毛マニア  
              講師 : 髪 長友三

今回のテーマ : 花粉対策

 

みなさん、剃ってますか?
しかし自称「毛フェチ」のみなさんのこと、
ただむやみやたらと剃っているということはないと思います。
何故なら、毛というのは意味も無く生えているという訳ではないからです。
毛にはそれぞれに、大事な役割があります。
そこで今回は、毛の持つ意味を生物学的に捉えつつ、
テーマである「花粉対策」について考えてみることにいたしましょう。

 

1. 毛の役割

一口に毛といっても、あんな毛からこんな毛まで様々な毛があります。
そこでまずはそれぞれの毛の意味について、順を追って考えていきましょう。

・睫毛(マツゲ)

目の周りの、まぶたの縁に生えている毛。
この毛の意味は、生えている部位からいってもすぐ分かりますね。
そう、目にゴミやホコリなどの異物が入るのを防ぐためです。
けっして「うわ〜、マツゲに目が入っちゃったよ」というような
スパイスの効いたセリフを言うため、に存在しているのではありません。

・眉毛(マユゲ)

そう、これは漢字のつくりを見ても分かる通り、
目の上部に密集している毛ですね。
これも目の周りに生えているということから、
目を守るための毛だと推測されます。
では、なにから目を守るのか?
人間はよく汗をかきますが、
汗が目に入るとしょっぱいですね、目で味覚を感じる方にとっては。
その塩分、汗という塩水が目に入ってしまうのはちょっとつらい。
そんな時、この眉毛。
じつは眉毛というのは、汗が目に入るのを防いでいるのです。
額にどんなに汗をかいても、眉毛があればもう安心。
冷や汗だろうが油汗だろうが、すべて眉毛が食い止めてくれるので
目に入ってしまうことはありません。
最近、街では眉毛を細く細く手入れしている人なんかもよく見かけますが、
ああいう人たちは決して汗をかいてはいけない。
汗が目に入り放題、という惨状が待ち受けているのは目に見えます。
汗は目の毒。汗っかきは眉毛を太く! これが鉄則です。
また、中には目の下に眉毛が生えている人もいるかもしれませんが、
そういう方はぜひヨガの修行僧にでもなって、
逆立ち苦行に励んでみてください。
さかさまに流れ落ちる汗から、必ずやあなたの目を守ってくれることでしょう。

・髪の毛(ヘアー)

そう考えてくれば、毛というのは自分を守るための存在であることが
容易に推測されます。
で、人間にとって最も大事な臓器はどこか? Oh、脳〜ですね。
脳ミソを包む頭。
何があってもやはり頭だけは死んでも守らねば、死んでしまう。
そこで登場する天然のヘルメット、そう、それが髪の毛なのです。
たとえばモノが落ちてきた時、ダイレクトに頭に当たるのと
髪の毛でワンクッション置くのとでは、どちらがダメージが激しいか。
やはり天然ヘルメットをかぶっているほうが強いに決まっています。
とある研究の実験で、
「坊主頭の人間とロン毛の人間の頭上、高さ4.5メートルから鉄筋を落下させた時
生き残った人数は、ロン毛のほうが統計的に多かった」というデータを
取ろうとしたところ人道的見地から研究は断念されましたが、
結果がそうなるであろうことは疑いの余地もありません。
そう、それほどまでに髪の毛というのは強いのです。
生き残りたければハゲよりロン毛、これで決まりです。
アフロヘアーならモア・ベター。

・脇の毛、下の毛(アンダーヘアーなど)

