わが海軍の好敵手、ドーントレスの脚です。けっこう複雑なので、最初に引きだし棒でパーツを解説します。
左は左主脚を左から見たところ。右は左主脚を後から見たところです。 ドーントレスの内翼には前から前縁補助桁、前桁、第一主桁、第に主桁、後桁、後補助桁と6つも桁がありますが、主脚構造を支えているのは前桁と第一主桁で、左図には前から3つの桁のみ表しています。 主脚回転軸は前桁と第一主桁を貫通していて、前桁の前に主脚柱、前桁と第一主桁の間に油圧ジャッキ取り付け部と卵を伸ばしたような形のストラット取り付けアームが固定されています。主脚回転軸の胴体側ななめ上に前桁と第一主桁で挟まれたストラット上部と一体の回転軸があり、こちらには油圧ジャッキのピストン側の取り付け軸と、図示していませんが緊急時脚出しバネが接続され、これら二つの大きな回転軸は紺色で示したストラット下部で関節結合されています。ストラットがダウン/アップロックを行ないます。 おわかりかと思いますがこの構造は、油圧ジャッキのところがちょっと違って見えるけれど実質同じで、非常に零戦や97艦攻、陸軍戦闘機群の脚折り畳み構造に似ています。先祖は同じでしょうね。 |
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主脚折り畳みは、油圧ジャッキが伸びることで行われます。
油圧ジャッキが伸びると、図中青系で示した二つ折れストラットの上側のアーム(水色)が胴体側に押しだされ、紺色のストラット下側がストラット取り付けアームを上に引っ張ります。ここでダウンロックが外れるわけです。 油圧ジャッキはさらに伸びようとしますが、上部ストラットはかぶすとラットに引っ張られてこれ以上胴体側に回ることができません。しかし今度は主脚側がフリーになって回転します。ここで上部ストラットは主脚回転軸に引っ張られ、今度は外翼側に回転を始めます。上部ストラットの油圧ジャッキ取り付け部がストラット回転軸の回転で軸の外翼側に来るとジャッキが伸びる力は二つの軸に作用し、ここからは急速に脚は最後まで畳まれるのです。 油圧ジャッキの回転軸との取り付け部の設定が非常にむつかしい。下手に付けると途中で油圧ジャッキが物理的に伸びられなくなってしまいます。コピーした日本人もかなり知恵を絞ったはず。っていうか、今までこのコーナーで紹介した陸軍機の脚構造はかなりウソ臭い解説な気がしてきました・・・(冷汗)近々直します。 この飛行機の脚は縮みながら畳まれます。脚のオレオ下側にブレーキとは別に頑丈なケーブル(図中ピンク)がついていて、これは主脚上部を伝い、図中黄色で示した「脚縮めてこ」に巻きつくように固定されます。「脚縮めてこ」は主脚上部の後に回転軸で結合されています。脚が折り畳まれると「脚縮めてこ」の先端のころ(ローラー)が前桁にななめに貼り付けてある図中白で示した「脚縮め傾斜ガイド」に当たり、斜面に押されながら転がると「脚縮めてこ」は脚柱に対し逆方向に回転することになり、結果ケーブルを巻き込むので脚は縮みます。回転軸の内側にずらして設定した脚柱のレイアウトと相まって、この飛行機の脚収容スペースはすごくコンパクトですが、脚駆動部が上の通り前後方向にかさばってるのでトントンといったところでしょうか。設計と製造の手間でいえば、あんまし良くないかも。 |
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