テレビdeアドバンスのワナ

「ウラララララ〜!『どこまでも青く』がやりたいいいイイ〜!」

ぼくはひさかたぶりにクラスチェンジして、「萌え萌えバーサーカー」になっています。情熱のおもむくままにシャウトしていると、とーぜん、バーサーカー好きの第一人者である、トホホ妖精があらわれました。

「春だもんねえ。しかも、あのゲーム、メイドに巫女に、猫耳にメガネっこに、その他いろんなのがつまっててわかりやすいもんねえ。もう、買うしか。」

ぼくはわかりやすいものが大好き。ゲーム雑誌の絵をみて、そのかわいらしさにメロメロになっていたので、さっそくフラフラと近所のゲーム屋さんへ。

2002年ともなると、ゲームの勢いもちょっと下火。それでもゲーム屋さんはたくましく生き残っているのです。でも、ぼく、めったに入らないけど。

「で、たまに入るときが『どこまでも青く』?いたたたた・・・」

「うるさ〜い!これは魂の共鳴なんじゃあ〜!」

と強がってみたものの、お店に入って、いざ商品のパッケージを目のあたりにすると・・・

「・・・う・・・じ、次回にしようかなあ・・・」

30半ばの男の買いもんじゃあありません・・・商品がギャルゲーだけに、「子供にとおもって・・・」なんて言い訳もよけい自己嫌悪になりそうです。

あわてたのはトホホ妖精。萌え萌えバーサクの魔法が解けそうなぼくに、やたらとそそのかしの言葉を浴びせてきます。

「ホラホラ、猫耳だよ!アーパーな子が猫耳!もう、溶けちゃいそうでしょ?あと、血まみれのメイドさんも出てくるんだよ!」

「でも、値下がりしてないし・・・」

「買わなかったら次はないかもよ!レアモノのバキュームキット買わずに後悔したじゃん!」

「うう・・でも高校生とかがみてるし・・・」

ぼくの目は頼りなくお店のショーケースを漂います。そういえば、なんか、ゲームのハード系でさがしものがあったよな・・・

ショーケースの中には、にぎやかな絵柄のちょっと大きめの箱が・・・「テレビdeアドバンス」と書いてあります。

「うう、値下がりしてる!!こ、こっちにしようかな・・・」

ニンテンドーが携帯ゲーム機市場に独占の駄目押しをするために送りだしたハンドヘルド界のプリンス、それがゲームボーイアドバンスです。「オウガバトル」シリーズのファンとしては、押さえておかなくてはならないハードなのですが、あのちまちましたシミュレーションをあの小さな液晶画面で追い続けることに、かなり抵抗があったので、ハードもソフトも知り合いから入手していたものの、いまだ遊んだことがなかったのですが、今、ゲーム屋さんのガラス棚においてあるこの「テレビdeアドバンス」をつかえば、ゲームボーイアドバンスの画面をテレビに出力することができるのです!

ぼくは家でしかゲームしません。

「しかも、じぶんでフタ開けてケーブル挿したりしなきゃいけないんだよね!」

そう!それもわくわくします。このケーブルの取り付けが難物らしいというウワサを聞いていたのですが、ぼくならうまくやれるも〜〜ん!

ニンテンドーのサプライとして買えば(もしも買えたなら)10万円台する機材が、別の方法をとっているとしても、保証がなくなったとしても7000円台なのは絶対に買い!

「ううう、でも、『どこまでも青く』もほしいかも・・・でも、今月はもうお金が・・・」

優柔不断モードになってしまいました。バーサーカーは跡形もなく、ぼくはいったんお店をでました。トホホ妖精にののしられながら・・・

数時間後、河原で遠い目をして夕日をみながらワンカップを呑んできたぼくは、そのままさっきのゲーム屋さんにさっさと入っていき、『どこまでも青く』を手に取ると、カウンターへ。

「萌え〜をとるんだね!」

とニヤニヤするトホホ妖精を無視すると、お店のおじさんに、

「あお、てれびであろばんすもください」

う、ろれつが・・・

「キャアア!おとこらしい!両方買うんだね!」

「来週は毎晩カレーにすればなんとかなる!」

ぼくの男らしさにトホホ妖精の目はすっかりハートです。

・・・

家につくと、とりあえずビールをあけ、買ってきた「テレビdeアドバンス」のパッケージをあけます。

ゲームボーイアドバンスのボディ下側を丸ごととっかえて、そこについた出力端子に「テレビdeアドバンス」本体を付け、そこからテレビへ出力する仕組みです。電源はDCアダプターからとるようになっています。もちろん、本体から外して、本来の携帯ゲームとしても遊べるのです。えらい!

ゲームボーイアドバンスの下側ボディを取り外しました。三ツ矢形のネジを回すドライバーもキットについてきています。もっとえらい!

ビデオ信号の横取りは、本体基板から液晶部へつながるリボンケーブルのソケットへ、もう一本同じ形のリボンケーブルをねじ込んでしまおうという、強引だけどナイスアイデア!

「で、このケーブルを挿すときに、力いれすぎてやっちゃうわけね・・・ア・・・!」

・・・やっちゃった・・・

「テレビdeアドバンス」のリボンケーブルの端子部が、丸ごとなくなっちゃった〜〜!

ぼくはあっけにとられ、それから・・・「テレビdeアドバンス」の箱を見えないところにしまって、プレイステーションを引っ張り出すと、『どこまでも青く』をはじめました。

「買わなかったことにするのね?・・・」

おかしいなあ、ゲームはじめたばっかなのに、なんでこんなに泣けるんだろう・・・

 

『どこまでも青く』 わくわくウルトラ3
魔剣「ドレメル」
第二次メモリ大作戦
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