Nゲージ蒸気機関車>蒸機の工作>9600の組み立て(やえもんデザイン)
標準タイプの組み立てから1年後、九州タイプも組み立てました。今度は種車にKATO製品を使いました。
2019.3.21
ボイラーの部品構成は標準タイプと同じです。
ボイラーの下部の突き合わせ(矢印部分)は、まだハンダ固定していません。
前回は先に閉じたところ、ランボードと組み合わせる際にボイラーを内側に歪めにくく、はめ込みに苦労したからです。
ボイラーとランボードを組み合わせました。
やはり、ボイラーの下部を先に閉じないほうが、楽に組み合わせられるような気がします。前回の必死度を100とすれば、今回は60ぐらい?でした。
とはいえ、それだけで何もかもうまくいくわけではありません。
動力ユニットは車輪やモーターなどをすべて外し、マイナスドライバーで左右のフレームをゆっくり平均的にこじ開けました。間に挟まれている絶縁ブッシュに圧入される形で、左右のフレームが留められています(現在のC62などと同じ構造です)。
これを削ったり切ったりして、ボイラー内に入るように調整しました。
1. ボイラー内側に入るようにヤスリで切削(幅9mm以下)。
2. キャブの床板の内側に入るようにヤスリで切削。
3. 前方は金ノコで切り取りました。
切削したところです。反対側も同様です。
ボイラーをかぶせ、シリンダーブロックを基準に前後位置を合わせると、前端の矢印部分も少し当たったので、ヤスリ調整しました。
先台車が端梁に当たらないよう、少し切り詰めました。
長短2種の簡易先台車も付属していますが、私はもとの先台車を1mm程度カットして使いました。途中を切り詰めて接着し、上下から薄い金属板を重ね張りして、継ぎ目を補強しています。
上廻りは元のKATOの車体よりも短くなります。炭水車との間隔も開いてしまうため、ドローバーの先端を加工して2mm程度縮めました。
もう少々行けるかもしれませんが、カーブで機関部とテンダーの角度が不自然になってくるのと、前方のバネが短くなってきつくなりすぎるため、このへんでやめました。
ショートしないよう、動力ユニットとの接触部分をテープ類で絶縁し、ボイラーをかぶせて試運転しました。特に問題なく走行しました。
寸法がぎりぎりであり、モーターの上部がボイラー内側上部に接します。あとで各種ディテールパーツを取り付ける際、内側に飛び出した脚はすべて平らに削り落としておく必要があります。
マイクロエース動力を使用するよりは、若干車高が上がるのですが、テンダーも同様に大きいために、バランス上はそれほど不自然ではありません。
前回は空気チリコシの取り付けを忘れて苦労したので、あらかじめコンプレッサーと調圧器配管、空気チリコシ配管を互いにハンダ付け固定しておきました。
実機により、配管の前後関係など様々で、両方の配管が絡んでいるものもあります。
公式側は標準タイプと同じ要領で、各種ロストパーツと基本的な配管を取り付けました。
一通りのボイラーまわりのディテールが付いてから、キャブを固定しました。
非公式側は標準タイプと少し異なり、ATS発電機が前方にあります。そこまで0.25mm真鍮線で蒸気管を伸ばしておきました。
本当は後部にはタービン発電機の蒸気管も並走しますが、洗口栓のあたりがゴチャつくので省略しました。
通風管を付けるかどうかもバランス上迷いましたが、自分なりに理由があって付けました。
実物の非公式側は、太いボイラーの表面がのっぺりして見えるので(個人の印象)、配管によってボイラーの表面が隠れすぎないよう、バランスに注意して取捨選択しました。 目立たない極細の配管を、熱で歪ませずにすっきり付ける技術があれば間引く必要もないのでしょうが、その技術が足りないものでして。
残りのディテールパーツを取り付けて、金属部の作業は終わりです。
門鉄デフの9600はひとつも持っていなかったので、デフレクターは門鉄K-7にしました。
ハンダ付けの熱の影響を予想、対策しながら作業してはいますが、ランボード下の非常に細い配管や、ランボードの薄い側面が少々歪んでしまったところもあります。もうちょっと何とかなったはず…。
ちなみに九州タイプには全部で4つのデフレクターが付属しています。
K-7、K-8、K-7(短)「波とかもめ」、標準デフ、です。
実物は他にも支柱の形や、上部ステーの数や形状などバリエーションがあるので、本当に特定機をゴリゴリ作ろうとすれば、追加工作できる箇所はたくさんありますね。
塗装前に、再度動力部と組み合わせて走行チェックしました。
テンダー内のライト基板の集電バネが強くて、テンダーが少し後ろに傾いているので、バネの調整…ではなくライト基板ごと撤去しました(前部も非点灯ですし)。
撤去したライト基板です。これはこれで、何かに使ってみようかな…。
KATOの9600は蒸機のライト光源が電球からLEDに変わり始めた頃の製品で、砲弾型の黄色LEDが使われていました。
ショートを防ぐため、塗装はボイラーの内外のほか、ダイキャストブロックの接触部なども念入りに行いました。 シリンダーブロックの上部とモーター上部に両面テープを貼り、ボイラーを留めることにしました。
安全弁と前カプラーは、元のKATOの9600から外して付けました(実はこの写真ではカプラーが裏返しなのですけど)。
ナンバープレートは適当に選んでゴム系接着剤で貼り付け、窓ガラスとライトのレンズを付けました。
キャブ下の点検口の蓋がないものが欲しかったので、キットもそうなっていて嬉しいです。中の配管が見えるのがいいです。この配管はキャブの内張りにエッチング表現されています。
エッチングによる各部のリベット表現は、小さいもののくっきりしていて、市販の金属キットの中でも精密さを感じます。
やえもんデザインのデフもまた、金属キットの中でも薄いほうだと思います。こういった薄さは今のところ金属でしか表現できません。
門鉄デフの細い支柱は曲がりやすいので、ラフに扱うことはできませんけども。
デフの上のリンゲルマン濃度計みたいなものは、余った北海道2ツ目用のパーツ(ヘッドライトの台座)を付けただけです。
もうちょっと形をちゃんと作ればよかったと、今になって思います。
これで、私が買った標準タイプと九州タイプは両方とも組み立て終えました。
KATOの動力を使うにあたっては、ボイラーの内側間隔を9mmに保つことさえ注意していれば、特に難しいことはありませんでした。ダイカストブロックの切削も、何日もかかるようなものではありません。
KATOの9600も、前回の再生産から10年になります。もっとバリエーション展開されるかと思ったら、デフなし・デフ付きの2種で止まってしまいましたね。