全編を通しての雑感を掲載しました。原作に触れる箇所もありますので、ご注意ください。
放映日 | タイトル | 原作収録作品 |
6/29 | 第一話 「置いてけ堀」 | 『本所深川ふしぎ草紙』 |
7/6 | 第二話 「鰹千両」 | 『初ものがたり』 |
7/13 | 第三話 「お勢殺し」 | 『初ものがたり』 |
7/20 | 第四話 「送り提灯」 | 『本所深川ふしぎ草紙』 |
7/27 | 第五話 「足洗い屋敷」 | 『本所深川ふしぎ草紙』 |
8/3 | 第六話 「凍る月」 | 『初ものがたり』 |
8/24 | 第七話 「迷子のしるべ」※ | 『幻色江戸ごよみ』 |
8/31 | 第八話 「だるま猫」 | 『幻色江戸ごよみ』 |
9/7 | 第九話 「神無月」 | 『幻色江戸ごよみ』 |
9/21 | 最終回 「侘助の花」 | 『幻色江戸ごよみ』 |
※原題の表記は「まひごのしるべ」。 |
全十話中、原作では茂七が登場しない『幻色江戸ごよみ』から四編も選ばれたのは意外だった。また、原作では『初ものがたり』にしか登場しない稲荷寿司屋の親父が全話に登場する。ある意味で、ドラマの主役は稲荷寿司屋と言えるだろう。
茂七親分役が高橋英樹さんと聞いたときには正直に言って違和感を覚えたのだが、なかなかどうして当たり役ではないか。「とにかく人を斬らずにすむ役というのが嬉しい」と語っていただけあって、ご本人も乗り気だったのだろう。演技の方はさすがに堂に入ったもの。対照的に糸吉の演技は臭かったが(失礼)、宮部時代物にはこういうキャラクターは必要かも。
第八話までは原作に忠実な作りで好感が持てたが、最後の二話はアレンジしすぎ。「神無月」はまったく別の話になってしまっていた。「侘助の花」は『本所深川ふしぎ草紙』に収録の「馬鹿囃子」と混ざったような内容だった。これには、連続ドラマの締めとして稲荷寿司屋の正体を明らかにしたという事情があるのだが。
『初ものがたり』を読んだ方はご存知の通り、原作は稲荷寿司屋の正体が明かされないまま終わっている。しかし、連続ドラマとしてはそれでは収まりが悪い。宮部さんが続編を書きたい意向を示していることを踏まえ、敢えて最終回を『幻色江戸ごよみ』から選んだのだろうか。どうせだったら日道坊やの問題も決着させれば良かったのに。
僕がこのドラマを観たいと思った理由は、宮部みゆき原作であることがすべてと言っていい。若年層のファンを開拓するためにも、有力な時代物の書き手がもっと出現しなければ。時代劇が苦戦を強いられている現代だが、なくなってしまうのはやはり寂しい。
原作の今後の展開(いつになるのか…)が気になるところ。第二話を見逃した僕としては、再放送を是非お願いしたい…。