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トミーの販売した蒸気機関車 その2

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K.S.KタイプCタンク

Cタンク

1976年に、トミー初の日本型蒸気機関車として発売されました。
早速入門セットに組み入れられ、トミーのカタログや雑誌広告にK.S.KタイプCタンクがあふれることになりました。
詳しくは、「汽車会社製Cタンク」のコーナーでも述べています。

ご存知のとおり、性能が期待に追いつかず、早くに絶版になってしまいました。
よく走るものをお持ちなら、それは大変貴重な一品だと思われます。
それでも日本型の機関車に本腰を入れ始めたトミーの姿勢は嬉しかったので、私はこの機関車に悪い印象は持っていません。
できることならば動力を改良して、発売を継続してほしかったと思います。

C57

トミックスC57

あまりに有名な製品です。
先・従台車の逃げのため、ボイラー前方の長さや、キャブの大きさとその下の空間などにバランスの無理はありますが、各部はとても丁寧に作られています。
全体の大きさはスケールに近く、テンダードライブのため、足回りも軽快です(後部台枠がないのでキャブ下はスカスカです)。
このページの写真は、何も手を加えていない原型です。

トミックスC57 サイドビュー

客車の屋根と高さが近く、編成で走る姿を見てしまうと、もう1/140のKATO製品(旧)が使えないと思ってしまうほどでした(大げさ…)。
見たことがない方のため、超拡大写真(2000×446ピクセル)を付けましたので、プラモールドの配管などを追いかけてみてください。
模型はランボードの上側も下側も細かく表現されています。
煙室から前方、デッキにかけてが長いので、側面から見るとドームがちょっと後ろ寄りに見えるというバランスの弱さがありますが、斜め前方からじっと眺めると、ほどよいデフォルメで実物の思い出が蘇ってくるでしょう。

バックプレート

テンダードライブの利点を生かして、キャブ内も作られています。このバックプレートはとても立体的で、現在の金属製蒸機よりも雰囲気が出ています。
それだけではなく、室内の天井の配管まで表現されています。着眼点が他社とはまったく違い、独創性のある模型です。

動輪のタイヤは分厚く、第三動輪に滑り止めのゴムがついていて、テンダーに押されて走ってもまず空転することはありません。ただ先輪のスポークや動輪の丸穴は浅く、少々メリハリは弱いものでした。
上回りはオールプラで、安全弁もプラスチックです。汽笛もプラですが、KATOよりも上手な表現で、違和感がありません。さらにランボード上には2007年にリアル・ライン製品が出るまで、プラ製品で唯一の網目表現がありました。

テンダーは上廻りが丸ごと金属でできていて、その塗装のためエンジン部とは若干のツヤの違いがあります。
イコライザ構造など持たず、前方から3軸だけが駆動するのですが、十分よく走ります。

よほど開発スタッフのチームワークが良かったか、すごい意気込みのリーダーがいたのではないかと思います。
表現やプロポーションにこなれていない点もあり、動力などに細かい問題も色々あったのでしょうが、このパワーが後の蒸機の製品化に受け継がれれば、すごいものが生み出されていたかもしれません。

9600

9600

残念ながらパワーは受け継がれず、Cタンク以前のゼロから再スタートした模様です。
極秘裏に製品化が進んでいたものと思いますが、マイクロエースが9600を発表したため、慌てふためいて発表したかのように見えました。
(あれに勝てるものは、あまりありません)
逆の意味でビッグ・サプライズとなってしまいました。

発売時から、咲きそこなったというか、一種の寂しさのようなものを感じた模型です。
こちらにも超拡大写真(1600×418ピクセル)を用意しました。

C57と9600

手前の9600のほうが、17年ほど新しい模型なのですが、部分的には逆に見えてしまいます。

ハシゴが一体モールドでハンドレールよりも下側にあることが弱点であると、よく指摘されていたように思いますが、それより全体の印象がどことなく実物に似ていないことが、他社に比べて一番不利な点のように思います。
ディテールはその気になればあとで付け加えることもできますからね。

大変残念なことですが、トミックスはこれらの模型を残して、再び蒸機模型の世界から去ってしまいました。
トミックスが復讐に燃え、誰もが驚きの目を見張る製品を再投入してくれる日が、いつか来ることを祈ります。
マイクロエースの傑作・9600に敗れたのだとしても、C57では現代のマイクロエース製品に圧勝していると私は思います。

(2004.10.10)

2009.9.30 この記事から5年後、その日が現実になりました。→C57 135(トミックス)


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