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子供の科学のラジオ その6

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私の手元に残っている子供の科学は、1968年〜1977年が主であり、その前後は途切れ途切れです。
およそ2年で、一通りの回路を組み立ててきましたが、どうやらそろそろ終着駅に近づいてきたようです。
ちょっと寂しい気もしますね。

#36 やさしい3石ラジオ(記事名:やさしい3石ラジオの作り方)

掲載:子供の科学 1975年5月号(奥澤 清吉氏)
 製作時期結果失敗原因(推定)
初回2006年7月成功 
やさしい3石ラジオ

1975年の発表で、この年発表された透明ケースに組むスピーカーラジオのうちのひとつです。前年までの奥澤氏のラジオと違い、プリント基板ではなくラグ板に組み立てるシリーズです。

前年1974年3月号で発表された、「#20 感度がよい3石ラジオ」とほぼ同じ回路ですが、バーアンテナのタップを出し直す工作がなくなっているので、組み立ては少しやさしくなっています。
トランジスタで検波し、段間トランスを廃するためにTr2をエミッタ・ホロワーで使っています。Tr1は2SC372-Y、Tr2は2SC373、Tr3は2SC735-Yが指定されていますが、私は古い東芝のポケットラジオを分解して、これらを一度に入手しました。

やさしい3石ラジオ内部

組み立て自体には大きな問題はありませんが、Tr1のエミッタにリード線が7本集中するので、ラグの穴には全部入らず、一部はベタ付けになります。ラグのはとめ穴も使えばいいのですが、はとめ穴がハンダでつぶれると、透明ケースの表から見たときに見映えが悪くなります。
バーアンテナは、できれば丸棒型(ミューラー0840GT)を使うようにと指示されているのが大変珍しいです。通常、奥澤氏はこのタイプのラジオには平板型のPB-450を使われたからです。

ケースの穴あけも含めて3時間少々で終わりました。感度のほうは、先ほどの「#20 感度がよい3石ラジオ」とほとんど同じという感じでした。3石高1や2石レフと比べれば少々物足りない感じですが、異常発振もしないので配線間違いがなければすぐ鳴ります。電波の強い場所を選べばアンテナ線なしで普通に聞くことができます。ただし、私の作例では受信帯が狭く、バリコンの端と端でようやく最低・最高周波数の局が受信できるという感じでした。

やさしい3石ラジオ回路図(子供の科学1975年5月号より許可を得て掲載)

●回路図 「子供の科学」編集部の許可を得てトレス掲載

●おもな部品

  • トランジスタ…2SC372-Y×1、2SC373×1、2SC735-Y×1
  • 単連ポリバリコン+つまみ
  • バーアンテナ…0840GT ※SL-45GT等でOKです。
  • トランス…ST-81
  • コンデンサ
      セラミック… 50V 0.0033μF ×1
      電解…6.3V 100μF×2、10V 10μF×2
  • 抵抗器…1/8P
      100Ω、560Ω、10kΩ、75kΩ 各1
      2kΩ×2
  • S付きボリウム…平型5kΩ(AかD)+つまみ
  • スピーカー…5.7cm 8Ω、取り付け金具(つめ)×3
  • ケース…114×75×30mm以上の透明プラケース
  • 乾電池…9V(006P)+スナップ
  • イヤホン・ジャック
  • ラグ板…6(12)P
  • 2mmビス…8(10)mm×7、2mmナット×9、2mmラグ×2、配線用ビニール線
やさしい3石ラジオ配線図(子供の科学1975年5月号より許可を得て作図)

●配線例

ケースに収める都合で、ラグ板のラグは全部上に曲げてから部品をハンダ付けします。このタイプのラジオは、ケースのふたではなく、本体のほうに穴を開けて部品を取り付けます。ふたは薄いので、側面にトランスやジャックを取り付けられないからです。

ハンダ付けの際にケースを溶かさぬよう、ボリュームはケースとの間にナットを1個入れて少し浮かせて取り付けます。図で上側のスイッチ端子に付けた2mmラグは、隣の抵抗端子に重ねて一緒にハンダ付けします。
配線済みのラグ板と、ボリュームの中央の抵抗端子の間に、1つだけ残っている10μFの電解コンデンサをハンダ付けします。

