアという恋人がいたから、と思います。

グリム童話の影に女あり… 実は、そうなんです。

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グルム童話の語り手といえば、
フィーメンおぱあちゃまが第一にあげられいますが、
やはり、なんといっても、グリム兄弟の住居の近所にあった、
薬屋「黄金の太陽軒」の方々でしょう。

そこには、話し好きのフィーメンおぱあちゃまを始め、
年ごろの娘さんが3人、年ごろではない(?)娘さんが3人と、
女ばかりの世帯がありました。
グリム兄弟のほうは、どちらかというと、女っ気の点では、
ゼロといったほうがいいほどありませんでした。
グリム兄弟は、自然と、薬屋「黄金の太陽軒」に足が向いていったようです。

もちろん、第一のねらいは、民話の収集ですが…。
そこに住んでいた、話し好きのフィーメンおぱあちゃまというのは、
この薬屋のお手伝いさんで、「マリー・フィーメンおぱあちゃま」のことです。

彼女は、鍛冶家の家に生まれ、
鍛冶家にとつぎましたが、
夫がアメリカの独立戦争で戦死したので、
この薬屋にやとわれました。
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「マリー・フィーメンおぱあちゃま」は、ヘンゼルとグレーテルの話を始め、
グリム童話集・第一巻の86編のうち四分の一を
グリム兄弟に話して聞かせたといわれています。
でも、実際に、グリム兄弟が話を耳にしたのは
「マリー・フィーメンおぱあちゃま」だけではなく、
年頃の娘さんからも聞いたと言われています。

というのは、姉妹たちは、競って、「マリー・フィーメンおぱあちゃま」から話を聞きました。
そして、グリム兄弟に、お話を聞かせてやったのです。
グリム兄弟にしてみれば、「マリー・フィーメンおぱあちゃま」に聞くよりは、
このみめうるわしき6人の女性から聞いた方が、どんなにか、楽しかったのでしょう…。

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後ろから撮影
正面から撮影

生誕地・ハウナウの市役所前広場
 
    
弟のヴィルへルム・グリム
1786−1859

         
兄のヤーコブ・グリム
1785−1863


兄、ヤーコプは、一生独身を通しましたが、彼の言葉のはしばしに、この娘たちの中に
お目当てがあったことが認められています。
弟のヴィルへルムは、この6人姉妹の五番目のドロテーアと結婚しました。
ヴィルへルムが、ドロテーアと初めて会ったのが22歳。ドロテーアが13歳の時でした.


結婚したのが、ヴィルへルムが39歳、ドロテーアが30歳の時でした。
永すぎた春といわれていますが、
ドロテーアは、ヴィルへルムのために、献身的に、
話を集めるのに、協力したといわれています


ヴィルへルムは、よくドロテーアを暖炉のそぱにすわらせ、
今、仕上げたばかりの原縞を読んで聞かせました。
ドロテーアは、それを聞きながら、それはよいとか、わるいとかいって、
原稿をなおさせたといわれています。


兄のヤーコプは、それに怒って、民話を簡単に直してはいけない、
脚色してはいけないといいました。
そして、婚約者であるドロテーアが、いけない娘だといいました。

初版 1810
 

                       
2版



決定版 1857

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兄のヤーコプは、脚色を許きない民族学を重んじる人でした。
ですから、話をおもしるくするなどということは、絶対に許せないことででした。
こうしたことが性格にもあらわれ、ギスギスしたところが出、
おめあての人にふられたともいわれています。
こうして、弟のヴィルヘルムは、薬屋の5番目の娘のドロテーアと、
結婚前から、結婚同様の生活をして、このグリム童話を仕上げました。



今日、読まれているグリム童話は、
グリムの兄弟が最初に出版した時のものではありません。
弟、ヴィルヘルムが、文学的に高めた作品だといわれています。
つまり、話の原型はあっても(ないものもありますが、
かなり脚色されているということです。
むかし…と語られるグリム童話が、
あたかもドイツの国にむかしからあるような話にできていても、
その話は、ヴィルヘルムが作った話といっていいでしよう。.



よく、昔話を、民族の宝とか、民族の…とかいいますが…、
やはりそこには、それを広める才能のある人がいなければなりません.
グリム童話に、弟のヴィルヘルム、恋人のドロテーアがいた。
わたしは、昔話というと、その二人の才能を思い出すのです。

日本での初版
「おおかみと
7ひきのこやぎ」 1889

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わたしは、ドイツ、カッセルの薬屋「黄金の太陽軒」に行ってみました.
第二次世界大戦で失われましたが、薬屋は、また、作りかえられてありました。
もう100年以上も続く店です。
店のステッカーには、ヴィルヘルムの妻の出身と誇り高く書き込まれてありました。

グリム童話の影に女あり…わたくしは、そんなことを、つくづく感じさせられました。

〈引用〉


           

このページは、
NHK番組
「童話の国々・五十野惇取材構成」、
小学館月刊誌
「幼児と保育・童話のふるさと・五十野惇執筆」
学習研究社月刊誌
「幼児の指導・童話のふるさと・五十野惇執筆」
メイト出版月刊誌
「ほいくのひろば・童話のふるさと・五十野惇執筆」
を もとにして作成しました。
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