それでは、脇や股の辺りに生えてくる毛というのは、何を守るのか。
「大人になってから生えてくるんだから、大人ならではのことだろう」ということで、
「大人になると自分の股と他人の股とがこすれる機会がなぜか増えるので
その摩擦から肌を守るんだ」なんて考えている人もいるかもしれませんが、
脇や股にはもっと守るべき大事なものがあるでしょう、体の内側に。
そう、リンパ節です。
よく、風邪をひくとリンパ節が腫れたりなんかしちゃいますが、
病原菌などが体内の中心部に入ってしまうのを防ぐ、
いわゆる免疫機能の上で大事な役割を担っているのが、リンパ系なのです。
その節が、脇の下や股の付け根にはある。
つまりそこで、手足などから入った病原体が内蔵系にすすんでいくのを防ぐわけです。
ということはこのリンパ節、生きていくためには守っていかねばなるまい。
そこで、毛の登場。
これらの毛は、リンパ節を守るために生えてきたのでした。
リンパ節を出来るだけ保護する役割、それが脇毛や下の毛の存在意義なのです。
ということをもっともらしくしゃべっていた人が昔いたのですが、
これが真実なのかどうかははっきりとしていません。
第一、それではなぜ大人になってから生えるのか?
大人になって生える毛。さまざまな意味合いからも、興味がつきませんね。 

 

2.花粉対策

それらを踏まえつつ、今回のテーマ。
現在、日本には花粉症でお悩みの方もじゃんじゃん増えてきているそうですが、
花粉にはどのような策が有効なのか。
ここまで読んできた方にはもうお分かりですね。
花粉はどこから体内へ入ってくるのか? もちろん、鼻の穴です。
では鼻に侵入してくる異物を防ぐものは? そう、鼻毛です。
ということは、鼻の穴に花粉が入らないようにするには……
そう、結論は明確。「鼻毛を伸ばせばいい」のです。
真の花粉対策には、これしかありません。
花粉自体が鼻に入らないようにするため、鼻毛を伸ばす、そして増やす。
たとえば、あの有名なバカボンパパ、
彼が花粉症だったという話を聞いたことがありますか?
彼が健全なる鼻の持ち主だった理由、それはひとえにあの「鼻毛」です。
あの勇猛果敢なる鼻毛が、ことごとく花粉の侵入を阻止していた。
あれが万一ヒゲだったとしても、花粉対策としては充分だったはず。
我々一般人にできることは、あのような鼻毛を伸ばすこと、これです。
特殊メイクをしなくてもバカボンパパに見えるくらいの鼻毛、これが理想。
製薬会社の方々には、ぜひとも「鼻毛育毛剤」を開発して欲しいものです、
花粉症対策のために。
キャッチフレーズは、「鼻毛伸ばして鼻スッキリ!」

 

3.鼻孔じゃなくて備考

さて、上でたまたまちらっとヒゲの話が出ましたので、
ついでと言っちゃあなんですがヒゲについても触れておきます。
これについては「日本ヒゲ学会」においても賛否両論なのですが、
ヒゲは何を守っているのか、と言えば顔のはずです。
顔、もっと言えば面の皮の薄さ、を補っているものがヒゲだと考えられます。
それではなぜ男にだけヒゲが生えるのか? と考えると……
男のほうが面の皮が薄い、ということになります。
逆に言えば、女性のほうが面の皮が厚い。だからヒゲの必要も無い。
ヒゲが生えるか生えないかは、「面の皮の厚さ」にかかっているのでした。
これは、「無知の知」を唱えたあのソクラテス、
彼の像がヒゲぼうぼうだったことを見ても一目瞭然です。
面の皮が薄いほどヒゲが生える、厚いほど生えない。
しかしこれを聞いた日本ヒゲ学会の女性会員からは、非難の渦。
明らかに女性蔑視だと発言の撤回を要求。
市民団体からも苦情が殺到しそうな勢いだったため、
これについては公式な見解とは言えなくなってしまいました。
以上が、かの有名な「ヒゲ論争」の一部始終です。
学会というところも、内部事情にはいろいろあるんですよね(苦笑)。

 

ということで、今回は毛の役割とその効能について
実例を交えつつ考察してみましたが、いかがでしたか。
これを機会に、みなさんも毛についてぜひ深く深く考えてみてください。
あなたの毛の世界は、果てしなく広がっていくことでしょう。
ただ、あまり深く考えすぎると、そのうちハゲます。
ほどほどに、ほどほどに……。

 

 

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