バーアンテナはたまたま使うことができた0840GTの例ですが、現在はSL-45GTが形状的に近いと思います。SL-45GTの端子1,2,5が、それぞれ0840GTの端子黒,緑,銀に相当します。

電波が弱くて音が小さいときは、バリコンのA端子にビニール線または引き伸ばし式のロッド・アンテナを接続します。

◆気づいたこと◆

最終の実体配線図(図10)に少々トレス抜けがあり、バーアンテナの緑端子とバリコンのE端子を結ぶリード線が記されていません(当然、そのままでは鳴りません)。また、2kΩの抵抗も1本抜けていますが、これは前のページには記載されています。

◆その他◆

他の作例もそうですが、スピーカーの穴をたくさん開けるには、2mmの穴あき板を当てて固定し、それをガイドにしています(奥澤先生が本誌の特集記事で方法を紹介されていました)。ここでは2.5mmピッチのユニバーサル基板を、1つおきに2mmドリルで貫通させたものを使っていますが、もちろん普通の多孔板を使っても結構です。テープでしっかり止めて対角線の2箇所を最初に空け、そこに2mmネジを通して穴あき板がずれないように固定しておくとよいです。

穴あけ中 穴あけ後

#37 ゲル検 ICラジオ

掲載:子供の科学 1973年8月号(大河 忠一氏)
 製作時期結果失敗原因(推定)
初回2006年7月成功 
ゲル検ICラジオ

1974年頃まで本誌で活躍された、大河忠一氏のラジオです。この頃の子供の科学は、泉弘志氏・大河忠一氏・奥澤清吉氏・田嶋一作氏(五十音順)の4名が、毎月電子工作の記事を連載されているという、豪華なものでした。

さて、大河忠一氏のラジオもゲルマ・ラジオから5球スーパーまで様々ですが、残念ながら時期が古いため、現代では部品が入手できないものも多くなっています。ですが、ぜひこの1973年のICラジオというものは組んでみたいと思いました。回路はゲルマ・ラジオにアンプICを連結したようなシンプルなものですから、ICさえ手に入ればあとは代用がききます。

同調回路はマックスのμ同調器(M−300)が使われていましたが、さすがに入手できないので、バーアンテナSL−55GTとポリバリコンを使いました。そんなわけで基板の形と取り付け方法を多少変えましたが、その他は極力、本誌作例と同じになるようにしました。

ゲル検ICラジオ内部(1)

4mmピッチのユニバーサル基板に組み立てますが、ICは当時から2.5mmピッチですから穴に合いません。そこで、足を互い違いに上下に折り曲げて、下側3本の足で基板に固定し、残りは空中配線するという方法がとられています。細く短いICの足に部品を手際よくハンダ付けしなくてはならないのですから、よほど慣れた人でないと、小中学生には難しかったのではないかと思います。

ちなみにTA7063とは下図のようになっていて、Q1・Q2で2段の増幅を行っています(Q3はエミッタ・ホロワー)。

ICの回路

ゲル検ICラジオ内部(2)

スイッチを入れると、1秒ほど「ザーッ」というノイズが鳴って収まり、それから放送が聞こえてきます。
最初、バーアンテナGT−55のコイルの端(1)をバリコンとダイオードにつないでいたのですが、混信がひどかったため、中間タップ5をダイオードに接続するように変更しました。結果、選局が非常に鋭くなってスーパーヘテロダイン並み(?)です。感度のほうは、1石高1と同じか少しよいくらいでしょうか。1石レフの感度とは隔たりがありますが、感度のよい場所ではバーアンテナだけで聞こえます。

バーアンテナを固定しているホルダーは、ダイソーの300円ラジオ(AM)に使われているものです。もともとはもっと幅広い板型のバーアンテナのものですが、中央付近にいくつか突起があり、その間にSL−55GTがぴったりはまります。

ゲル検ICラジオ回路図(子供の科学1973年8月号より許可を得て掲載)

●回路図 「子供の科学」編集部の許可を得て作図

●おもな部品(他に配線ビニール線、ビス・ナット等)

  • μ同調器 M-300(マックス)
  • IC TA7063P
  • ゲルマニウム・ダイオード 1N60
  • 抵抗器 47kΩ×2、220kΩ×1
  • セラミックコンデンサ 100pF×2、0.001μF×1
  • 電解コンデンサ 16V 10μF×2
  • 乾電池(006P)、スナップ端子
  • クリスタル・イヤホン(プラグ付き)
  • イヤホンジャック
  • じゃのめ基板(4mm間隔)

