Nゲージ蒸気機関車>蒸機の工作>9600の組み立て(やえもんデザイン)
完成度の高いマイクロエースやKATOの9600をベースに、エンジン部上廻りを交換するコンバージョンキットです。
9600を自分の手で組み立てたい人や、これをベースに市販されていないバリエーションを作りたい人に向けた製品なのだろうと思います。
キットの金属部全長はマイクロエースより1.5mm程度短く、ほぼ1/150になっているようです。機関車全体の大きさは使用するベース車に依存します。
2018.4.3/2019.3.21
4つのバリエーションのうち、まずは標準タイプを組み立てました。他に北海道型・九州型・北海道2つ目重装備が発売されています。
ベース車としてKATOの9600か、マイクロエースの9600が必要です。動力部のほか、テンダーを丸ごと使用します。また前部ダミーカプラーと安全弁はキットに付属していないので、これらもベース車から外して使用するものと思います。
マイクロエースの9600には動力形状に新旧がありますが、特にいずれかを限定するような記載はありません。説明書の写真では旧タイプが使用されています(たぶん新タイプも行けると思います)。
組み立ての開始時点では、KATOとマイクロエースのどちらを使うのか決めていませんでした。どちらかといえば入手しやすいKATOに傾いていましたが、成り行きを見ながら決めたいと思います。
中身のパーツです。
ボイラーとキャブは曲げ済みです。ランボードの前部デッキは曲げられていないので、ここを曲げ終えるまでが最初の仕事になります。
エッチングパーツには真鍮・リン青銅・洋白の3種類が使われています。特にリン青銅のパーツには、触っただけで曲がりそうなほど細いものがあります。いかに厳重に取り扱っても熱やら何やらで曲がるものですから、製作途中はあまり神経質に修正を繰り返さなくてもよいと思います。
説明書はA4の両面1枚で、他に小さい補足紙があります。
ちょっと窮屈な印象ですが、要所要所に加工手順の図示があり、補足文章も結構あるので、何となくいけそうな感じがしてきます。
裏面はボイラーの組み立てが主です。各タイプの説明がすべて書かれています。大体手順通りに記載されていますが、中には組み立て順を変えたほうが良さそうなものもあるので、最初に全体を何度か読んでイメージをつかんだほうがよいです。
なお別紙には、ベース車の加工要領と、各種配管等の曲げに使う実寸図があります。
さっそく組み立てていきます。記載したのは筆者があまり良く考えずに組み立てている様子であり、正しい組み立て順の説明ではありません。
なるべく、メーカーの考えた素組みの完成形とはどういうものなのか―やえもんデザインの9600とはどういうものなのか―を考えて組み立てました。
初めにデッキを曲げるための冶具を作ります。
曲げの基準となる、デッキの置台という感じのものです。
冶具の上板の後部を少し起こしました。
裏側にギザギザのスジがあるので、スジを外側にして、鋭角にならないように注意して丸めます。すでに何となくイビツな感じです。
爪楊枝や適当な太さの丸棒を内側にあてながら、ゆっくり起こしていきました。
ある程度曲げたら、外側の側板をはめ込み、次に内側の側板をはめ込みました。
取れないようにハンダで仮止めしています。
中央部の平面部を支える、中板を取り付けました。
全体をハンダでしっかり固定し、表面を平らにしました。冶具は一応これで完成です。
曲げのイビツさはそのままです。どこかでつじつまを合わせられるのかどうか…。
ランボードは2枚重ねになります。これは真鍮製の下板です。あとでこの上に洋白の上板を張ります。
まず端梁の部分を、下に90度折り曲げておきました。
矢印のあたりにはギザギザがあります。これから、ここを内側にして丸みを付けていきます。
90度折り曲げた端梁を冶具の先端に引っ掛けました。
写真のような感じなので、位置はそれほど正確に決まりません。冶具に押し当てて曲げていく際にも、注意しないと色々な方向にずれます。
説明書を参照して、端梁がずれないように押さえつつ、細い丸棒で上から少しずつ押し込むように曲げていきました。
…とはいっても、それほどきれいに事が進むわけでもなく、色々と様子を見ながら少しずつ曲げていくことになります。
冶具に載せたまま、完全に曲げるのは難しいので、時々冶具から外して曲げ足しました。まだ不十分です。
大体OKとなったら、後方の長い部分を90度折り曲げて水平にします。
終盤は冶具を使わず、別紙の実寸図に合わせて曲げの調整を繰り返しました。
上板も同様にして曲げました(上板は解放テコの形に応じて2種あります)。あまりぎゅっと力を入れると、急にガクンと曲がってしまうことがあるので要注意です。
曲げの過程は簡単とは申しませんが、どうしようもなく難しいというわけでもありません。形ができていく過程は面白いです。
私の場合、冶具へのセット位置もズレまくりなので、冶具のRが歪んでいてもあまり影響ないような気がしてきました。
最後に冶具の上に下板・上板を重ねて最終調整をしました。
2枚の板のR部分に少し隙間ができてしまいましたが、あとでそこをふさぐようにランボードのフチを貼り付けるので、隠れると思います。
