書憤 爲國 | |
夏宵空襲異彭殤, 一去悠悠六十霜。 夢到紅蓮雲壓地, 誰論血涙重崎陽。 |
夏宵の空襲 彭殤を異にし, 一去 悠悠 六十霜。 夢は到る 紅蓮 雲は 地を壓せるを, 誰か 論ぜん 血涙は 崎陽を重んずと。 ***************************** |
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わたしの姉二人は、夏の大空襲で死んだ。(今のことばで言えば無差別爆撃に因る空襲というのか) 誰に文句を言えるわけでもなく、抗(あらが)えるわけでもなく、幼くして死んでいった…。無念だったろう。 生命とは、本人にとってかけがえのないもので、家族にとっても命は重たい。通常爆弾や焼夷弾の無差別攻撃で死んでいった者達の命は、核爆弾で死んだ者よりも軽いのか。死んでいった彼等(通常爆弾や焼夷弾の犠牲者)のことの話はあまり聞かない。 この夏、「是的,我們可以 !」を追悼の場で聞くとは思わなかった。借辭還魂の計は、このような場ではすべきではなかろう。(政治は当然ながら重要なものと思う。)しかし、政争の駆け引きの具にされてはたまらない。そこは祈りの場ではなくなったのか。神州の血涙を忘れたのか……‥‥ 合掌 ----------------------- ・爲國:国のために犠牲となること。国に捧げた命。 ・崎陽:長崎の中国風の呼び名。 |
平成二十一年八月九日 |
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