ケースは、現在よく見る薄型の名刺プラケースが使えます。

ゲル検ICラジオ配線図(子供の科学1973年8月号をもとにした作例)

●配線例 これは私の作例を元にしています。

μ同調器が買えないため、同調回路はバーアンテナSL-55GTとポリバリコンで製作しました。そのため、回路図でコイルと並列についている100pFは使用しませんでした。また、外部アンテナも付けませんでした。

このほか、本誌ではイヤホンジャックの端子を加工して、電源スイッチと兼用していますが、私の作例ではイヤホンは直接ハンダ付けし、別途スライドスイッチを設けました。

ICとそれにつながる3つの抵抗器と電解コンデンサは空中配線になります。本誌作例ではICの奇数ピンを上に曲げ、偶数ピン3本を基板に差し込んでいますが、それでもピッチが合わないので、無理しないよう注意が必要です。

◆気づいたこと◆

実体配線図(P110)にある2個の470kΩの抵抗器は、47kΩの誤りです(部品表と回路図が正しい)。また、同調コイルとアースを結ぶ配線路が抜けています。イヤホン・ジャックの一方が10μFと100pFの間に接続されていますが、これはその左となりのアースに接続されるのが正解です。いずれも上図の作例では修正しています。

#38 壁かけ式 3石高1ラジオ(記事名:壁かけ式 3石高1ラジオの作り方)

掲載:子供の科学 1976年7月号(奥澤 清吉氏)
 製作時期結果失敗原因(推定)
初回2006年7月成功一部定数変更
壁かけ式3石高1ラジオ

これは子供の科学に掲載された、奥澤清吉氏の最後のラジオ製作記事と思われます。
不要なレコード板をパネルにした壁かけ式ラジオで、いつも箱型のポケット・ラジオを紹介される奥澤氏のラジオの中では非常に珍しいものです。どちらかといえば、泉 弘志氏が発表されていたとしてもおかしくないような題材です。

記事で使用されていたのはシングル・レコードサイズの17センチ盤のようですが、中央の穴が小さいのでたぶん33回転でしょう。それはともかく、今となっては貴重品のアナログレコードに穴を開けるのは心が痛むので、タミヤのプラバン(厚1.2mm)を買ってきて丸く切り抜き、片側を黒く塗ってニセモノのレコードを作りました。中央の黄色い部分はプリンタで印刷した厚紙で、手元にあったLPレコードを参考に直径10cmとしましたが、見た目にちょっと大きいかもしれません。

トランジスタはTr1と2が2SC372-Y、Tr3が2SC735という、いつもの構成ですので、それぞれ2SC1815-Y、2SC1959-Yを機械的に使いました。バーアンテナはPB-450で、取り付けスペースが十分あるので現在の丸棒型のものでOKです。乾電池は、アルミ板かL金具を曲げて取り付けるように指示されていますが、私の作例では盤面がスチロール樹脂のため接着が効くので、下の写真のような乾電池ポケットを同じプラ板で作って接着しました。

壁かけ式3石高1ラジオ 裏側

スイッチを入れると一発で鳴り、発振もせずに大成功。感度も十分で鉄筋の建物の中でも壁かけにできました。めでたしめでたしと思ったのですが、ただでは終わらないのが私の適当な工作です。使った乾電池が、廃棄寸前の使い古しであることに気付き、新品の006P電池に交換してみたところ、まったく鳴らなくなってしまいました。発振すらしません。電池が古ければOKですし、6V電池でも一見正常に鳴ります。

調べたところ、コレクタ電流がきちんと流れていないところがあり、最終的に3kΩの抵抗器を10kΩに取り替えました。

奥澤氏の作例としてはラグ板が長いため、部品の密度も低くて工作しやすいと思います。スピーカーの穴が少ないのですが、裏側がむき出しなので、音量は決して小さくはありません。しかし、ボリュームを上げると少し聞きづらくなるので、差し支えなければもういくつかの穴を開けたほうがよいと思います。

壁かけ式3石高1ラジオ回路図(子供の科学1976年7月号より許可を得て掲載)

