第二次メモリ大作戦
「わーい!夏休みだ〜〜!」 21世紀最初の夏休みです。ぼくは、今までの人生でかつてなかったくらい遊びまくりました。う〜ン、充実。 海にいって、カニと戯れながら泣きぬれてみたり、博物館にいったり、ただ歩いたり。 で、一日くらいは、アキバの地を訪問するのも悪くないだろうと思ったのでした。 しばらくぶりに降り立ったアキバの地は、心なしか元気がないような気がします。 「だって、今日、平日だよ。お休みなのはあんただけ。」 トホホ妖精が大事なことを気付かせてくれました。そう。平日にお休みなのは学生さんがほとんど。これ幸い。いろいろ見てあるこっと。 でも、ここで気をつけなければいけないのが、多くの部品屋さんとかは、平日はその道のプロの人を相手にしてるということで、明らかに冷やかしとわかる態度は厳禁です。 ぼくは緊張しながらも、お店まわりをはじめました。 「ううむ、あんまりおもしろいガラクタはないねえ。」 「みんな、小さくまとまっちゃったもんね。」 なにか、こう、わくわくする感じが、ありません。なんでかな?お金がないせいかもしれません。それとも、今のパソコンが使い捨て感覚になりすぎたせいなのかもしれません。 ちょっと寂しい気分になったその時。 「あ、メモリが安い!」 トホホ妖精が指さすほうを見てみれば、かつてはじめてワイドスカジーHDDを買った若○通商の店頭に、「メモリ256MB3500円」と書いてあるのが目に入りました。 「うむう!一万円ださずに512メガバイト環境が!」 おもえば、ここ3年ほどの間にパソコン業界で起きた買い換え促進とシェア制覇のための気違いじみたスピード競走で、短期間のうちにメモリの規格、マザーボードの規格を何度もとっかわり、ユーザーのもつ従来環境の流用がほとんど不可能になった結果、従来の美点であった、少ない変化でグレードアップというちびちびした楽しみが失われてしまったようです。 さらに、インターネットブームが火をつけた「IT」。本来物の価値というものは実体があってこそなのに、仮想の物に価値をつけて、不況をごまかすために(ワラをもつかむ気持ちで?)おいしい部分のみ並べてこれを無責任にあおった結果、「ノットマネー、オンリーペッペル」いう状況を生み出し、しかも当初好調だったパソコンも、実はもってなかった人が買っただけなのを買い換えと勘違いした結果、作りすぎという状況になったのでしょうか?とにかく、この値段の暴落は、100メガ環境になったのを大喜びしていた96年が夢のように思えるくらいありがたいことです。 わけのわからない理屈はともかく(ちょっとかっこつけたかっただけ。)、ぼくはすっかり家のG4に512メガラムを実装する気になってしまいました。 「ほかのお店もこの値段かな?」 秋○館は、7600円。 「ううむ、さすがマックの店はぼったくるのう!」 同じPC100規格なのだから、わざわざ倍の値段を払うことはありません。しかも、このお店では、前回スカジボードを買うときに気分の悪い思いをしています。 ぼくは若○通商にもどって、256のメモリモジュールをふたつ買いました。 家に帰って、台所のG4のふたを開け、メモリをさしました。ちょっと堅い。 起動します。 「あれれ?」 画面は真っ暗いまま。 「さしかたが悪かったかな?インターリーブとかまだあるのかな?」 メモリを全部抜いて、順番を変えてみます。起動! ぽ〜〜ん 「やった!」 G4はみごとに起動しました。やっぱり順番が悪かったのかな? さっそくシステムのプロファイルを見てみます。 「あれれ?」 256×2+128+64で「704」メガなければいけないのに、表示されているメモリのトータルは、「608」メガ。計算があいません。 「うう、前からあるメモリの合計が半分になってる・・・!」 どうしたことでしょう!変です!プロファイルをよく見ると、64メガのメモリモジュールだけ、メモリタイプがちがっています。これが原因かな?電源を落とし、64メガを抜いてみました。 「うええ!今度は800メガだって!」 実装してあるメモリよりも多いなんて、絶対どこかおかしい!電源を落としました。 この256メガのメモリは、単体でさすとパソコンが起ち上がりません。 「うう、こまった!」 トホホ妖精が嬉しそうにしています。しまった!こいつはもともと、ぼくを困らせるためにあらわれてたんだった! 「そりゃ、アイショウダベ!」 いつの間にか、相性グールまで寄ってきました。!いやだ!絶対相性なんかで済ませたくない!!! そう思いはしたものの、動かないんじゃ仕方ない。不良品というわけでもなさそう。 こういうときは男は黙って寝ちまうにかぎる。 でも、ぼくはもう、幻なりとも一度見てしまった512メガ以上環境をあきらめる気はありませんでした。
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