診察室 4 HPVと子宮けい癌ワクチン
子宮頚がんの原因は、ほぼ100%がヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染であることが明らかになっています。発がん性のHPVは、皮膚と皮膚(粘膜)の接触によって感染するウイルスで、多くの場合、性交渉によって感染すると考えられています。発がん性HPVは、すべての女性の約80%が一生に一度は感染していると報告があるほどとてもありふれたウイルスです。このため、性行動のあるすべての女性が子宮頸がんになる可能性を持っています。
HPVは皮膚や粘膜に感染するウイルスで、100種類以上のタイプがあります。このうちの約15種類は子宮頸がんの原因となることが多いため、発がん性HPVと呼ばれています。中でも、HPV 16型とHPV 18型と呼ばれる2種類は、子宮頸がんを発症している20〜30代の女性の約70〜80%から見つかっています。
子宮頚がん予防ワクチンはHPV16型と18型の感染を防ぐワクチンで、海外ではすでに100カ国以上で使用されています。このワクチンは感染を防ぐために計3回(初回、1ヶ月後、6ヶ月後)のワクチン接種で、発がん性HPVの感染から長期にわたってからだを守ることが可能です。しかし、このワクチンは、すでに今感染しているHPVを排除したり、子宮頸部の前がん病変やがん細胞を治す効果はなく、あくまで接種後のHPV感染を防ぐものです。なお、このワクチンに含まれるウイルスには中身(遺伝子)がないので、接種しても感染することはありません。
子宮頚がん予防ワクチンは、肩に近い腕の筋肉に注射します。ワクチンの効果がどのくらい続くのか、追加接種が必要かどうかについては、まだはっきりとわかっていません。今のところ、ワクチンを3回きちんと接種した人では、他のワクチンと同様に30余年抗体ができ予防効果があると予想されています。
子宮頚がん予防ワクチンを接種することでHPV 16型とHPV 18型の感染を防ぐことができますが全ての発がん性HPVの感染を防ぐことができるわけではありません。そのため、ワクチンを接種しなかった場合と比べれば可能性はかなり低いものの、ワクチンを接種していても子宮頸がんにかかる可能性はあります。
子宮頚がんを完全に防ぐためには、子宮頚がんワクチンの接種だけではなく、定期的に子宮頸がん検診を受けて前がん病変のうちに見つけることが大切です。成人後に年1回は子宮頚がん検診を受けるようにしましょう。
当院では9価ワクチン のみを用意しております
9価ワクチン
半年間の間に3回 シルガード9 (初回、2回目:2ヶ月後、3回目:6ヵ月後) 接種します
【費用】(自費接種の場合)
1回につき 30,000円 (消費税込み) 診察料、説明、注射接種代込み
*ワクチン接種は予め 電話(047-486-8643) ご予約ください。