●回路図 「子供の科学」編集部の許可を得てトレス掲載

●おもな部品

  • トランジスタ 2SC372-Y×2、2SC735-Y×1
  • 単連ポリバリコン+つまみ
  • バーアンテナ PB-450 ※SL-55GT、BA-200等も使えます。
  • ダイオード 1N34 ※1N60、SD46などゲルマ・ラジオ用なら何でも使えます。
  • コンデンサー
      セラミック 50V 0.01μF ×2
      電解…10V 100μF×2、 10μF、33μF 各1
      ※回路図では10μFの一方は6.3Vですが、部品表では全部10Vです。高い分には差し支えありません。
  • 抵抗器 1/8P 91Ω(90Ω)、3kΩ、10kΩ、20kΩ、300kΩ 各1
  • S付きボリウム 平型5kΩ+つまみ
  • 取り付け板(円板レコード)
  • スピーカー 5.7cm 8Ω、取り付け金具(つめ)
  • トランス ST-81
  • 乾電池 9V(006P)+スナップ端子
  • 平ラグ板 10P
  • 2mmビス 6mm×6、10mm×2、2mmナット×12、2mmラグ×2、配線用ビニール線2m
壁かけ式3石高1ラジオ配線図(子供の科学1976年7月号より許可を得て作図)

●配線例

ラグ板の端の2つのラグは真上に折り曲げて、伸ばしたままのトランスの足と重ねてハンダ付けします。つまりトランスは足の長さだけ浮きます。もし浮かせずに平らに取り付けてしまうと、ラグ板をナットで止められなくなります。

スピーカーは上のほうに接着剤をつけて貼り、下の1箇所だけを取り付け金具で止めています。取り付け方によっては、バーアンテナの端の線(緑)がバリコンに届かないことがあります。そのときはバーアンテナを少し斜めにするか、別のリード線を継ぎ足します。

吊り下げ線はアンテナをかねています。長さ50cm〜1mのビニール線を、ラグ板の2箇所の取り付けビスにしっかり結び、そのうち片方をバリコンに接続します。直接バリコンの端子でぶら下がることのないように注意します。

異常発振が止まらないときは、チョークコイルと並列に30kΩくらいの抵抗器をハンダ付けします。低いほど発振がよく止まりますが、感度が悪くなるので、ほかにチョークコイルを傾けてみたり、バーアンテナの配線(無色と青)を入れ替えてみたりします。

◆気づいたこと◆

このラジオと同じ回路図は、奥澤清吉氏・奥澤煕氏共著の「はじめてトランジスター回路を設計する本」(誠文堂新光社)に載っています。これは2002年に、部品等を当時の現行品に変更して再発行されたものなので、現在でも部品を集めて製作することができます。
このサイトでご紹介した子供の科学のラジオのうち、次のラジオに相当する回路図が載っています(一部異なる部分がありますが、実質的に同じです)。

はじめてトランジスター回路を設計する本

なお、昭和50年発行の旧版(初歩のラジオ別冊)は、掲載ラジオが一部違い、実際のプリント基板や製作方法も載っていました。現在の本は回路図とその考え方だけになってしまいましたが、これは時代の流れですからやむを得ません。
実際に、子供の科学の記事と同様の作り方で組んでみたものをこちらでご紹介します。→「2石レフレックス・ラジオを作る」

◆最後に◆

これで「子供の科学」の記事を見て組み立てたラジオのご紹介は終わりです。このサイトをご覧頂いた色々な方に、子供の科学や初歩のラジオといった本の思い出や、組み立てに関する数々のご助言・ご指導を頂きました。とても専門的なものもあり、日本の電子産業はこういった方々の情熱や努力に支えられて進歩してきたことを感じ入りました。誠にありがとうございました。


私はあまり回路のことがわからないので、ラジオ工作といっても一般模型工作と同じつもりで行っています。ただブラック・ボックスの部品を買い集め、形状がぴったり治まるように基板やケースを加工して組んでいるだけです。それで面白いのか?と不思議に思われるかもしれませんが、答えはイエスです(笑)。自分で組み立てたラジオが鳴るんですから、こんな楽しいことはありません。

ご紹介した回路の多くを作られた奥澤清吉氏も泉弘志氏も世を去られていますが、両氏の残された数々のラジオはこのようにずっと健在で、世の中の動きや楽しい音楽を今も我が家に届けてくれます。

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