靜御前纏縷球
芳野春風融嶺雪, 義卿蹤蹟盈香屑。 唯留御膳靜御前, 吉水社頭名不滅。 |
吉水神社(平成十九年四月十二日) | 吉水神社(南朝の皇居) |
一目千本(吉水神社) | 一目千本。天下の絶景。 |
吉水神社より望んだ蔵王堂 | 義経の馬蹄跡(吉水神社) |
弁慶力釘(吉水神社) | 桜の花びらが緋毛氈の上に落ちてきている。 |
勝手神社(写真:左) | 吉水神社・勝手神社の周りは町になっている。 |
これが「静御膳」 |
芳野の春風 嶺雪を 融かし, 義卿の蹤蹟 香屑に 盈つ。 唯(ただ) 御膳に 靜御前を 留め, 吉水 社頭 名は 滅せず。 ************************ |
|
吉野の吉水神社の傍の勝手神社は、義経と静御前が別れたところでもある。静御前は、いつまでも去った義経を慕い、 吉野山 峰の白雪 ふみわけて 入りにし人の あとぞ戀しき しづやしづ しづのをだまき 繰り返し 昔を今に なすよしもがな と、思い続けた。春になって雪も融け、花が咲き花が散っても、「しづよ、しづよ」と呼んでもらえた、「いにしへのしづのをだまき」を繰り返すように、昔のあの時にもどれたらいいのに…、でもその術(すべ)はない…と慕い続けた。 その静御前の名は、今もそこの近くの茶店(和風レストラン?)に「静御膳」として残っていた。鮎の甘露煮、とろろ、胡麻の鍋物(蝦と鶏肉と葛切りと白菜とエノキダケ…)、煮物(蒟蒻、人参、小芋、高野豆腐、南瓜)、ご飯。デザートは桜の花の入った葛羊羹。(1500円)。(三春の行楽費を一時につかった。しばし、休養しよう。) 昔を今になすよしもがな……。 |
|
・纏縷球: | をだまき。(おだまき)。繰車。右上の挿絵。 |
・嶺雪: | 静の「吉野山 峰の白雪 踏み分けて…」を指す。 |
・蹤蹟: | 静の「ふみわけて(入りにし人の)あと」を指す。義経の行ったあとを謂う。 |
・義卿: | 義経公。 |
・香屑: | 花びら。 |
・吉水: | 吉水神社、勝手神社。源義経、静御前の別れのところ。今は桜花爛漫たる門前町の旅館街に埋もれているが…。 |
平成十九年四月十二日 |
次の作品へ 前の作品へ 自作詩詞メニューへ 詩詞概説 唐詩格律 宋詞格律 毛主席詩詞 天安門革命詩抄 参考文献(詩詞格律) 参考文献(唐詩) 参考文献(宋詞) 参考文献(古代・現代漢語学、漢語音韻) |