ろせんどう

医療法人社団厚友会 露仙堂クリニック

ROSENDO CLINIC

診察室3  食養生


漢方治療を受ける方の食事の注意点

 1.食養生について

2.食養生の原則

3.食品の寒熱性

4.食養生の実際



1.食養生について
 
 養生とは病気になってから、あるいは病後のからだを治すことだけではありません。いつも健康であるために自然治癒力を高めるのが毎日の食事であり、食養生です。
 病気は様々な原因がありますが、身体の歪(ひずみ)は毎日の片寄った食生活から起こっていることも多く今日の季節感の無い食生活、過豊富な食材、糖類冷食品の過剰摂取も一因ではないでしょうか。自分の身体に合った食事をとって健康な身体をつくりましょう。




2.食養生の原則
    (1)三食きちんと食べる
    (2)五味を調和させてとる、偏食しない
       五味:辛、酸、甘、苦、塩辛い
    (3)楽しみながらとる

 漢方の原典である中国の古典に『黄帝内経』に「天人合一」自然と人間は一体であるという思想があります。つまり、朝明るくなって仕事をして働き、夜暗くなって寝て休む、食事もこれから身体を動かす朝昼をしっかりとり、休みにはいる夕はやや控えめにということです。昔は、夏には体を冷ます食べ物、冬には体を温める食べ物をとっていた筈です。しかし、様々な食品が市場に溢れ季節感のない現代の食生活はどうでしょうか。もっと季節感のある食生活をとることが必要です。
 漢方薬を構成する生薬にはそれぞれ熱性、寒性、温性、涼性、平性と分類されます。食べ物も寒性、熱性、平性と分類できます。(以下参照) 自分が寒証であれば熱証の食品を摂取に寒性の食品を控えめにするのがよいでしょう。しかし特に若い女性に多い傾向ですが、冷え性だと言いながらアイスなど多く摂取している方もいます。もう一度考えてみましょう。
 食べることは生命活動を維持するだけでなく、食欲という欲望を満たしています。自ら堅固な摂生の結果食べることが義務にならず楽しむ、味わう、ことも別の意味で食養生ではないでしょうか。




3.食品の寒熱性
【以下に食べ物の寒熱性を大きく分類します。多くは夏収穫、葉は熱性、冬収穫、根は寒性の傾向があります。】


[体を温める熱性の食べ物]
野菜:ねぎ、たまねぎ、かぼちゃ、にら、ピーマン、紫蘇の葉、にんにく、うど、小松菜、きゃべつ
穀物:もち米、いんげん豆
果物:桃、栗、梅、サクランボ、あんず、みかん
魚肉:鶏肉、牛肉、レバー、うなぎ、えび、いわし、あじ、かき
調味料:黒砂糖、酢、味噌、植物油、ガーリック、シナモン、ゆず わさび、酒、みりん


[体を冷ます寒性の食べ物]
野菜:はくさい、ごぼう、ほうれんそう、春菊、ふき、みつば、蓮根、たけのこ、トマト、セロリ、なす、きゅうり、こんにゃく
穀物:ハトムギ、そば、くり、緑豆
海草:のり、こんぶ、寒天
果物:柿、なし、キウイ、バナナ、すいか、レモン

魚肉:すっぽん、たこ、あさり、しじみ、うに、たにし
調味料:塩、醤油、動物油、バター

[平性(寒熱に関係ない)の食べ物]
野菜:とうもろこし、大根、人参、じゃがいも、さといも、やまいも、蓮根、椎茸、マッシュルーム、もやし、銀杏
穀物:うるち米、玄米、えんどう、そらまめ、落花生、大豆
海草:ひじき、わかめ
果物:イチゴ、葡萄、りんご、びわ、干し柿
魚肉:豚肉、さんま、ひらめ、いか、さば、あわび
調味料:サフラン

[飲み物について]
 お茶、コーヒーなどは習慣として飲んでいますが、やはり寒性、熱性に分類されます。また、それそれ様々な成分を含有しており一種の漢方薬とも言えます。ただ中国で言われているお茶の効果は日本で飲んでいるよりはかなり濃いようです。

寒性のお茶:ウーロン茶、ハトムギ茶、ドクダミ茶、テン茶など
熱性のお茶:杜仲茶、ジャスミン茶、紅茶など
コーヒーは寒性の飲み物に含まれるようです。



4.食養生の実際

@日本食中心の食生活にする
ご飯、野菜、海藻中心のおかずにしてたん白質は大豆、大豆製品と魚介類でとりましょう。

A塩辛いものは少なく味付けに工夫を
塩分を制限して塩は精製塩ではなく天然塩に近いものを使用。生姜、にんにく、唐辛子、山椒などの香辛料の使用で体の活性を促します。

B三白を避ける
白米、白糖、白パンなど精製品は栄養価が低いため、胚芽米、玄米などを積極的に摂取しましょう。

C緑黄色野菜をとる
かぼちゃ、人参、小松菜、モロヘイヤ、ブロッコリー、ほうれん草、ケ‐ルなどビタミンと繊維質の豊富な野菜を摂取しましょう

D油脂は適度に
サラダ油に含まれるリノール酸は酸化されやすく過度の摂取では動脈硬化を進行させアレルギーを助長します。しそ油、オリーブ油の使用と油料理の制限をしましょう。

E現地でとれたもの、その季節に合ったものを新鮮な状態でとる
ハウス製品は露地物に比べビタミンやミネラルが少ないようです。夏収穫できる野菜を冬摂取すると体を冷やす原因になります。

F一物全体食
なるべく皮をむかずに根も葉も食べ、魚は皮、骨、内臓も食べるため小魚のほうが良いです。一物全体食によって様々な栄養素を摂取できます。

G自然に近いものとり加工品をさける
食品のラベルを良く読み、なるべく精製品、合成添加物の入っていないものを選びましょう。遺伝子組換え食品の摂取は控えましょう。

Hアルコールを控える
適度の摂取は良いが過度になると肝臓をこわすだけでなく消化器系の癌に関係してきます。

I清涼飲料水、缶詰、インスタント食品、冷凍食品は控える
炭酸水、糖類の摂取は胃に負担をかけ、合成保存料、添加物の含まれる食品はさけなるべく自身で料理したものを食べましょう。

J調理法にも気を使う
安全性が証明されているのは鉄器と土器のみ、特に遠赤外線(炭、土器、セラミック使用)では活性酸素を除去する効果もあります。

K良く噛むこと
1口50回以上かみましょう。

L楽しみながらバランスの良い食事をする
食を楽しむことにより精神的にもリラックスし消化吸収を促します。
ある1つの健康法にとらわれたり、偏った食事を避けましょう。