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C62の加工

C62

2008.5.24

1999年の発売後すぐ、内部の止め具を取って単純に車高を下げる工作をご紹介しましたが、久々に引っ張り出したのをきっかけにもう少々加工してみました。


側面の加工要領

加工前側面

単純に車高を下げるだけなら、動力部は前端のあたりを少し削るだけですむのですが、ボイラー位置を下げようとすれば後部も削る必要があります。

  1. 動力部を削り、シリンダーブロックを上から削って、車高を全体に1.5mm下げます(昔ご紹介したのはここまで)。ただ、ボイラーも下げる場合は、1.5mmでは下げすぎなので、1mm弱としておきます。
  2. ランボードを切り離し、ボイラーを下から1mm切り上げます。
  3. ボイラー後部(火室上部)にはモーターが当たるので、内側からえぐるように削ります。C62では穴をあけなくても収まりました。
  4. キャブの裾を切り上げて、ランボードとの高さのバランスを合わせます。
  5. テンダー台車を加工して水槽を少し下げます。
加工後側面

オリジナルの怪しさはなくなり、KATOの新製品やワールド工芸などと並べても、やけに目立つということはなくなります。

ランボードを切って付け直すのなんて簡単にできますが(切り取りから再接着まで2時間程度の工作)、それに合わせて周囲のつじつまを合わせるのに手間がかかり、とても2時間ではすみません。私はのべ12時間くらいかかりました。

前面の加工要領

一番ヤバいのはここです。ランボードにボイラーがほとんど乗っかった形になっています。このようにした理由はわかりませんが、できてみたらこうなったのかもしれません。さらに付け加えますと、給水温め器ボックスは幅も高さも一回り大きくなっていて、これらの苦しさに比べれば、ライトの首やシンダー除けの形なんかはちっぽけな問題です。

加工前 加工後
  1. 先に煙室扉を切り離し、下側のシンダー除けを削り取ります。ここまでは見たとおりなので簡単です。
  2. デフ上部を少し詰めます。これが似せるうえで一番難しいと思います。斜めの角度は特に慎重に決めないと、いっぺんに似なくなってしまうので、とても恐怖です。写真で手前側のデフは一度切りすぎてしまい、付け足しました。
  3. 煙室手すりは、げんこつステーを根本から切り取り(穴はそのままステーの切り残しで埋め)、少し内側に直接接着します。元のオーバーな表現は、明らかにC62のデザイン上は邪魔になっていまして、単に取り外しただけで少しC62に似て見えます。
  4. ライトは取り去り、それぞれダミーパーツに交換します。
  5. カプラーはマグネ・マティックカプラーを取り付けたため、スノープローを切り取り、銀河のパーツ(KATO旧製品用)に変えました。

ほか、給水温め器ボックスを切り取って小さくすることもできると思いますが、面倒なのでそのままにしています。ガイコツ形テールライトも、ボイラーの直径が負けてしまうような気がして、付けませんでした。

もう少し、実物のぼわっと膨張した感じの顔にしたいところですが、太くするのは難しいのでこのへんで妥協しました。それこそ、今は他社製品もたくさんありますから。従ってC62にはなりきれず、C61.5と命名します。ただ実際にやってみるとわかりますが、元がアレですからやるとやらないとでは雲泥の差があり、走らせるのが本当に楽しくなります。

キャブ周辺の加工要領

キャブや従台車もそのままでは似ていないので、寸法を調整してごまかしました。ついでに従台車も少し前進させました。

加工前 加工後

写真に撮ると工作が雑で恥ずかしいです。もう少し仕上げないとだめですね。

  1. キャブ裾を切り上げ、新しいランボードやテンダーの高さと合わせます。
  2. 窓はあまりうまくいっていませんが、ひさしを切り取って少し上に移し、前側の木枠を削り取っています。中央の窓枠は少し前に移動しました。
  3. 雨樋は削り取り、少し下に真鍮線を接着して移動します。
  4. 従台車は前の大きい三角穴をプラ板で狭め、前後を少々削って形を整えます。
  5. 従台車を前進させるため、ドローバーから取り外し、前側に取り付けベロを伸ばして車体の軸棒に直接ぶら下げます。
キャブ下ディテール

キャブ下は、0.5mmプラ板に、パーツや真鍮線をぺたぺた接着して格好をつけ、モーター押さえの両側に両面テープで貼り付けてあります。

ここで使っているパーツ類は、かなり昔に買った銀河モデルのパーツセットのもので、KATOの旧製品用です。そのまま使えるものもありますが、もともと大きいものもあるので、適当に削って使っています。わざわざパーツを買うほどの工作でもなく、プラ板を削っても十分です。

従う台車

KATOの従台車を使ってC60などの従台車を前進させる方法を教えていただき、やってみました。ありがとうございました。

ドローバーから従台車を引き抜き、ドローバーの根元の軸棒を後ろから少し削り、少しでも従台車を前方に付けられるようにします。マイクロエースのドローバーには、これ以上穴をあける余裕がないため、従台車の上面に適当なプラ板(ここでは0.2mm透明プラ板)でベロを伸ばし、直接軸棒に差し込みました。マイクロエースの従台車はD61の流用のため、前述のとおり加工して多少は似せるようにします。加工中の荒削りな写真ですが、左のようになります。

完成

改造後

改造後
動輪が少し小さいのですが、ボイラーが細めのため、上下のバランスを調整することによってそれなりにC62に近づけることができます。もちろん、あきらめるところをあきらめたうえで、の話です。

KATOの東海道型よりもよいところは、重連だろうが急な下り坂だろうが、ガタガタせずに平気で走ることです。

改造前

改造前
これは初回品の再生産時のもので、ライトが未改良のものです。ライトばかりに目が行きますが、似ていない本質はそこではありません。また、走ってしまえば気にならないという方も中にはいらっしゃいますので、つまるところ、個人の感じ方だけの問題なのかもしれません。

そろそろ怒られそうですが、アニメーションです。→GIFアニメ

今回は、寸法を計って作ってもつじつまが合わないと思い、まったく縮尺計算をしませんでした。図面すら見なかったので粘土細工のような感じです。

C62+スハ

C62前面

KATOの旧C62をC62.4とするならば、このC61.5も四捨五入でお仲間に入れてもらえるかもしれません。


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