これでようやく下準備ができて、組み立てが本当に始められるという感じです。
空気溜めの部分でランボードは1段高くなるので、折り曲げて形を作りました。
ランボードの内側に、ボイラーをつなぐための垂直な板(A3・A4)を付けました。これにより、ランボードの形がきちんと決まるので、しっかり固定しておきます。
(あとでボイラーをはめ込むときに、ぐにゃぐにゃになりそうなこともあり)
先ほど曲げたデッキの上板(私が使ったのは解放テコ4点支持タイプのB1b)など、洋白製のランボード上板を順に貼り重ねました。
デッキ後方にはボイラーを支えるA7板が付きますが、これがどのように付くのか(例えば、一番下の板の上に載るのか、後方断面に付くのか、など)よくわかりませんでした。
部品の一部に溝が彫られているので、溝を後方にして、そこにランボードの中央ブリッジがはまり込むのではないかと考えました。ただ、溝の幅が一部足りないような気もして、ヤスリで広げたりしました。ちょっと自信がありません。
あとでこの板の前方に「フロント梁」(主台枠の前端がデッキ上に半円形に顔を出している部分)が付きますが、ここで仮合わせをしながらA7を付けたほうがよいように思います。A7が板の厚さ1枚分前にずれただけで、フロント梁が付けられなくなってしまいます。フロント梁もここで一緒に固定してしまっても構いません。
デッキはそれなりに難しかったですが、ランボード全体としては、今までのやえもんデザインのキットの中で最も形が作りやすく、安定してまとまったと思います。
キャブ前後の妻板を折り重ねてハンダ付けしました。マイクロエース製品を使う場合、モーターが後方にはみ出すので、後方の妻板は付けません(小型モーターに交換改造する場合は別)。
妻板を貫通するような配管を作るときは、この時点で計画して穴を開けておいたほうが作りやすいと思います。
前の窓には長円形の縁をはめ込みました。ランナーとの切り離し部分をヤスリ落とそうとしてグニャグニャにしてしまい、特に非公式側は大きく失敗してしまいました。
このあとも、細かい失敗は色々あると思うので、あまり引きずらずにいきます。
キャブ本体の側板をぴったり合わせてハンダ固定し、前後のひさしにフチを付けました。
前方のフチは実物でもあるもの・ないものがあるようです。
キャブの上部に、天窓や暖房安全弁などのパーツを取り付けました。天窓は従来のロストパーツを使う方法に比べ、取り付けやすくて良かったです。
側窓の上部にはひさしが付きます。
1. 下部のステップ(C6、C7)、ステップ中段(C8)を付けました。ステップはキャブ裾にしっかり付けられるようになっています。
2. 分配弁(Lw6)を固定しました。
3. 後方手すりを固定しました。
これでキャブは終わりです。
ボイラーをまたぐハシゴは、ひとつの展開図になっています。
下から3段までを直角に曲げ、内側の角をハンダ補強しながら形を作っていきました。
アーチの頂上を閉じてから、肩の2段を折り曲げて重ねました。ここはまだ曲げただけで、固定していません。
最上部に踏板(B12)をハンダ付けしました。これで2つのアーチの間隔が安定しました。
固定していなかった肩の2段をきちんとハンダ付けしました。ハシゴはこれで終わりです。
思ったよりもずっと簡単にできました。板が薄いためにアーチも細く見えます。
煙室扉手すりは、C58やC62では取り付け足と一体のロストで簡単だったのですが、今回は真鍮線とハンドレールノブの組み合わせに戻りました。全周が長いからかもしれません。付属の0.3mm真鍮線を丸め、そこに真鍮挽物のハンドレールノブを6個通します。
針穴に糸を通すよりも細かいです。
1. ライトを付けました。大小2種が付属していたので、普段あまり使わない小を使ってみました。
2. 先ほどの手すりを差し込んで固定しました。
3. ハンドルを付けました。
1. デッキに主台枠の先端部分を固定しました。
これがうまく入らず、すぐ後ろの垂直なボイラー支え板(A7)を一度外し、再調整して付け直しました。
前のほうで画いた図のとおりです。
2. 先台車の上部にあるカバーを固定しました。
ランボードが水平に固定されているかを再確認しています。
ボイラーは前端部の下を閉じ(注:これはランボードに固定後に閉じたほうがよいようです)、水平部の下の縁が左右平行になっていることを確認しました。
ボイラー下部に4つ並んでいるツメが、ランボードの垂直板の穴に噛み合います。
このツメは先端部を軽くヤスって、やや薄くしておくと、差し込みやすいかと思います。
たぶん、ボイラーのツメはこのように差し込むのだろうと思い、あらかじめ横向きに曲げておきました。
(設計上、曲げずに差し込むことが想定されているのかどうかは、わかりません)
現実には、ツメを差し込むにはランボードを内側に寄せたり、ボイラーを少し開いたりする必要もあり、片側がうまくいっても反対側がエライことになっていたりしまして。
せっかく形ができていたランボードも、ここでぐにゃぐにゃになる予感。
ああっ マズい!
必死(笑)
何とかできました。
一時はどうなるかと思いました。
全体に歪みがないか確認するため、キャブなどを仮合わせしてみました。
何とかなりそうです。ここで一山越えました。