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D52/D62 その5(中村精密・ワールド工芸・ミヤザワ)

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中村精密

D52 1982年 中村精密 D52 D52
1982年 (拡大写真)
D62 1983年 中村精密 D62 D62
1983年 (拡大写真)

これが日本初のD52/D62のNゲージ製品になりました。
ちなみに同じ年のKATOのカタログでは、1971年頃から予告されていたD52とD62がまだ掲載されていました。

動力はテンダードライブ式です。下廻りはしっかりしており、穴の開いた動輪やフルワーキングのバルブギヤが再現されています。一方ボイラーはホワイトメタルの一体型で、どことなくバランスが悪い感じです。 エンジン側が大変重く、重さの面でもバランスが悪そうですが、不思議と走ります。

D52テンダーの裏

船底テンダーのため、動力部が見えにくいように工夫されています。ボギー台車の中央寄り1軸ずつを固定して伝達しています。 台車枠は残りの1軸とともに首を振ります。

バックプレート

キャブ内が開いており、簡素ながらバックプレートがあります。

その後、ワールド工芸やマイクロエースから実用的な製品がたくさん発売されたので、ひとつの役割を終えたのかもしれません。 古い模型をコレクションしていらっしゃる方以外は、あまり興味を示さない模型だと思います。 しかし、いざ入手しようとすると出物が非常に少なく、同社のC12やC56よりも少ないほどで、かなり苦労します。どこかのお店で見つけたら、即ゲットの覚悟が必要かも…。ただ、極端に高値で売られていることは少ないと思います。


ワールド工芸

すべて組み立てキットです。ナンバーは適当にくっつけているため、実物との関連性は必ずしもありません。

●KATO動力仕様(旧シリーズ)

D52 標準型 1994年製品 D52

D52 標準型
1994年製品 (拡大写真)
D52シリーズの初代製品は、1985年のストレート角ドームタイプでした。
標準型は1990年に発売されました。写真は1994年の再生産品です。1997年にも再生産されています。

D62風組み立て

KATOのC62の台車を使い、D62風に組み立てたものです。
(拡大写真)

私が初めて組み立てた蒸機のキットで、金属模型もこれが初めてでした。ハンダ付け自体は慣れていましたが金属キットの勝手がわからず、組み立てには今の5〜6倍の時間がかかりました。作例は悲惨な組み立てで本当に申し訳ありませんが、本来はD52に似ているキットです。
しかも、購入したキットに、部品が半分ぐらいしか入っていないという洗礼を受けました(あとにも先にも経験がありません)。
鉄道模型キットを組む方にはあまり人気のない、クレオス(当時グンゼ産業)のプライマーを使い、缶スプレーで塗装しましたが、特に剥がれ等は起きていません。

素組みでは動輪からしか集電されず、走行性能がいまいちなので、ドローバーの集電線を延長して(先端1cmくらいに別な集電線を並べてハンダ付けする)、テンダーからも集電すれば改善します。
給水温め器は、ヘッドライト状の突起が一体になって成形されています。このライトはただの円柱で、正面も平面なので、別のパーツに交換した人も多かったのではないかと思います。

なお1985年の初代製品は、エンジン部のみの半完成キットで、テンダーは付属していませんでした。キャブとランボードおよび片側のデフがハンダ付け済みで、弾粒式発煙装置とのセットで¥5,800でした。

●アリイ動力仕様

1996年にマイクロエース(当時アリイ)よりD51が発売されたため、キットも1999年よりマイクロエースの動力を使うものに変更されました。

D52 1999年 D52として組み立て

D52
1999年 (拡大写真)

キット自体は「D52/D62」という名称でした。戦後に改装された姿です。D51の動力を使えばD52になります。

D62 1999年 D62として組み立て

D62
1999年 (拡大写真)

同じくD61の動力で組み立てたものです。ナンバーはD52/D62の両方が付属していました。

単にKATO動力仕様の大きさを変更したというものではなく、構造もまったく違う別物です。 ボイラーは前後2ピースに分かれたものに変わり、各部の仕様も全面更新されて、その後のワールド工芸製品の基本になりました。 標準でテンダーからも集電されるようになり、走行性能も大幅にアップしています。

スタイルがよく、下廻りはマイクロエースなので走行性能もよいという理想的なキットだと思います。
説明書には、「正しく組むと素晴らしいプロポーションになるので、あせらずに作業してください」というような意味の文がありました。 ボイラーも太い形式で(組みやすい)、入門用に最適だと思います。ただ残念なことに、説明書は特に入門用ではないので、いきなりこれを読むと何から手を付けたらよいのか わからないかもしれません。結局は、自分で考えながら組めというものになっています。

その後2か月おいて、戦時型と北海道型が次々と発売されました。
戦時型といっても、D52にとってはそれが本来の形です。

D52 戦時型(段付き角ドーム) 1999年 戦時型 段付き角ドーム

D52 戦時型(段付き角ドーム)
1999年 (拡大写真)

D52 戦時型(ストレート角ドーム) 1999年 戦時型 ストレート角ドーム

D52 戦時型(ストレート角ドーム)
1999年 (拡大写真)
段付き角ドームの翌月に発売されました。作例は18年後の2017年になってから、KATOの新D51の動力を使って組み立てたものです。

D52 北海道型(密閉キャブ) 1999年 北海道型

D52 北海道型(密閉キャブ)
1999年 (拡大写真)

スノープローが付いた密閉キャブ仕様です。戦時型段付き角ドームと同時に発売されました。

戦時型は独特の風合いが魅力です。通常、金属製品は薄いデフが特長のひとつですが、厚い木製デフを表現するために板を2つ折りにしています。
デフの裏側にも模様のある、Nゲージ蒸気機関車初の?模型かもしれません。
実物がそうですが、配管類も簡素で給水温め器もボイラー上になく、組み立ては気分的に楽です。

北海道型は発売当時、各社のD52の中で唯一の密閉キャブ仕様でした。実物ではカーブで密閉キャブの干渉を防ぐため、テンダー妻板に後退角がついていますが、それは表現されていません。 この模型は10年後の2009年に、同じ仕様・値段で再生産されています。

ワールド工芸のD52シリーズは確実に走りますし、上廻りだけの工作ですから、当時の説明書にも「入門機としてお勧めします」との記載がありました。 ただ、その後間もなく完成品のマイクロエース製品も発売されたので、そちらが選ばれる場合が多かったのではないかと思います。

●ミヤザワ発売製品

D52 戦時準改装型 1999年 戦時準改装型

D52 戦時準改装型
1999年 (拡大写真)

一連のワールド工芸製品ですが、最後の1タイプのみ、大手問屋の宮沢模型のブランドで発売されました。
改装したのかしなかったのか、良く分からない格好が独特です。

キットにはデフが3タイプ、ランボード屈曲部が2タイプセットされているので、色々な形態を選べます。
テンダーは戦時型と同じに見えますが、良く見ると木目がなく、少し作り分けられています。

1999年は、ワールド工芸製品が次々と6タイプも発売されました。やっと完成するかどうかというときに、もう次が出るので、「いい加減に組み立てる側のことも考えてくれ!」などと思ったものでした。 別に続けて組む必要はないはずですが、出たらすぐ買わないと売り切れますし、買ったらすぐ組まないと組まなくなるので…。


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